執筆者: FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
▼
新生児から思春期までの小児期の病気を診断して治療するため「子どもの総合医」といわれる「小児科医」。
近年では、医療の現場は専門分野への分化が進み、全人的医療が失われている面があるなか、小児科医は臓器別に偏ることなく幅広い知識や技術が求められ、日常的によくある病気にも対応することが求められます。
一方で、女性医師の割合も高い小児科医ですが、病院によっては、子どもや乳幼児の容態が急変するなどの急性期医療を求められる可能性があり、子育て中で時短勤務をしている医師などにとっては、厳しい側面もあります。
この記事では、小児科医の仕事内容から転職市場や求人動向、転職成功のポイントまで解説します。
子どもや保護者から症状を聞きながら、また、乳幼児の場合には、その様子を観察し、異常がないかを聴診や触診などにより診察します。
必要に応じて、看護師に血液やX線などの検査を依頼したり、点滴や注射、患部の処置に関する指示を与えたりしながら、診察や検査結果から総合的に判断して病名を診断します。
診断内容に合わせ処方せんを作成し、診察内容をカルテに記載、診断書など必要な書類を作成します。医薬品の服用の仕方、注意事項などを保護者に指示することも必要です。
子どもがかかりやすい、はしか、おたふく風邪や喘息などから、日常的にかかる風邪など、対応しなければならない病状は様々です。「小児科」といっても新生児から15歳くらいの子どもまで年齢や発育状態は多岐にわたるため、それぞれに合った診療方法や処方する薬の種類、量などを判断することが求められます。
幼い子どもは症状が急変したり、突然、熱が出たりするので、勤務する病院によっては、時間外診察もたびたび起こりえます。
また、臓器別の高度医療に限らず、年齢とともに大きく変わる身体やこころの発達に合わせて、幅広い医療の提供が求められます。 小児科のなかにも、小児がんなどより専門的な分野に対応する「小児外科医」という科もあります。
育児へ不安を抱える母親のサポートをしたり、障害などハンディキャップのある子どもとその保護者を支援したり、また、子どもの性格や家族の生活方法に応じて、一番適した育児方法をともに考えることが求められる可能性もあります。
地域のニーズに応じて、検診会場や学校などに出向き、予防接種や集団健診などを実施したり、子どものみならず、子どもを取り巻く家族・地域の人々に対する支援が求められています。
繊細な子どもの変化にいち早く気づくためには、日頃からの密なコミュニケーションが大切で、小児科医はかかりつけ医としての活躍も求められています。
小児手技のスキルアップセミナーなどで、遭遇しうる患者の急変対応を、VR技術を活用し、シミュレーションを行ったり、新生児患者への対応、気管挿管、中心静脈路確保、骨髄路確保、エコーなど小児科医に必要な様々な手技を学ぶこともあります。
様々な病気やウイルスの発見、発生に対応するため、日々新たな治療法や有効な薬が開発されており、最新の情報を取得しておくことが大切です。
図表1
※独立行政法人 労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査を基に作成
また、小児科医の年収分布をみると、1000万円〜1500万円のボリュームゾーンが約3分の1ともっとも多くなっており、1500万円を超える割合は36.1%となっています(図表2)。
図表2
※独立行政法人 労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査を基に作成
これらも踏まえ、小児科医に求められるスキルや資質について解説します。
診療科目に関係なく、日々患者さんと接する医師にはコミュニケーション能力が必要ですが、特に小児科医は重要となります。
まず、言葉が話せない乳幼児やうまく自分の気持ちや症状を説明できない子どもに対しても、あたたかく、かつ辛抱強くコミュニケーションをとり続ける必要があります。子どもの話にじっくり耳を傾けると同時に、子どもにもしっかりと伝わる話し方が必要です。
