ケアマネの求人への応募で、押さえておきたいポイントは? |ファイナンシャルフィールド

ケアマネの求人への応募で、押さえておきたいポイントは?

終更新日: 2023.07.10 公開日: 2023.07.08

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者: FINANCIAL FIELD編集部

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ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得し、求人に応募する時には、どのようなことに注目するのが良いのでしょうか? 求人情報はハローワークだけでなく、ネットや求人情報誌などにも掲載されています。

多種多様な求人情報を読む際に「自分が働きたい職場は?」「給与や待遇面は、どんな内容が多いか?」「働く上で必要なスキルは何か?」など、様々な疑問や心配事が出てくるかもしれません。それらは、求人に応募する際に押さえておくべきポイントなのです。

本記事では、求人に応募するために押さえておきたいポイントとして、先輩ケアマネジャー達が活躍している職場と業務内容・給与や待遇・求められるスキルなどについて解説します。

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求人には、どんな職場がある?

ケアマネージャー(介護支援専門員)の求人は、様々なところから出ています。大きく3種類に分類すると「居宅介護支援事業所」「介護施設・医療施設」「その他(自治体など)」です。

居宅介護支援事業所とは?

居宅介護支援事業所とは、介護や支援の対象となる高齢者が自宅で介護サービスを受けられるように、サービスを受ける本人とその家族を支援する役割を担っています。居宅介護支援センター、小規模多機能居宅介護などがあります。デイサービス、訪問介護、訪問看護などのサービスと併設しているところが多く、単独で開設している事業所もあります。

居宅介護支援事業所では、どんな業務をする?

ここでのケアマネージャーの業務は主に介護相談・ケアプラン作成・給付管理業務で、介護保険に関する申請の代行業務も行います。介護認定を受けて、要支援・要介護と認定された高齢者が、在宅で必要な介護サービスを受けられるようにするのが目的です。

ケアマネジャーが担当する利用者数は上限35人までと決められています。その理由は利用者の自宅訪問や介護サービス事業者・自治体へ出向くことがあり、1件あたりの所要時間が多いためです。

ケアプラン作成とは、まず利用者の自宅へ出向き、利用者本人と家族に面談(家族が遠方の場合は電話での聞き取り)を行い、普段はどのような生活か・どのような支援と介護を必要としているのかを把握し、現時点の問題点や将来の課題なども確認します。

面談で収集した情報をもとに、一人ひとりに合わせたケアプランを作成し、利用者・介護サービス事業者の関係者とともに「サービス担当者会議」を開き、ケアプランの詳細な内容を決定します。

利用者本人と家族の同意を経て介護サービス事業者と契約を結んだら、介護サービスが始まります。利用者が介護サービスを受けている間、定期的に利用者の自宅を訪問し、身体の状態や生活状況などを確認します。この訪問結果をもとに、必要に応じてケアプランの見直しも行います。

給付管理業務とは、介護サービスを行った報酬が国民健康保険団体連合会(以下「国保連」)から支給されるように行う書類作成業務などをさします。

利用者が介護サービスを利用すると、介護サービス事業者は明細書を作成します。あわせてケアマネジャーは給付管理票を作成し、国保連が明細書・給付管理表の内容を審査して介護給付費を支払います。明細書・給付管理票のどちらかだけでは介護給付費が支払われません。

また、利用者がケアプランに沿った介護サービスを受けられているか・不要な介護サービスが行われていないかのチェックも行えるので、ケアマネジャーには大切な毎月業務です。

介護施設・医療施設とは?

介護施設・医療施設とは、介護が必要な高齢者を受け入れて、施設内での介護・医療を行う施設をさします。介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護療養型医療施設、特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホーム)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などがあります。

介護施設・医療施設では、どんな業務をする?

ここでのケアマネージャーの業務は主に、居宅介護支援事業所と同じくケアプラン作成です。施設入居者と家族と面談し、サービス担当者会議を経てケアプランを作成します。ケアマネジャーが担当する利用者数は上限100人までと決められています。その理由は施設内の入居者が対象なので移動時間が無く、1件あたりの所要時間も短めなためです。

居宅介護支援事業所の利用者は担当地域内に散らばっていますが、施設入居者は施設内に居るため、自宅訪問の必要が無い点もあります。介護老人保健施設の場合、自宅復帰を目指す人が多い傾向なので施設スタッフとの情報交換などの連携が必要になってきます。

ケアプランは、施設入居者が快適な生活を過ごせるように作成します。利用できる介護サービスは、主に施設内で行われる介護サービスです。施設に勤務するケアマネジャーは、現場での介護業務や介護事務作業を兼任することもあります。

その他の職場には、何がある?

