60歳で退職金 「1500万円」を受け取ったけど投資経験ゼロ・・・ 「NISAで運用すれば老後資金を増やせる」 今からでも間に合いますか?
NISAには年齢の上限がなく、60歳からでも利用できます。ただし、NISAは利益を保証する商品ではなく、投資の利益が非課税になる制度です。退職金の全額を急いで投資するのではなく、生活費と近い将来に使うお金を確保し、残りを長期・分散・積立で運用することが基本です。
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60歳からでもNISAは利用できる
NISAは、その年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者などが利用できます。上限年齢はありません。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円で、併用すれば年間360万円まで投資できます。生涯の非課税保有限度額は合計1800万円で、そのうち成長投資枠は1200万円までです。
そのため1500万円を一度にNISAへ入れることはできません。年間360万円を上限まで使っても、全額を投資するには複数年かかります。枠を埋めること自体を目標にする必要はなく、無理のない金額で始められます。
NISAなら老後資金が必ず増えるわけではない
NISA口座で保有する株式や投資信託の売却益、配当・分配金は非課税になります。通常は利益に約20%の税金がかかるため、利益が出た場合には税負担を抑えられます。
一方、購入した商品の価格が下がれば元本割れします。NISAで損失が出ても、特定口座などの利益との損益通算や損失の繰越控除はできません。「NISAだから安全」ではなく、何を買うかによってリスクが変わります。
退職金を3つに分けて考える
まず、日常生活に必要なお金、数年以内に使う予定のお金、当面使わないお金に分けます。生活費、住宅修繕、車の買替え、医療・介護などに必要な資金まで投資すると、相場下落時に損失を抱えたまま売却する可能性があります。
金融庁の資料も、退職金を踏まえてライフプランとマネープランを見直し、生活資金や緊急予備資金を除く余剰資金で長期・積立・分散投資を行う考え方を示しています。毎月の年金と支出を確認し、数年分の不足額を現預金で確保してから投資額を決めましょう。
投資経験ゼロなら一括投資を急がない
まとまった退職金があると、早く運用を始めなければ損だと感じるかもしれません。しかし、投資直後に大きく値下がりすると、不安から売却してしまうことがあります。まず少額の積立から始め、値動きに慣れながら金額を調整する方法が現実的です。
商品の仕組みや手数料、値下がり時の対応を説明できない状態で購入するのは避けましょう。金融機関から勧められた商品だけで決めず、複数の商品を比較し、中立的な相談窓口の利用も検討してください。
まとめ
NISAは60歳からでも始められ、利益が出れば非課税のメリットがあります。ただし、1500万円を一度に投資できず、元本保証もありません。退職金を生活資金、近い将来に使う資金、長期運用できる資金に分け、余裕資金の範囲で少額から始めましょう。「今から間に合うか」より、使う時期に合ったリスクに抑えることが重要です。
【FPコメント】
60歳からNISAを始める場合、開始時期が遅いか早いかよりもどこまでリスク面を許容できるかが重要になります。
特に退職後は資産形成期から取崩し期へ移るため、生活費の不足額を年単位で試算し、近い将来に必要な資金は現預金などで確保したうえで運用方針を決めるのが基本です。退職金が1500万円あったとしても、その全額を運用対象と考えず、老後の資金需要と許容できる値下がり幅から投資額を逆算するようにしましょう。
また、NISAは非課税制度であって安全性を高める制度ではありません。一般的な金融取引のように損失を他口座の利益と損益通算できません。
出典
金融庁 NISAを利用する皆さまへ
金融庁 高齢社会における資産の形成・管理での心構え
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修 : 柘植輝
行政書士