また、子どもの代わりに保護者とのコミュニケーションが求められる場面も多くなります。特に、急に容態が悪くなりパニックになる保護者に対して、冷静な対応や声掛けが必要となることもありますし、時には保護者の対応をなだめたり、注意しなればならないこともあります。
小児科医には、子どもの疾病に不安を感じている保護者の気持ちにも寄り添いながら、状況に応じた高いコミュニケーション能力をベースとした対人能力が求められます。
内科や外科ほど小児科は専門分化されていないため、臓器ごとの疾患はもちろん、心理面や家庭環境などを含めて、多岐にわたる診療が必要となります。
例えば、内科であれば、呼吸器科、循環器科、消化器科、神経内科などに細分化され、それぞれに医師が配置されています。
一方、小児科はもともと総合診療の要素が強い診療科目であり、内科と同様の広範囲領域すべてをカバーしなければなりません。 そのため、小児科には、子どもの症状や疾患に対して対応できる、幅広い知見が求められます。
小児科医は、こういった子どもの小さなサインにも、その様子を観察し、症状を推し量れる観察力が必要です。
保護者から症状や経緯を聞き取りながら、丹念な診察をすることで、言葉を話せない子どもの訴えを読み取る力が求められるのです。 診察を通して子どもの小さな身体の声を聞くことが重要という意味で、小児科医には、診察力が最も重要な力の1つでしょう。
このように、小児科医は病気の治療だけでなく、子どもの成長自体に大きく貢献できる仕事です。
胎児から乳幼児、思春期と子どもが成長する中で起こる様々な身体の問題に取り組むことが求められ、一般的な内科の知識はだけでなく、子どもの発育に関わる分野など、幅広い知識と経験が求められます。
毎年の小児科の医師数推移では、2010年(平成22年)が1万5870人に対し、2020年(令和2年)には1万7997人と年々増加傾向が続いています。 小児科医師の特徴の1つとして、女性の割合が高く、病院施設で37.2%、診療所で34.0%を女性医師が占め、およそ3人に1人以上が女性医師となっています。
これに対して、厚生労働省の「必要医師数実態調査」によると、小児科の現員医師数8537人(正規雇用のほか短時間正規雇用、非常勤含む)に対する必要医師数の倍率は1.16倍となっており、全診療科の倍率(1.14倍)より若干高くなっています。
この背景には、医学の専門分化の進行により、従来小児も診ていた内科医が小児を診なくなっていることなども考えられます。
また、一般の方の医学知識の普及により、小児の専門医である小児科医に診てもらいたいという意識の高まりや、かかりつけ医に小児科専門医を選択する親が増加していることも考えられます。
さらに、子どもは急変しやすく、救急医療は小児科の重要業務であり、急性期病院や基幹病院では救急に対応するため小児科医の増員が求められている状況です。
このように少子化が進むなかにあっても、小児科医の求人需要は高い状況が続いており、虐待対策などの社会医学、周産期医療、思春期医学、小児精神医学などの分野における人材需要もあります。
これに対し、小児医療は、成人医療に比べておよそ3倍の人手と時間を必要ともいわれ、投薬量や通院、入院日数が少ない小児科は、病院経営のなかでは不採算部門といわれます。
そのため、小児科を有する施設数は減少傾向であり、さらに、女性医師の割合も多く家庭との両立が難しく、過重労働になりやすいことから小児科医の不足が続く要因となっています。
また、新生児医療の現場では特に求人が多く、エリアによっては地域医療の健全化のために小児科医を切望している地域もあります。
総合診療をベースとして専門性が求められる小児科では、1人の医師が急性期から慢性期を連続して担うことができ、専門医としてカテーテル治療や造血幹細胞移植などの高度医療を担うことができる医療機関もあります。
小児科専門医が必須・歓迎という求人もあり、新生児対応、当直、夜間外来など、どこまで対応できるかが、年収や転職の合否を決める重要なポイントになります。
子ども特有の疾患が多い小児科の病院では、救急対応、新生児対応、産科と連携し、NICU診療(新生児集中治療室)が可能な医師を募集している求人は、高いスキルを求められる可能性があります。
そうした医療現場の状況を鑑み、当直時間を労働時間とカウントしてシフトを組む施設や女性医師のワークシェアを推し進める医療機関も増えおり、週3日の勤務形態や託児所・院内保育など設備が充実している医療機関もあります。
