70歳の母が「オルカン」に年金から積み立て“総額2000万円”に!「年7%だから10年で4000万円も見えてくる」と言いますが、平均寿命まであと17年…“年金を削っての投資”は無駄になりませんか?
しかし、年金生活を送るなかで、生活費を削ってまで積立投資を続ける必要があるのでしょうか。また、70歳からでも長期投資を続けるメリットはあるのでしょうか。
本記事では、オルカンの運用シミュレーションや高齢期の投資リスク、老後資金との向き合い方について解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
2000万円を年7%で運用すると10年後はいくら?
まず、「10年後に4000万円」は本当なのでしょうか。現在の2000万円を年7%で10年間、複利運用できたと仮定すると、約3934万円となります(税引き前)。運用益は約1934万円で、元本のほぼ2倍です。
なお、これは今ある2000万円だけを運用し、追加の積み立てや途中の取り崩しをしない場合の計算です。もちろん、今後も年金から積み立てを続ければ、投資元本が増えます。ただし、運用結果が年7%になるとは限りません。
「オルカンなら年7%」と考えるのは危険?
オルカンとは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の通称です。日本を含む世界各国の株式に幅広く投資できます。過去には高いリターンを記録した時期もありますが、マイナスとなる年もありました。
今後も、長期的に上昇していく可能性はありますが、必ず毎年安定して7%増える商品ではありません。
70歳では「何年運用できるか」より「いつ使うか」も重要
70歳だからといって、長期投資ができないわけではありません。しかし、今後は今まで以上に医療費や介護費、住宅の修繕費など、まとまった支出が発生する可能性があります。
例えば、5年後に300万円を使う予定があるなら、そのお金まで株式投資に回すことには慎重な判断が必要です。運用中に相場が大きく下落すると、必要なタイミングで損失を抱えたまま売却することになりかねないためです。
年金を削ってまで積み立てる必要はある?
まず確認したいのは、母親がどの程度生活費を削っているかです。例えば、年金が月20万円で生活費が18万円なら、残り2万円の一部を投資に回す余裕があるかもしれません。
一方、年金と生活費が同じ20万円必要なのに、食費や医療費を我慢して月2万円を積み立てているなら、積立額を見直す余地があります。資産形成では収入と支出を把握し、生活設計に合わせて貯蓄と投資を使い分けることが重要です。
70歳という年齢そのものより、無理のない家計で投資を続けられるかが大切だといえるでしょう。
2000万円全てがオルカンなら資産配分も確認
また、現在の2000万円が金融資産のほぼ全額なのか、それとも別に十分な預貯金があるのかによっても判断は変わります。オルカンは世界各国の株式に分散投資できますが、あくまで株式への投資であることに変わりはありません。
預貯金などがほとんどなければ、株式市場全体が下落したときに生活資金まで影響を受けるおそれがあります。当面の生活費や緊急時の予備資金を預貯金などで確保し、残りを運用する方法も考えられます。
老後資金は「増やす」だけでなく「使う」ことも大切
特に老後の資産運用では、資産額を増やすことだけが目的とはなりません。旅行や趣味、家族との時間など、元気なうちにお金を使うことにも価値があります。
一方、積立投資そのものが趣味や生きがいになっている人もいるでしょう。無理のない範囲であれば、70代でも投資を続ける選択肢はあります。
まとめ
2000万円を年7%で10年間運用できれば、約3934万円になります。しかし、オルカンの運用成果は保証されず、途中で大きく値下がりするかもしれません。
70代だから投資をやめるべきとは限りませんが、生活費を我慢してまで積み立てる必要があるかは別問題です。今後必要になるお金と運用に回せるお金を分け、老後の生活を楽しむことも含めて、資産の使い方を考えることが大切です。
出典
内閣府 令和8年版高齢社会白書(全体版)(PDF版) 第1章 高齢化の状況
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/ITパスポート/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
