更新日: 2020.11.17 その他資産運用
積立投資の基本とは? FPがわかりやすく解説
投資に慣れている人は「分散投資を心掛けたほうが良い」といいます。分散投資とは、「金融商品」「地域」「時間」等を分散投資するということです。まず、この分散投資の中身を確認してみましょう。
執筆者:高畑智子(たかばたけ ともこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
分散投資
1.「金融商品」の分散
株式や債券など、異なるリスクや値動きをする金融商品に分けて分散することです。この中には、預金等も含まれます。
もし、金融商品のうち、株式にのみ投資をしていた場合、株式市場が大きく下げた場合に大きな損失を被ることになります。株式投資以外に預貯金や債券に分散していた場合は、その損失を小さく抑えることができる可能性があります。
逆に、株式市場が下がっている局面では、預貯金から、あるいは債券を売って株式に投資をするという選択肢もあります。
2.「地域」の分散
日本だけではなく、海外も投資先に含めて投資をするということです。具体的には外国債券や外国株、外貨などがあげられます。現在の経済は日本だけではなく、他の国との取引や影響を受けて回っています。そのため、リスク回避の1つの手段として、日本円以外の通貨で資産を保有する考え方です。
例えば、日本にインフレが起こり、100万円が100分の1の価値になる、つまり100万円を持っていてもその価値が1万円になるということが考えられます。
もし、この100万円を1ドル100円のときに1万ドルに換えていたとすればどうでしょう? 仮に日本円の価値が100分の1になったとしても、米国のインフレ率が変わっていなければ、ドルは1万ドルのままです。
また、そのときの為替が1ドル1万円であれば、そのレートで日本円に変えた場合には1億円です。ただし、1億円はインフレにより価値が100分の1になっているため、実質100万円の価値となります。
通貨は、国の信頼度や成長性を示すものであり、為替はその国と他の国と比較して景気や金利、国際収支などからレートが決まります。
日本でインフレが起きた場合において、日本が他の国に与える影響はあるものの、同時期に同じような経済規模で同じようなインフレが起きるとは考えづらく、この場合において、円は外貨に対して安くなります。
日本でインフレが起きた場合、資産を外貨で保有していれば、日本円でインフレの影響を受ける影響を少なくしながら、資産を守ることができるかもしれません。
3.「時間」の分散
金融商品を複数回に分けて購入、売却する方法です。ドルコスト平均法はこの時間の分散を利用した考え方です。
ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を常に一定の金額かつ時間を分散して定期的に買い続ける方法です。この方法で金融商品を購入し続けた場合、価格が低いときの購入量は多くなり、価格が高いときの購入量は少なくなります。
その結果、毎月同じ数量を買い続けた場合と比較すると、同じ金額で買い続けたほうが取得単価が低くなる可能性があります。もちろん、相場の上昇のタイミングではこの限りではありません。
つみたてNISAがこの時間分散を利用した投資方法の代表例です。
つみたてNISAは毎年40万円を積み立てて、最長20年間保有できることとなっていますが、つみたてNISAで購入できる投資信託は継続的に金融機関によって絞り込まれています。もし、毎月の積立額に余裕があり、5年間の積立で運用可能であるなら、以前からあるNISAの120万円枠で積立をするという選択肢もあります。
NISAはつみたてNISAの対象となる投資信託も選択が可能で、それ以外の投資信託(例えば、もう少しリスクをとった変動が大きな投資信託)やETF(上場投資信託)等を選択できます。積立をする前提でも、つみたてNISAに限らず、NISAも検討してみましょう。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
ドルコスト平均法は万能ではない
「時間」の分散をしたドルコスト平均法は万能なのでしょうか? 実は、ドルコスト平均法には弱点があります。
ドルコスト平均法は、金融商品の価格が変動することを前提としています。高いときと安いときがあり、売却するときに高くなっていれば、理論どおり安いときにたくさん買えて売るときに高く売れるということになりますが、買い始めてからずっと下がり続けた場合はどうでしょうか?
日経平均やTOPIX連動型の投資信託等を毎月購入している際に、ずっと価格が下がり続けた場合において、積みあがる含み損に我慢ができず売却した場合は、損失を確定させることになります。この場合において、ドルコスト平均法による投資は資産形成に有効ではないということです。
しかし、10年、20年の期間で過去の日経平均の推移を見てみると、ずっと下がり続けたことはありません。その点から、10年や20年という長期で投資を考えた場合は、ドルコスト平均法を用いた投資方法は、資産形成に有効だと考えます。
ただし、2年や3年などの短期での投資の場合は、上記に記載した状況に陥ることもあることを抑えて、ドルコスト平均法による投資を行っていただきたいと思います。
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者