その他の職場には、自治体での介護保険認定調査員(任期付き職員)や、小規模多機能型居宅介護事業所などがあります。

給与などは、どんな条件が多い?

求人での給与条件などは、どんな条件が多いのでしょうか? まずは平均給与額をみていきましょう。

厚生労働省の「令和3年度 介護従事者処遇状況等調査」によると、全事業所の介護職員(月給・常勤)の平均給与額で、ケアマネジャー(介護支援専門員)の令和3年9月時点の平均給与額は33万2640円です。

(平均基本給22万7520円、平均手当額5万6820円、平均一時金4万8300円) 非常勤の平均給与額は20万4580円です。(平均基本給16万4630円、平均手当額2万7300円、平均一時金1万2650円) (平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の、6分の1)で計算されています)

勤務形態のうち、常勤は約87.3%、非常勤は約11.8%で、常勤で働いている人がほとんどです。常勤・非常勤ともに平均年齢は40代~50代が多く、勤続年数も長い傾向です。

施設ごとの平均年齢・勤続年数・実労働時間・平均給与を、常勤・非常勤で分けた2つの表で見比べてみましょう。(図表1・図表2)

図表1 常勤職員(月給)
平均年齢 平均勤続年数 実労働時間 平均給与
介護老人
福祉施設
46.3 15.3 163.2 41万450円
介護老人
保険施設
45.9 14.9 159.9 38万5780円
訪問介護
事業所
52.5 12.3 170.1 36万4630円
通所介護
事業所
48.0 11.1 165.3 31万8490円
通所リハビリテーション
事業所
47.5 14.4 162.8 36万5260円
厚生労働省 令和3年度 介護従事者処遇状況等調査を基に作成

図表2 非常勤職員(時給)
平均年齢 平均勤続年数 実労働時間 平均給与
介護老人
福祉施設
56.6 12.5 104.3 14万4340円
介護老人
保険施設
48.6 5.9 103.1 14万8500円
訪問介護
事業所
56.1 7.2 59.5 10万0040円
通所介護
事業所
該当なし 該当なし 該当なし 該当なし
通所リハビリテーション
事業所
該当なし 該当なし 該当なし 該当なし
厚生労働省 令和3年度 介護従事者処遇状況等調査を基に作成

常勤・非常勤ともに、施設に勤務するケアマネジャーは給与が高い傾向にあります。その理由として、業務量や業務範囲に比例しているからです。施設勤務では介護業務や夜勤を求められることもあるため、通勤手当や資格手当だけでなく各種手当が加えられている事業所もあります。

この他に、地域包括支援センターから要支援・要介護認定調査の委託が行われることもあり、1件当たり平均4000円程度が支払われます。

ケアマネジャーの報酬は、どこから支払われる?

ケアマネジャー(介護支援専門員)を含め、介護職員の給与は介護保険から支払われています。国が決めた介護報酬金額に基づき、介護事業所で行った介護サービスに対して利用者は介護サービスにかかった費用の1~3割を支払い、残額を国保連が介護給付費として支給します。

介護事業所は毎月支給される介護報酬から必要経費などを差し引き、残りが介護職員の賃金となります。介護職員の賃金を向上するために、国が設定した要件を満たした介護事業所には「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」が支給されています。

勤務時間は、どのくらい?

常勤・非常勤ともに、事業所の求人では勤務時間は9:00~18:00(休憩時間 1時間00分)が多く、施設勤務では交代シフト制(曜日や時間帯など)を導入しているところもあります。

休日は、どのくらい?

常勤の場合は年間休日は106~120日前後で、事業所によっては夏季休暇・年末年始休暇・産前産後休暇・育児休暇・介護休暇などを求人に提示しているところもあります。

待遇面で、他とは違う特色を出している事業所はある?

介護職員の待遇改善と離職防止のため、近隣の介護事業所と違う特色をホームページなどに提示しているところもあります。

例えば、子育て支援のために託児所を併設している・勤務中の食事代の補助金支給・資格取得の支援金支給や、有給休暇の取得を推進しているなどです。給与・勤務時間・通勤範囲などで大きな違いが無い場合、自分の希望に合う特色を提示している事業所に応募するのも良いでしょう。

事業所に勤務している職員数や行っている介護サービスの詳細を調べるには?