クリニックや中小の病院では、外来中心の業務も多く、勤務シフトが配慮され、無理なく働きやすいところも多くなります。
そのため、病棟の受け持ちに加え、当直は週1回など、積極的に働きたいという勤務内容になれば、現職より給与アップも狙いやすいでしょう。給与は院内規定により決定する医療機関が多いなか、給与交渉が可能な病院も多くあります。
その一方で、多くの女性医師が、育児や家事が原因で、小児科臨床の現場を離れている現状もあり、女性医師が働きやすい環境整備が求められています。
産前産後の休業や育児休業が確保できる、院内に保育施設や24時間体制の託児所が完備されている、そのほか0歳児保育、延長保育・24時間保育などの子育て支援や休業期間を補てんする小児科医の体制が整備されているなどの条件は、人気となります。
時短勤務から週3日勤務など、様々な働き方もできますが、忙しくても、様々な症例経験を積み、それに見合う報酬をもらいたいと考える医師もいます。
特に、前職からの収入アップや業務内容に見合う評価を受けていないことが転職理由となっている医師には、収入面の条件は重要になります。
安定的な経営を行い、給与水準が高い医療機関では、外来や病棟管理のほか、救急車搬送の病児や正常新生児、病的新生児の診療など豊富な症例によりスキルアップを図りながら、高収入を得られるものもあります。
「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、小児科医のうち、主たる勤務先で日直が必要とされている割合は73.6%、宿直が必要とされている割合は71.7%と、全診療科の平均と比べても高水準です。
また、1度の宿直で10名以上患者さんの診療にをした割合は33.3%で、救急科(35.3%)に次ぐ高さです。総合病院などで地域の中核として小児医療を担う医師などは、過酷な勤務環境にあるといえます。
こういった状況のなかで、当直やオンコール対応がない、あったとしてもワークライフバランスを重視し、勤務条件に柔軟に対応してもらえる医療機関などは人気になりやすい傾向です。
転職時に専門医の取得の有無は、一定の経験があるかどうか、技能・知識を身につけているかどうかの目安として判断されます。
特に、急性期病院では、診察・検査・治療を比較的短期間のうちに集中的に行うため、専門的な診療能力が必要とされる機会が増えることもあり、専門医のニーズも高くなる傾向にあります。
また、子どもだけでなく保護者とのコミュニケーションも必要で、医療に関する知識以外にも、社会人としての対人・対話スキルを求める医療機関が多い傾向です。
そのため、単に子どもが好きなだけでは、長く勤務し続けることは難しいと考える医療機関も多く、なぜ小児科で働きたいのかという志望動機が大切になります。
採用する医療機関側の選考ポイントとして、これまでの経験や専門分野(循環器、未熟児、小児障害など)、新生児対応や当直や夜間のオンコール対応などだけでなく、診療に対する姿勢や要望が知りたいという点は踏まえておく必要があります。
新専門医制度や地域包括ケア構想、診療報酬の改定、人工知能や遠隔診療などの最新技術の臨床応用、医師の働き方改革など、医師のキャリアをめぐる現状は日々変化しています。
そのなかで、キャリア形成や働き方や自身の市場価値が良く分からない、相談したいという医師も増えています。
この点、転職エージェントは、豊富な転職実績に関するデータや市場動向を把握していますので、客観的な市場価値の判断からどれくらいの条件が妥当であるのかを提案してもらうことができます。
また、より多くの求人数から選択できるだけでなく、転職前に自らのキャリアプランや、家族を含めたライフプランの相談をすることができますし、収入や勤務条件などを代わりに交渉してもらうこともできます。
そのなかで、希望する勤務条件や働き方が明確にできれば、入職後に後悔することも少なくなるでしょう。
前の職場では週5日の勤務に加えて月7回ほど当直に入っていました。当直の際は一般小児救急にも対応し、さらにNICUも受け持っていたので、心身ともに疲れ切ってしまいました。
