投資信託運用者の半数が損!? カギは長期投資と積立投資
配信日: 2019.03.26 更新日: 2019.06.26
ネガティブなイメージを抱くかもしれませんが、基本知識さえ押さえれば、投資信託は資産形成に役立つツールになるはず。ポイントは、積立投資と長期投資です。
執筆者:國村功志(くにむら こうじ)
CFP(R)、証券外務員一種
大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品営業に携った後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経験。現在は資産形成専門FPとしてセミナーや個別相談のほか、マネー系記事の執筆も行う。個人でも投資信託やFXでの資産運用を行い、実践に即したわかりやすいアドバイスを心がけている。
目次
投資信託保有者のリターンは金融機関によって異なる
金融庁のデータのなかで注目されたのは「運用損益別顧客比率」(※2)です。投資信託保有顧客を運用損益で分類したデータですが、46%の顧客がマイナスリターンに沈んでいました。
このデータは2018年3月末時点で保有する投資信託の収益をカウントしているため、それまでに利益確定などの理由で売却した投資信託は含まれていません。売却した投資信託も含めたデータでは、トータルリターンがプラスの顧客は約1割多いようです。
つまり、損失となっている顧客比率は、実際には金融庁のデータほど多くないと考えられます。
とはいえ、リターンがプラスの顧客も決して多いとは言えません。金融機関によってもプラスリターンの顧客比率は異なります。なかには、プラスの顧客が8割以上いる金融機関(※3)もあります。
それらは、ほかの金融機関といったい何が違うのでしょうか。
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プラスリターンの顧客比率が高い金融機関は積立投資と長期投資を推奨
金融庁はプラスリターンの顧客の多い金融機関にその要因を確認しています。各社の回答で共通していたのは、「積立投資」と「長期投資」でした。上位3社は、顧客に対して積立投資と長期投資の有効性を繰り返し説明しており、それを実践していた顧客が多かったのです。
積立投資と長期投資の効果とは
積立投資は、同じ商品に毎月一定額を投資する方法です。
1回の投資が少額であることが多く、ある程度の金額になるには時間がかかります。長期投資になればなるほど短期的な変動に影響されにくくなり、購入時期が分散されることで高値づかみを避けることもできます。
毎月淡々と買うことによって平均購入価格を下げる効果が期待でき、リターンを得るのに必ずしも投資対象の値上がりを必要とするわけではありません。
日経平均株価に長期・積立投資をしたら…
実際の日経平均株価で積立投資のシミュレーション結果を確認してみましょう。
出典:金融庁「つみたてNISA100万口座突破!~あなたとあなたの家族の夢を応援します」P.9 長期・積立・分散投資(2)
日経平均株価は積立開始当初より下がっていますが、資産評価額は積立総額を上回りはるかにプラスです。株価の低い間も積立投資を長期間続けたことによって平均購入価格が下がり、元の株価の半分ほどに値を戻しただけでリターンになったのです。
積立投資と長期投資が資産形成のカギになる
投資は元本が保証されておらず、常に金額が変動するため、不安に感じる人も多いでしょう。場合によっては損をすることもあります。
しかし、多くの顧客がリターンを得ている金融機関があるのも事実です。
そのような金融機関から学べることは、積立投資と長期投資が安定的な資産形成のカギになるということです。「つみたてNISA」や「iDeCo」といった制度も活用して、長期的な資産形成をしていきましょう。
参照・出典
(※1)金融庁「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIの定義」
(※2)金融庁「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIを用いた分析」
(※3)金融庁「販売会社における比較可能な共通KPIの傾向分析」
(※4)金融庁「つみたてNISA100万口座突破!~あなたとあなたの家族の夢を応援します~」
執筆者:國村功志(くにむら こうじ)
CFP(R)、証券外務員一種