厚生労働省が「介護事業所・生活関連情報検索(介護サービス情報公表システム)」をインターネットで公開しています。

このシステムでは介護事業所・地域包括支援センター・サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム・介護相談窓口などが掲載されていて、利用者が介護サービスや事業所・施設を比較して選ぶための情報を検索できます。

公表システムに情報が掲載されるには、提供している介護サービス内容や利用者数・職員数などを介護事業者が各都道府県に報告し、都道府県で報告内容の審査を経ています。 この公表システムを利用して、応募したい事業所の概要などを調べるのも良いでしょう。

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ケアマネジャー(介護支援専門員)として、働くうえで求められるスキルは?

ケアマネージャー(介護支援専門員)として働くうえで、求められるスキルは何でしょうか? 大きく4つに分類します。

(1)マネジメント能力

「居宅介護支援事業所」「介護施設・医療施設」「その他(自治体など)」と様々な職場で共通して必要なスキルに「マネジメント能力」があります。

その理由は「ケアマネージャー」という名称に含まれています。利用者・介護サービス事業者・自治体などとスムーズに連携し、利用者が介護サービスを受けやすくQOL(生活の質)を保てるようにマネジメントすることが求められます。

利用者の受け持ち数が多いほど、業務に追われてしまいがちです。ケアプラン作成やサービス担当者会議の日程調整も必須で、毎月業務である給付管理業務の書類提出などが遅れると、介護給付費の給付も遅れ、介護サービス事業者の事業運営に影響が出ます。

自分に関わっている利用者・介護サービス事業者などのスケジュールや介護状況を把握して定期的なケアプラン見直しを行えることも必要になってきます。職場によって事務や介護など様々な種類の業務を同時にこなす場合もあるので、適切なスケジュールを考えて遂行するための時間管理能力も大切です。

(2)コミュニケーション能力

職場内だけでなく、利用者・家族などとのコミュニケーション能力も求められます。

特に、利用者への最初の面談で「利用者にはどんな介護サービスが適切なのか」を判断するために「利用者が生活上で精神的・身体的に困っていること」「家族が困っていること」「利用者の現時点の心身状態(病気や認知症の有無など)」などの詳しい情報を、短時間で聞き取り調査(アセスメント)することが重要になってきます。

利用者・家族によっては、面談と聞き取り調査に難色を示す場合もあるので、少しづつ協力してもらえるように働きかける対応が必要なこともあります。ケアプランを作成した後のサービス担当者会議では、利用者・介護サービス事業者と限られた時間内で円滑に話し合えるような対話能力も必要です。

利用者の心身状態は日々変化してゆくので、利用者・介護サービス事業者と情報交換をこまめに行い、最適なケアプランへ定期的に変更してゆくことも求められます。

(3)介護スキル

ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護業務に従事してから資格取得する人が多いですが、勤務経験など定められた要件を満たす医療者(看護師・薬剤師など)が試験に合格し研修を受講すれば、介護業務未経験でも資格を取得できます。

介護業務未経験の場合、利用者に必要な介護サービスは何なのか分からず、ケアプラン作成が難航することもあります。

職場によっては、介護業務未経験でも介護実習や経験者と一定期間ペアを組んで教育するところもありますが、多くの職場では人員に余裕が無くてケアマネジャー1人で様々な業務をこなしています。介護施設・医療施設に勤務する場合、介護業務を兼任することもあります。

介護スキルを身に着けておくことで、介護サービス事業者の視点や利用者の希望に沿ったケアプランが作成しやすくなります。

(4)パソコン操作

ケアプランの作成などの書類作成業務には、パソコン操作が必須です。利用者などへの面談では手書きでメモすることが可能ですが、情報収集したことをまとめたり職場内で共有するには手書きよりパソコンでの文書にするのが適切です。

感染症対策で、施設入居者と家族の面会や、介護サービス事業者とオンライン会談を行う職場もあるので、操作に慣れておくのも良いでしょう。

介護職として、将来はどのように働きたいかを考えてみよう

ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得した先には、様々なキャリアアップへの道が開かれていて、主に「上位の資格取得を目指す」「介護講師になる」「介護サービス事業所を開く」などがあります。

上位の資格とは?