休日でも時間外の呼び出しも非常に多く、年齢的にもこの状態を続けるのは厳しいと感じ、地元である長崎県への帰郷を機に転職を決意しました。
【希望条件と転職先が決まるまでの経緯】
オンオフのはっきりした職場であること、また、多くの患者さんと直接関わることが好きなので、外来中心での勤務を希望。
長崎県で小児科求人を探したところ、職務内容は外来のみで当直に入らなくてよい、時間外勤務もほとんどない求人が見つかりました。さらに有給休暇の制度を活用し、10日間ほどの連休であれば取得可能でした。
希望条件の確認と求人の詳細説明を行いたいということで、担当コンサルタントにお会いすることになりました。面談の翌週には面接を行い、病院側からは理事長、院長先生、事務長が出席されました。
気になっていた本当に病棟管理は行わなくてよいのかという点について、病棟管理は院長先生が行っていることを説明いただき、安心して入職を決めることができました。求人への問い合わせから内定までとてもスピーディーに進み、約3週間で内定をもらうことができました。
※医師転職ドットコム 月7回の当直と時間外勤務に耐えかねて・・・を基に作成
病院の管理体制、昔ながらの公務員の天下り体質の環境に不満を感じ転職を決めました。
小児循環器を専門とし、前職ではNICUの専従として勤務してきました。業務内容にはやりがいを感じていましたが、休日、休暇も一切とれないこと、お盆や年末年始の休暇は連直など、職場環境の悪さに不満はたまる一方でした。
医師によって業務量に差があることも不満を感じ、業務量は増える一方、震災後給与カットが続いたことも転職を決断する要因となりました。
【希望条件と転職先が決まるまでの経緯】
新生児医療ができること、また、働きやすさを重視し、できれば学閥のない医療機関、欲をいえば、自分が中心となって医療を行える環境を希望しました。
また、現在の年収を下回らないことと安定性も重視したく、給与ベースが年々上がり、下がることがない医療機関を希望しました。条件に近い病院を当たっていただき、いくつか自分の希望に合う施設を紹介いただきました。
しかし、条件を詰めるなかで、給与ベースで折り合いがつかなかったり、最終段階で大学との関係上採用見送りになるなど、なかなか転職先が決まらずにいました。
そんななか、周産期に力を入れていながら、常勤の小児科医師が不在で、新生児対応可能な医師が欲しい医療機関を紹介いただきました。
施設の分娩数の多さ、理事長、院長の考えと地域における周産期医療充実の必要性、自分の頑張りや力量で、新生児医療を充実・拡大させていくことができる可能性に惹かれて入職を決めました。
※医師転職ドットコム 「病院の新生児医療を充実・拡大させる」というやりがいを手に入れるを基に作成
両親と同居するため、実家のある千葉に戻りたいと思い転職を考えました。
【希望条件と転職先が決まるまでの経緯】
週5日勤務で年収1000万円程度の勤務を希望していました。
もともと医局先のNICUで新生児対応などで勤務時間が長かったため、転職後は、土日連続で休めることや平日20時前後には帰宅できることを希望しました。
しかし、面接で具体的な業務内容を聞くうちに、自分にはある程度忙しい働き方が向いていることに気づき、前の職場より勤務条件が少し緩やかな病院への転職を決めました。
面接した病院は3ヶ所で、1ヶ所目は分娩数がそこまで多くなく、希望していたプライベートを重視できる病院。2ヶ所目は、地元の2次救急の受け皿として小児科の体制もしっかりしている一方、当番制で土日勤務が入ってくる病院。3ヶ所目は、新生児から小児の各専門まで幅広く対応する必要がある一方、常勤医師数など体制が整っているため大学病院よりは勤務時間が短くできる病院です。
異なるタイプの病院を紹介してもらったことで、勤務内容や職場環境、医師の生活が具体的にイメージできるようになり、自分は何を選ぶべきかが具体的に分かり、取捨選択できました。
やはり自分には、プライベートと仕事を両立させた働き方よりも、ある程度忙しく働いている方が性に合っていることに気づき、最終的に、4ヶ所目の病院のNICU勤務という元の職務に近い転職先に決めました。
※医師転職ドットコム 転職活動を通して、自分の求める働き方が見えてきたを基に作成
