住宅ローン「残債1500万円」で“退職金2000万円”受け取り! 妻は「変動金利が上がってるから即完済すべき」と言いますが、新NISAに「一括投資で年利5%」のほうが得ですよね? 運用益を試算
本記事では、変動金利でどのくらい返済金額が上がる可能性があるのか、住宅ローンの完済と一括投資のどちらがおすすめなのかを解説します。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
退職後に変動金利でどのくらい返済額がアップする?
ローン残高1500万円、残り15年、元利均等返済として試算すると、金利1.0%なら毎月約8万9800円、2.0%なら約9万6500円、3.0%なら約10万3600円です。
15年間の利息総額は、おおむね以下の通りになります。
・1.0%:約116万円
・2.0%:約237万円
・3.0%:約365万円
日銀は、2026年9月の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度へ引き上げました。今後についても、経済・物価・金融情勢に応じて政策金利を引き上げる方針を示しています。ただし、住宅ローン金利が同じ幅・タイミングで上昇するとは限りません。
また、一部の金融機関では、変動金利の元利均等返済に「5年ルール」「125%ルール」があります。これにより返済額の急増を抑えられる一方、金利が上がれば返済額に占める利息の割合が増え、元金の減りが遅くなります。なお、これらは全ての住宅ローンに適用される制度ではありません。
一括投資しながら年利5%で取り崩すとどうなる?
1500万円を当初から年5%で運用し、金利2.0%の住宅ローン返済額を毎月取り崩すと仮定すると、15年後には約562万円が残ります。金利1.0%なら約741万円、3.0%でも約375万円です。
ただし、これは「1500万円全額を最初から年5%で運用できる」という理論上の試算です。
新NISAは、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円を合わせて、1人年間360万円が上限です。非課税保有限度額は1800万円ですが、1500万円を1人のNISAへ入れるには最短でも5年かかります。
また、運用開始直後に大きく値下がりし、ローン返済のために資産を売却すると、その後の回復局面で運用に回せる資産が減ります。リーマンショック時には、日経平均が2008年9月16日の1万1609円72銭から、10月27日の7162円90銭まで約1ヶ月で4割近く下落しました。
仮に1500万円が40%下落して900万円となり、その後年5%で運用しながら金利2.0%相当の返済を続けると、単純計算では約9年10ヶ月で資金が尽きます。
実際の値動きは投資対象によって異なりますが、退職直後の大幅下落には注意が必要です。
住宅ローン完済と一括投資、どちらがおすすめ?
どちらが適しているかは、年金収入や生活費、金融資産、住宅ローン金利、投資経験などによって異なります。
一括返済には、将来の利息と金利上昇リスクをなくし、毎月の固定支出を減らせるメリットがあります。一方、退職金2000万円から1500万円を返済すれば、手元資金は500万円まで減ります。
また、完済すれば団体信用生命保険の保障は終了します。住宅ローン控除の適用期間中であれば、一括返済によって年末残高がなくなるため、その後は控除を受けられません。繰り上げ返済で償還期間が10年未満になる場合も、原則として控除対象外です。
反対に、投資を続ければ住宅ローン金利を上回る利益を得られる可能性がありますが、元本割れする可能性もあります。
そのため、「全額返済」か「全額投資」の二択だけでなく、生活防衛資金を確保したうえで、一部を繰り上げ返済し、残りを時間分散して投資する方法も選択肢です。
まとめ
1500万円を年5%で運用できると仮定すれば、金利2.0%のローンを返済しながらでも15年後に約562万円が残る計算です。しかし、この試算は運用益が一定で、NISAの年間投資枠も考慮しない理論値です。
一括返済には金利上昇リスクをなくせるメリットがある一方、手元資金の減少や団信・住宅ローン控除への影響があります。年金額や生活費、緊急時に必要な現金を確認したうえで、一括返済・投資・両者の併用を比較して決めることが大切です。
出典
日本銀行 金融市場調節方針の変更について(2026年9月18日)
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級
