金価格「2万5000円」で“今だ!”と買い後悔! 今後4万円になれば「50グラム・75万円」の利益なのに…最近の高騰が異常だっただけで、あと数年は“ほぼ上がらない”? 過去の上昇率を元にシミュレーション
本記事では、田中貴金属工業が公表する価格をもとに、ここまでの値動きと、3万円や4万円に届くまで何年かかる計算になるのかを解説します。
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2025年からの急騰と、2026年1月の「3万円」
田中貴金属工業が公表する金の店頭小売価格(税込)をみると、2025年の最安値は1月7日の1万4776円でした。同社の月次データで月内の最高値を税込みに直すと、12月には2万5128円と、1年足らずで約70%値上がりしています。
この勢いは年明けも続き、2026年1月に3万248円をつけて初めて1グラム3万円を突破。3月には3万305円の過去最高値を記録しました(いずれも筆者計算)。
ところが、その後は流れが変わり、8月3日には2万2624円まで下がりました。3万305円のピークからみると、約25%の下落です。2025年からの主な節目は、図表1のとおりです。
図表1
| 時期 | 店頭小売価格(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 2025年1月7日 | 1万4776円 | 2025年の最安値 |
| 2025年9月29日 | 2万18円 | 初めて2万円台に |
| 2025年12月 | 2万5128円 | 2025年の最高値 |
| 2026年1月 | 3万248円 | 初めて3万円台に |
| 2026年3月 | 3万305円 | 過去最高値 |
| 2026年8月3日 | 2万2624円 | 2026年の最安値 |
※日付の入った行は9時30分公表の価格
※月のみの行は月内の最高値(税抜)を税込みに換算(筆者計算、1円未満切り捨て)
※2026年は9月24日までの実績
田中貴金属工業 過去の金価格(2025年)、過去の金価格(2026年)、月次金価格推移より筆者作成
2万5000円で買った人に、利益を確定する場面はあったのか
3月下旬には、価格が2万5000円前後で推移する日が続きました。この局面で50グラム、つまり125万円分を買っていた場合、その後に利益を確定できる場面はあったのでしょうか。
9時30分公表の価格でみると、3月下旬以降の高値は4月15日の2万7321円です。ただし、売るときに適用されるのは買取価格で、9月24日の9時30分公表分では小売価格より1グラム357円低く設定されています。
この差は市場の状況で変わりますが、同じ差とすれば買取価格は2万6964円、50グラムで134万8200円になります。
見落としやすいのが手数料です。同社では、50グラムの金地金を買うときに1本あたり1万3200円、売るときに1件あたり8800円の別途手数料がかかります。
元手は126万3200円、売却の手取りは133万9400円となり、差益は7万6200円(筆者計算)。1グラムあたり2321円値上がりしても、手元に残るのは元手の約6%にとどまります。
4万円まで上がれば、本当に75万円残るのか
仮に1グラム4万円まで上がったら、手元にはいくら残るのでしょうか。2万5000円との差は1万5000円、50グラムで75万円という計算になります。
ただ、同じ条件で試算すると、買取価格は3万9643円、50グラムで198万2150円です。売却手数料8800円と元手126万3200円を引くと、残るのは71万150円(筆者計算)で、75万円には約4万円届きません。
加えて税金がかかります。国税庁によると、金地金を売った利益は原則として譲渡所得となり、給与など他の所得と合わせた総合課税の対象になります。
譲渡所得には50万円の特別控除があるため、ほかに譲渡益がなければ、71万150円のうち課税対象は21万150円です。所有期間が5年を超えていれば、さらにその半分が課税対象です。
2020年から2024年のペースなら、3万円や4万円はいつか
田中貴金属工業の年間平均価格(税抜の参考小売価格)は、2020年の6122円から2024年には1万1718円になりました。4年で約1.9倍、毎年同じ率で上がったとすれば1年あたり約17.6%の上昇です(筆者計算)。
一方、2024年から2025年の1年間は約47.7%も上がっており、直近1年の値上がりが、それまでのペースを上回っていたことが分かります。では、年17.6%のペースに戻るとしたら、どうなるでしょうか。9月24日の小売価格2万4223円を起点に、毎年17.6%ずつ上がると仮定します。
1年後は2万8491円で3万円に届きませんが、2年後には3万3511円と3万円を超えます。4万円は、3年後の3万9416円でもわずかに届かず、4年後の4万6361円で超える計算です(筆者計算)。
もっとも、これは過去の上昇率を当てはめただけで、将来を約束するものではありません。年間平均価格は1980年の4499円から2000年には1014円まで下がり、再び1980年の水準を上回ったのは35年後の2015年でした。
まとめ
2026年1月に3万円を超えた金価格は、9月25日時点で2万4150円。2万5000円前後で買った人が利益を確定できる場面は4月にありましたが、値幅は限られていました。
4万円まで上がれば計算上は75万円の差益になるものの、買取価格との差と手数料で約4万円が消え、50万円を超えた部分には税金もかかります。値上がり幅ではなく、売ったときに手元へ残る金額で考える習慣をつけましょう。
出典
田中貴金属工業株式会社 日次金価格推移
国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得
執筆者 : 金子賢司
CFP