子どもが診療の対象となる小児科医は、うまく病状や身体の不調を伝えられない子どもとのコミュニケーションを円滑にすることが求められる一方で、急性期の子どもの治療にも冷静に対応しなければなりません。
内科や外科のように専門分化されておらず、1人の子どもをすべて診療できる広範囲の知識が必要となりますので、幅広い知識と高いスキルが求められると同時にやりがいがある仕事といます。
転職市場においても小児科医の需要は高く、小児科で働く女性医師にも配慮した働き方や環境整備を意識する医療機関も増えつつあります。
当直勤務の負担など労働環境の厳しさもある小児科医ですが、2024年4月から施行される「医師の働き方改革」では当直業務のあり方や時間外労働時間が変わる医療機関も出てくることが予想され、施設側にも医師の働き方を改善する取り組みが求められています。
転職活動においては、転職先の医療機関に求める条件、待遇を明確にした上で、これまでの経験やスキルをしっかりとアピールできるように準備してください。
独立行政法人労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査
厚生労働省 必要医師数実態調査詳細結果
医師転職ドットコム 月7回の当直と時間外勤務に耐えかねて・・・
医師転職ドットコム「病院の新生児医療を充実・拡大させる」というやりがいを手に入れる
医師転職ドットコム 転職活動を通して、自分の求める働き方が見えてきた
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
近年では、医療の現場は専門分野への分化が進み、全人的医療が失われている面があるなか、小児科医は臓器別に偏ることなく幅広い知識や技術が求められ、日常的によくある病気にも対応することが求められます。
一方で、女性医師の割合も高い小児科医ですが、病院によっては、子どもや乳幼児の容態が急変するなどの急性期医療を求められる可能性があり、子育て中で時短勤務をしている医師などにとっては、厳しい側面もあります。
この記事では、小児科医の仕事内容から転職市場や求人動向、転職成功のポイントまで解説します。
目次
小児科の仕事内容
診察や治療以外にも広範囲に広がる小児科医の仕事内容について解説します。小児科医の仕事(1)15歳くらいまでの子どもの診療・治療
「小児科医」の仕事は、主に15歳くらいまでの子どもを対象に、総合的に診療や治療を行います。子どもや保護者から症状を聞きながら、また、乳幼児の場合には、その様子を観察し、異常がないかを聴診や触診などにより診察します。
必要に応じて、看護師に血液やX線などの検査を依頼したり、点滴や注射、患部の処置に関する指示を与えたりしながら、診察や検査結果から総合的に判断して病名を診断します。
診断内容に合わせ処方せんを作成し、診察内容をカルテに記載、診断書など必要な書類を作成します。医薬品の服用の仕方、注意事項などを保護者に指示することも必要です。
子どもがかかりやすい、はしか、おたふく風邪や喘息などから、日常的にかかる風邪など、対応しなければならない病状は様々です。「小児科」といっても新生児から15歳くらいの子どもまで年齢や発育状態は多岐にわたるため、それぞれに合った診療方法や処方する薬の種類、量などを判断することが求められます。
幼い子どもは症状が急変したり、突然、熱が出たりするので、勤務する病院によっては、時間外診察もたびたび起こりえます。
小児科医の仕事(2)最新医療技術を駆使した集中治療
大きな病院で新生児科を担当する小児科医だと、出産前から産婦人科と連携し、先天性の病気に対して働きかけ、診療を行うケースもあります。 重篤な先天性疾患の場合は、最新医療技術を駆使しての集中治療なども行います。また、臓器別の高度医療に限らず、年齢とともに大きく変わる身体やこころの発達に合わせて、幅広い医療の提供が求められます。 小児科のなかにも、小児がんなどより専門的な分野に対応する「小児外科医」という科もあります。
小児科医の仕事(3)保護者への指導・助言
疾病への対応だけでなく、子どもの発達や健康に関して、保護者への指導や助言を行うことも小児科医の仕事の1つです。育児へ不安を抱える母親のサポートをしたり、障害などハンディキャップのある子どもとその保護者を支援したり、また、子どもの性格や家族の生活方法に応じて、一番適した育児方法をともに考えることが求められる可能性もあります。
