長期金利が「3%」まで上昇!「もう投資せず預金だけでいいのでは?」と思ったのですが、NISAを続けるメリットはありますか?
しかし、長期金利が3%になったからといって、預金金利が3%になるわけではありません。金利のある時代だからこそ、預金、国債、NISAなどを目的に応じて使い分けることが重要です。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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長期金利3%≠預金金利3%
「長期金利」とは一般に、期間1年以上の金利を指し、日本では新発10年国債の利回りが代表的な指標として使われています。2026年9月1日には、この10年国債利回りが一時3%に達しました。
しかし、これは銀行の普通預金や定期預金に3%の利息が付くという意味ではありません。銀行は市場金利や日本銀行の政策金利、自社の資金調達状況、経営戦略などを踏まえて預金金利を設定します。
日本銀行も、現在は預金金利と特定の政策金利が直接機械的に連動する仕組みではないと説明しています。したがって、「長期金利3%」というニュースを見て、預金だけで年3%の運用ができると考えるのは誤りです。実際の預金金利は金融機関や商品ごとに確認する必要があります。
国債の金利は以前より魅力が増している
金利上昇によって選択肢が広がっている代表例が国債です。財務省によると、2026年9月募集の個人向け国債は、変動10年が年1.95%、固定5年が年2.24%、固定3年が年1.96%(いずれも税引前)となっています。
特に個人向け国債は、発行から1年経過すれば原則として中途換金でき、元本割れを避けながら一定の金利収入を得たい人にとって選択肢の一つになります。
ただし、中途換金時には直前2回分の各利子相当額が差し引かれます。ここでも重要なのは、10年国債の市場利回りが3%だから、個人向け国債も3%になるわけではないという点です。商品ごとに金利の決まり方が異なるため、実際の募集条件を確認しましょう。
それでも長期資金まで預金だけでよいとは限らない
預金の大きなメリットは、安全性と流動性です。金融庁も、預貯金について安全性と流動性が高い金融商品と位置付けています。しかし、安全性が高いことと、長期的な資産形成に最適であることは同じではありません。
例えば物価が継続的に上昇し、預金金利が物価上昇率を下回れば、預金残高そのものは減らなくても、そのお金で買える商品やサービスの量は減少します。これが実質的な購買力の低下です。
一方、株式や投資信託には元本割れのリスクがありますが、長期的な資産形成では預貯金より高い収益を期待できます。金融庁も、預貯金、株式、債券、投資信託にはそれぞれ安全性・収益性・流動性の違いがあり、目的に応じて使い分けることが重要だとしています。
「いつ使うお金か」で置き場所を決める
金利上昇局面で大切なのは、「預金か投資か」という二者択一ではありません。例えば、日常生活費や突然の支出に備えるお金は、すぐに引き出せる普通預金などが適しています。数年後に使う予定があり、価格変動をできるだけ避けたい資金であれば、定期預金や個人向け国債なども候補になります。
一方、10年、20年と使う予定のない老後資金などは、NISAを活用して株式や投資信託などへ長期・積立・分散投資することも選択肢です。NISAは預金より高い利回りを保証する制度ではありません。
投資による利益を非課税にする制度であり、投資した商品が値下がりすれば元本割れもあります。金利が上昇したから投資をやめるのではなく、使う時期と目的によって預金、債券、投資を組み合わせることが重要です。
まとめ
2026年9月1日に長期金利が一時3%に達したことで、日本は長く続いた超低金利時代とは大きく異なる環境になっています。しかし、「長期金利3%=預金金利3%」ではありません。
一方で、個人向け国債など安全性を重視した金融商品の金利も上昇しており、以前よりお金の置き場所を選びやすくなっています。
だからこそ、「すべて預金」「すべてNISA」と考えるのではなく、すぐ使うお金、数年後に使うお金、長期間使わないお金に分け、それぞれに適した金融商品を選ぶことが大切です。
金利のある時代には、「一番金利が高い商品」を探すだけでなく、「そのお金をいつ、何のために使うのか」から資産の置き場所を考えましょう。
出典
財務省 現在募集中の個人向け国債・新窓販国債
財務省 国債の利回りはどのように決まるのでしょうか
日本銀行 以前の「公定歩合」は、現在、どのように位置づけられていますか?
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