ケアマネジャー(介護支援専門員)として経験を積んだ人向けの上位資格に「主任ケアマネジャー」があります。

ケアマネジャーへの指導や相談を受けるリーダーとしての役割と、地域の介護課題を把握し適切に解決するなど、経験と深い専門知識が必要な職種です。地域包括支援センターでは主任ケアマネジャーが常駐することが義務付けられていて、幅広くケアマネジメント支援を行います。

主任ケアマネジャーになるには「主任介護支援専門員研修」を受講することが必須で、座学・実習・事例検討などを学びます。受講するためには、主に以下の図表3の条件を満たすことが求められます。

(図表3)

・専任のケアマネジャーとして勤務していた期間が、通算で5年(60ヶ月)以上である人
・ケアマネジメントリーダー養成研修を修めた人で、さらに専任のケアマネジャーとして働いた期間が通算して3年(36ヶ月)以上である人
・主任介護支援専門員に準ずる者として、地域包括支援センターに配置されている人
・ケアマネジャーの業務に関し十分な知識と経験を持っており、都道府県によって認められた人

厚生労働省 主任介護支援専門員研修ガイドライン

主任ケアマネジャーの資格は5年ごとに更新研修が定められていて、継続的な学習が必要です。責任も重くなりますが、収入もアップし、転職にも有利です。

介護講師になるには?

介護講師は、介護職を目指す人に知識と技術を教える業務が中心で、介護福祉士資格(国家資格)での実務経験が5年以上必要です。介護福祉士資格からケアマネジャーにステップアップした人は介護講師になりやすいと言えるでしょう。

職場には介護職員初任者研修や実務者研修を行っている会社、福祉系の大学・短期大学、介護福祉士養成学校などがあります。

少子高齢化が進み、介護が必要となる高齢者も増加しており、介護職を養成するニーズは高くなっています。

厚生労働省が令和3年に発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2019年度の職員数211万人と比較して2023年度には約233万人(+約22万人(5.5万人/年))、2025年度には約243万人(+約32万人(5.3万人/年))、2040年度には約280万人(+約69万人(3.3万人/年))の介護職員が必要であるとされています。

図表4

厚生労働省 介護職員の必要数について

介護職員が必要とされることにともない、介護講師も必要とされてくる可能性があります。確かな知識と介護技術を持った介護職員を養成して介護の世界の技術水準を向上するために、介護講師は高度な知識と技術が求められる存在です。

自分が重ねてきた経験や苦労などを教えるだけでなく、介護に関する制度や技術は日々変化しているので、新しいことを習得して伝えてゆく努力も必要とされる仕事と言えます。講師の求人数は介護職員の求人よりは少なく、定期的に求人サイトなどをチェックして応募の機会をつかむのが良いでしょう。

介護サービス事業所を開くには?

介護サービス事業所を開くには最初に「どの介護サービス業務を行うか」を決める必要があります。

<訪問介護など、行政との事前協議が不要な事業所開設への流れ>

・事業の開始時期、サービス提供の地域などを決定
・損益計画、資金計画などの事業計画を作成
・介護事業ごとに異なる人員・設備的要件と申請先行政機関を確認し、準備する
・株式会社・NPO法人などを設立(介護事業者の指定を申請する条件の一つに、法人格が必要という条件があるため)
・事務所の賃貸借契約・必要な職員の確保・事務所備品の準備(介護事業者用の損害賠償保険にも加入する)
・事業を開始する地域を管轄する市または都道府県に、申請受付期間内に申請
・指定事業者の決定がされた後、管理者を対象として研修がおこなわれ、研修終了後、指定書が交付されます。



<デイサービスなど、行政との事前協議が必要な事業所開設への流れ>

事前協議が不要な事業所開設の流れとほぼ同じですが、行政との事前協議が必要です。

事業を始める際に、施設が介護保険法や老人福祉法に適合しているか確認するもので、施設の新築や改修の前に事前協議を行う必要があります。事前協議の後、介護事業者指定申請および現地調査(行政が事業施設に立会い調査する)が行われます。

介護事業所の指定日(開業日)は原則、各月の1日です。介護サービスの種類を増やすにはそれぞれ指定申請が必要ですので、社労士・行政書士などの専門家に相談するのも良いでしょう。



まとめ

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、様々な職場で介護スタッフ達の中心となって、利用者の介護が順調に行われるようにマネジメントとサポートを実施してゆく「介護支援の専門家」です。ケアプランの作成から見直しまで、細かい情報収集と利用者の立場に立った介護サービスを考えてゆくことが求められます。

自分が働きやすく、将来の目標も考えられる職場に就職・転職できるように、求人情報を細かく確認して応募先を決めることも良いでしょう。

出典

厚生労働省 令和3年度 介護従事者処遇状況等調査(概要)
兵庫県西宮市 要介護認定調査業務委託契約について
厚生労働省 介護サービス情報公表システム
厚生労働省 公表システムの概要
厚生労働省 主任介護支援専門員ガイドライン
厚生労働省 介護人材確保に向けた取り組み
新潟県 介護保険事業者指定申請の手引き(概要)


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