小児科医の仕事(4)予防接種や集団健診など地域での活動
小児科医の仕事は治療だけではなく、地域の保健福祉事業と協力して、子どもやその家族、地域の人々をサポートし、地域のなかで子どもが健康に育つよう見守る役割もあります。地域のニーズに応じて、検診会場や学校などに出向き、予防接種や集団健診などを実施したり、子どものみならず、子どもを取り巻く家族・地域の人々に対する支援が求められています。
繊細な子どもの変化にいち早く気づくためには、日頃からの密なコミュニケーションが大切で、小児科医はかかりつけ医としての活躍も求められています。
小児科医の仕事(5)最新の医療情報の収集
書籍や論文から新たな医療情報を収集したり、症例検討会や研修に参加し、学会や雑誌で研究発表をするなど、医療技術を高めることも仕事の1つです。小児手技のスキルアップセミナーなどで、遭遇しうる患者の急変対応を、VR技術を活用し、シミュレーションを行ったり、新生児患者への対応、気管挿管、中心静脈路確保、骨髄路確保、エコーなど小児科医に必要な様々な手技を学ぶこともあります。
様々な病気やウイルスの発見、発生に対応するため、日々新たな治療法や有効な薬が開発されており、最新の情報を取得しておくことが大切です。
小児科医の年収
図表1は、診療科目別の平均年収をまとめたものです。 小児科医の平均年収は、1220.5万円となっており、全診療科目の平均年収1261.1万円よりやや低くなっています。図表1
診療科目 | 平均年収 |
---|---|
小児科医 | 1220.5万円 |
内科 | 1274.4万円 |
外科 | 1374.2万円 |
整形外科 | 1289.9万円 |
脳神経外科 | 1480.3万円 |
産科・婦人科 | 1466.3万円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1267.2万円 |
精神科 | 1230.2万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1078.7万円 |
救急科 | 1215.3万円 |
麻酔科 | 1335.2万円 |
放射線科 | 1103.3万円 |
その他 | 1171.5万円 |
また、小児科医の年収分布をみると、1000万円〜1500万円のボリュームゾーンが約3分の1ともっとも多くなっており、1500万円を超える割合は36.1%となっています(図表2)。
図表2
小児科医の年収分布 (主たる勤務先の年収) | 割合 |
---|---|
300万円未満 | 2.4% |
300~500万円未満 | 7.7% |
500~700万円未満 | 5.9% |
700~1000万円未満 | 14.8% |
1000~1500万円未満 | 33.1% |
1500~2000万円未満 | 28.4% |
2000万円以上 | 7.7% |
小児科医に求められるスキル・資質
小児科医に求められるスキルや資質はどういったものでしょうか。その前提として、子どもを診療する際のポイントとなる点がいくつかあります。 ●子どもとできるだけ触れ合う
●子ども目線の分かりやすい説明
●子どもの生活環境を把握する
●あたたかい問診・診察
●子どもに対しての身だしなみ
●家族に対し適切なケア指導を行う
●的確な与薬・処置の実践
小児科医に求められるスキル(1)子どもにも通じるコミュニケーション能力
小児科医に求められる大切な資質の1つは、コミュニケーション能力の高さです。診療科目に関係なく、日々患者さんと接する医師にはコミュニケーション能力が必要ですが、特に小児科医は重要となります。
まず、言葉が話せない乳幼児やうまく自分の気持ちや症状を説明できない子どもに対しても、あたたかく、かつ辛抱強くコミュニケーションをとり続ける必要があります。子どもの話にじっくり耳を傾けると同時に、子どもにもしっかりと伝わる話し方が必要です。
また、子どもの代わりに保護者とのコミュニケーションが求められる場面も多くなります。特に、急に容態が悪くなりパニックになる保護者に対して、冷静な対応や声掛けが必要となることもありますし、時には保護者の対応をなだめたり、注意しなればならないこともあります。
