“退職金2000万円”を手にした父が「老後は不動産で不労所得」とマンション投資を開始! でも営業マンの「将来的に資産3000万円」「節税になる」を信じるのは危険? 定年後“うまい話”で後悔するリスク
しかし、営業担当者のシミュレーションどおりに運用が進むとは限らず、老後の貴重な現金が失われる可能性もあるのです。本記事では、セールストークの裏に隠されたリスクやリアルな収支構造を解説します。
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「節税効果」は最初だけ。数年後に税負担が重くなる仕組みとは
マンション投資では「不動産投資の赤字と給与所得を損益通算して節税できる」というトークがよく使われます。確かに初年度は諸経費や手数料、減価償却費で帳簿上の赤字になり、税負担が軽減されますが、この効果は限定的です。
2年目以降は諸経費が減り、ローンの元本返済部分(経費にならない)の割合が増えることで、不動産所得はやがて「黒字化」します。こうなると、手元に現金が残らないのに税金だけが発生する「デッドクロス」と呼ばれる状態になり、かえって家計を圧迫するため注意が必要です。
「不労所得」が「毎月の赤字(持ち出し)」に転落する3つのリスク
不動産会社の営業担当者がマンション投資を勧める際、「家賃収入-ローン返済=利益」になるという説明がされますが、これには、次の3つのリスクが伴います。
1. 空室リスクと家賃下落
新築時には比較的高い家賃で入居者が決まっても、築年数が経過すると、入居者を確保するために家賃を引き下げなくてはならない場合があります。入居者が退去した後、次の入居者が決まらなければ数ヶ月間にわたって家賃収入がゼロになる可能性があるからです。
さらに、原状回復費用や仲介手数料など、まとまった出費が発生することもあります。空室期間が長引いたり、退去・入居が繰り返されたりすると、収支が大きく悪化するでしょう。
2. 管理費・修繕積立金の値上げ
マンションの維持管理に必要な「修繕積立金」は、長期修繕計画に基づき、築年数の経過に伴って段階的に値上げされるケースがあります。
購入時には月額数千円だった修繕積立金が、将来的に数万円へ増額されてしまうことも多いため、要注意です。管理費や修繕積立金が上がれば、オーナーの負担が増え、毎月の収支が悪化します。
3. サブリース(一括借り上げ)契約の注意点
「空室でも家賃を保証する」と言われ、サブリース契約を結んでいる人もいるかもしれません。これは、借主がサブリース会社に、サブリース会社が貸主に賃料を支払うもので、貸主としては入居者の有無にかかわらず安定して賃料が入ってくるため、一見すると安心できる仕組みに感じるかもしれません。
しかし契約内容によっては、サブリース会社が一定期間ごとに保証家賃を見直したり、減額したりできる条項が設けられている場合があるため、しっかりと読み解くことが不可欠です。
保証家賃が引き下げられると、ローン返済額や管理費などの支出が変わらないまま収入だけが減少し、収支が赤字に転落してしまうこともあり、安易な契約はせず、契約前に家賃の見直し条件や減額の可能性を必ず確認しましょう。
新築ワンルームマンション投資の収支計算
営業担当者が提示する理想的なシミュレーションと、現実的に数年後に想定される収支をそれぞれの計算式で比較してみます。
ここでは、総額3000万円の新築ワンルームマンションを購入し、退職金から500万円を頭金・諸経費として支払い、残りの2500万円をローン(金利1.5%・35年返済、ボーナス返済なし)で調達したケースを仮定します。この場合、毎月のローン返済額は約7万6500円となります。
その物件を家賃11万円で貸し出し、管理費・修繕積立金を1万円とした場合、2万3500円の黒字となります。すると1年間で28万2000円、10年間で282万円の収入を得ることができます。
「これなら毎月プラスになり、将来は資産が残る」と思えるかもしれません。しかし、これはあくまで「新築時・空室なし」という最も条件が良い状態のシミュレーションです。
一方、10年後に経年劣化によって家賃が9万円まで下落し、修繕積立金が2万円に値上げされた場合はどうなるでしょうか。家賃を9万円とし、管理費・修繕積立金が2万円になったと想定すると、6500円の赤字になります。
また、物件によっては賃貸管理委託費(家賃の5%など)なども考慮しなければなりません。
これに加えて、数年に1度のエアコンや給湯器の設備故障、退去時のクリーニング代、さらに毎年の固定資産税(年間約5万~10万円)といった突発的・定期的な支出も発生します。
こうした見えないコストが重なると、毎月の赤字と合わせて年間数十万円の持ち出しとなり、せっかくの退職金や年金から不足分を補填し続ける深刻な状況に陥る恐れがあるのです。
甘い言葉に惑わされずに大切な退職金を守る
退職金という大切な資金を、仕組みが複雑な不動産投資につぎ込むことには、慎重な判断が求められます。
「節税になる」「不労所得が入る」という言葉の裏には、数年後の税負担増大や収支悪化のリスクが潜んでいます。営業担当者の説明だけで判断せず、第三者に相談したり客観的な収支計算を行ったりすることが大切です。大切な老後資金を守るためにも、慎重な判断を心がけましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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