外貨を資産に組み入れてみたい。まずは、外貨預金か、外貨MMFか?

配信日: 2020.07.15

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外貨を資産に組み入れてみたい。まずは、外貨預金か、外貨MMFか?
資産運用の基本は国際分散投資であるといわれます。

それは、円以外の通貨を持つことが重要であることも意味しています。

しかし、新型コロナウイルスの影響もあって相場が不安定な中、外貨建ての株や投資信託にいきなり投資するのは怖いと感じる人も多いかもしれません。

そんなとき、個人投資家はどのような形で外貨資金を持つのが良いのでしょうか?
北垣愛

執筆者:北垣愛(きたがき あい)

マネー・マーケット・アドバイザー

証券アナリスト、FP1級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
国内外の金融機関で、マーケットに関わる仕事に長らく従事。
現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、マーケットに関する情報等を発信している。
http://marketoinfo.fun/

低リスクで外貨を持つなら、外貨預金か外貨MMF

為替変動以外のリスクをなるべく抑えながらも外貨を持ちたい場合、外貨預金や外貨MMF(マネー・マーケット・ファンド)が主な選択肢となると考えられます。
 
MMFとは、安全性と流動性を重視した運用を行う投資信託の一種です。
 
外貨建ての国債なども一般的にリスクは低いといえますが、現在はどの主要国も非常に金利が低下しています。
 
例えば米国債なら、10年程度の長めのものでも、個人投資家が期待できる利回りは0.5%前後です(2020年6月4日時点)。
 
ドイツ国債やスイス国債などなら、マイナスの利回りとなってしまいます。
 
信用力の劣る新興国の国債を除けば、今は世界的に超低金利であり、国債での運用は割が合わないと思われます。
 
では、外貨預金と外貨MMFならどちらの方が良いのでしょうか?
 
ここでは、世界の基軸通貨でもある米ドル建ての外貨預金や外貨MMFを想定して、見ていきたいと思います。
 

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利回りと為替手数料を比較する

外貨MMFは一般的に購入の翌日から売却が可能です。
 
すなわち、非常に流動性の高い商品であるといえます。
 
一方、外貨預金には円建ての預金同様、普通預金と定期預金があります。
 
定期預金は満期が来るまで原則として解約できません。
 
同程度の流動性ということで、外貨MMFと外貨普通預金で比べると、一般的にMMFのほうが若干利回りは高いことが多いといえます。
 
しかし、米国の中央銀行ともいえる連邦準備理事会が政策金利を0~0.25%に誘導する中、どちらも利回り水準は非常に低くなっています。
 
円預金の金利とも大差ない水準です。
 
また、一定期間資金が拘束される定期預金でも、キャンペーン金利でもない限り、普通預金やMMFとの金利差がかなり小さくなっています。
 
このため、今の時代により注目すべきなのは、為替手数料であるといえます。
 
為替手数料とは、円からドルへ、あるいはドルから円に戻すときにかかる手数料です。
 
どの金融機関を使うかだけでなく、ネットか窓口か、あるいはキャンペーン中かどうかによってその手数料率は大きく異なり、数銭から1%を超えるものまでさまざまです。
 
それ以外の使い勝手も比較検討する必要がありますが、最終的な利回りを左右する為替手数料を確認することが非常に重要となります。
 

課税体系が大きく異なることに注意!

実は、どちらを選ぶかで最も注意すべき点は、課税体系の違いかもしれません。
 
投資信託である外貨MMFの場合、売却や償還によって発生した利益には、現在は20.315%(国税15.315%、地方税5%)の税率で申告分離課税が適用されます。
 
証券会社には一般口座と特定口座がありますが、特定口座なら確定申告の必要もありません。
 
また、為替差損が発生した場合には、他の投資信託や上場株式で発生した利益と損益通算することが可能です。
 
外貨預金で発生した為替益は、雑所得扱いとなります。
 
雑所得は、他の給与所得などと合算した上で、税率が決定します。
 
総所得が多くなるほど税率は高くなるため、高所得の人の場合は注意が必要です(1つの会社からしか給与を受け取っていない年収2000万円以下の会社員などの場合、給与や退職金以外の所得と為替益の合計が20万円以下なら、確定申告が不要となります)。
 
為替差損が出た場合には、他の雑所得と相殺することはできますが、雑所得をゼロ以下にすることはできません。
 
つまり、雑所得以外の他の種類の所得から差し引くことはできません。
 
所得税率は、5%から最大45%となっているため、自分の所得水準をにらみながらの選択も重要であるといえるのです。
 

将来的な目的も考えて選ぶ

最後に、その外貨資金を将来的にどう使いたいかも考えておきたいところです。
 
現時点ではリスクを伴う運用は避けたい考えであっても、将来的には外貨建ての株式や投資信託での運用も頭にあるなら、そうした商品を扱っている会社に最初から資金を入れておくべきでしょう。
 
異なる金融機関間の外貨の移動は、円の移動と比べてずっとコストがかかることが多いためです。
 
最初に述べたとおり、外貨預金と外貨MMFの利回りには現在大きな違いはありません。
 
しかし、自分に合った方を選ばないと、最終的なコストには大きな違いが出てきかねません。
 
上記の点を参考に、最適な選択で資産運用に役立てていただきたいと思います。
 
執筆者:北垣愛
マネー・マーケット・アドバイザー


 

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