小児科医には、子どもの疾病に不安を感じている保護者の気持ちにも寄り添いながら、状況に応じた高いコミュニケーション能力をベースとした対人能力が求められます。
小児科医に求められるスキル(2)広範囲の診療領域に対応できる
小児科医には、症状や部位、器官などに関係なく、子どもが抱える疾患を幅広く診療できる資質が求められます。内科や外科ほど小児科は専門分化されていないため、臓器ごとの疾患はもちろん、心理面や家庭環境などを含めて、多岐にわたる診療が必要となります。
例えば、内科であれば、呼吸器科、循環器科、消化器科、神経内科などに細分化され、それぞれに医師が配置されています。
一方、小児科はもともと総合診療の要素が強い診療科目であり、内科と同様の広範囲領域すべてをカバーしなければなりません。 そのため、小児科には、子どもの症状や疾患に対して対応できる、幅広い知見が求められます。
小児科医に求められるスキル(3)子どものサインに気づける観察力
子どもは、うまく言葉で伝えることができない代わりに、サインを送っている場合があります。 ●息遣いがいつもと違う
●泣き止まない、泣き方がいつもと違う
●ずっと寝てばかりいる
●腕やお腹にひっかき傷がある
保護者から症状や経緯を聞き取りながら、丹念な診察をすることで、言葉を話せない子どもの訴えを読み取る力が求められるのです。 診察を通して子どもの小さな身体の声を聞くことが重要という意味で、小児科医には、診察力が最も重要な力の1つでしょう。
このように、小児科医は病気の治療だけでなく、子どもの成長自体に大きく貢献できる仕事です。
胎児から乳幼児、思春期と子どもが成長する中で起こる様々な身体の問題に取り組むことが求められ、一般的な内科の知識はだけでなく、子どもの発育に関わる分野など、幅広い知識と経験が求められます。
【最新】小児科の転職市場動向
小児科医の転職市場はどのようになっているのでしょうか。小児科医の医師数の推移や求人倍率なども含めて紹介します。小児科医の医師数と求人倍率
厚生労働省の「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、診療科別にみた従事する医師数(複数の診療科に従事する医師を含め)は、内科(9万1242人)、消化器内科(3万207人)に次いで多いのが小児科です(2万7928人)。毎年の小児科の医師数推移では、2010年(平成22年)が1万5870人に対し、2020年(令和2年)には1万7997人と年々増加傾向が続いています。 小児科医師の特徴の1つとして、女性の割合が高く、病院施設で37.2%、診療所で34.0%を女性医師が占め、およそ3人に1人以上が女性医師となっています。
これに対して、厚生労働省の「必要医師数実態調査」によると、小児科の現員医師数8537人(正規雇用のほか短時間正規雇用、非常勤含む)に対する必要医師数の倍率は1.16倍となっており、全診療科の倍率(1.14倍)より若干高くなっています。
小児科医の求人需要は高い
少子化が進むなか、子どもの減少に伴って施設数は減少していますが、小児科は常に医師不足の診療科です。 小児科医が働く施設としては、三次救急まで対応する急性期病院や地域拠点病院などと、外来のみのクリニックや診療所型施設への二極化が進行しています。この背景には、医学の専門分化の進行により、従来小児も診ていた内科医が小児を診なくなっていることなども考えられます。
また、一般の方の医学知識の普及により、小児の専門医である小児科医に診てもらいたいという意識の高まりや、かかりつけ医に小児科専門医を選択する親が増加していることも考えられます。
さらに、子どもは急変しやすく、救急医療は小児科の重要業務であり、急性期病院や基幹病院では救急に対応するため小児科医の増員が求められている状況です。
このように少子化が進むなかにあっても、小児科医の求人需要は高い状況が続いており、虐待対策などの社会医学、周産期医療、思春期医学、小児精神医学などの分野における人材需要もあります。
【最新】小児科医の求人傾向
ここでは小児科医師の求人の傾向について解説します。小児科の医師不足
少子化が進むなか、保護者の育児不安による経験・知識不足から少しの変化だけでも病院に連れていく親も多く、患者数の増加につながっています。これに対し、小児医療は、成人医療に比べておよそ3倍の人手と時間を必要ともいわれ、投薬量や通院、入院日数が少ない小児科は、病院経営のなかでは不採算部門といわれます。
そのため、小児科を有する施設数は減少傾向であり、さらに、女性医師の割合も多く家庭との両立が難しく、過重労働になりやすいことから小児科医の不足が続く要因となっています。
小児科医の求人傾向
医師不足が続くなか、小児科の求人は、常勤だけでなく非常勤、スポットの求人を含め、数多く出ています。 特に、救急対応している総合病院や地域の基幹病院の求人は多く、国公立・民間問わず募集が出ています。また、新生児医療の現場では特に求人が多く、エリアによっては地域医療の健全化のために小児科医を切望している地域もあります。
総合診療をベースとして専門性が求められる小児科では、1人の医師が急性期から慢性期を連続して担うことができ、専門医としてカテーテル治療や造血幹細胞移植などの高度医療を担うことができる医療機関もあります。
小児科専門医が必須・歓迎という求人もあり、新生児対応、当直、夜間外来など、どこまで対応できるかが、年収や転職の合否を決める重要なポイントになります。
子ども特有の疾患が多い小児科の病院では、救急対応、新生児対応、産科と連携し、NICU診療(新生児集中治療室)が可能な医師を募集している求人は、高いスキルを求められる可能性があります。
ワークライフバランスに配慮された施設も
小児科の勤務内容は外来診療に加え予防接種、乳児健診、病棟管理、当直、夜間外来などがあり、しっかりと休みをとることが難しい医療機関もあります。そうした医療現場の状況を鑑み、当直時間を労働時間とカウントしてシフトを組む施設や女性医師のワークシェアを推し進める医療機関も増えおり、週3日の勤務形態や託児所・院内保育など設備が充実している医療機関もあります。
クリニックや中小の病院では、外来中心の業務も多く、勤務シフトが配慮され、無理なく働きやすいところも多くなります。
経験によっては2000万円以上を狙える求人も
小児科の年収は、1000万円程度から1500万円超えるものまで幅広く、経験に応じて2000万円以上の高額給与を狙える求人もあります。 病院かクリニックか、病棟を持つか、当直の有無など、業務内容によって給与は大幅に変化します。そのため、病棟の受け持ちに加え、当直は週1回など、積極的に働きたいという勤務内容になれば、現職より給与アップも狙いやすいでしょう。給与は院内規定により決定する医療機関が多いなか、給与交渉が可能な病院も多くあります。
小児科医の転職で人気の求人条件
求人の需要が多い小児科医において、人気の求人条件はどういったものがあるのでしょうか。小児科医の転職で人気の求人条件(1)育児休業がとりやすい勤務環境が整備されている
女性医師の割合も高い小児科の求人において、育児休業などの休みがとりやすい点は、重要なポイントとなります。小児科医を目指す女性の数も多く、近年、中堅世代の小児科医は女性の比率が上昇傾向です。その一方で、多くの女性医師が、育児や家事が原因で、小児科臨床の現場を離れている現状もあり、女性医師が働きやすい環境整備が求められています。
産前産後の休業や育児休業が確保できる、院内に保育施設や24時間体制の託児所が完備されている、そのほか0歳児保育、延長保育・24時間保育などの子育て支援や休業期間を補てんする小児科医の体制が整備されているなどの条件は、人気となります。
小児科医の転職で人気の求人条件(2)給与が高い
小児科医の転職においても、給与の高さは人気条件の1つです。時短勤務から週3日勤務など、様々な働き方もできますが、忙しくても、様々な症例経験を積み、それに見合う報酬をもらいたいと考える医師もいます。
特に、前職からの収入アップや業務内容に見合う評価を受けていないことが転職理由となっている医師には、収入面の条件は重要になります。
安定的な経営を行い、給与水準が高い医療機関では、外来や病棟管理のほか、救急車搬送の病児や正常新生児、病的新生児の診療など豊富な症例によりスキルアップを図りながら、高収入を得られるものもあります。
小児科医の転職で人気の求人条件(3)当直やオンコール対応が少ない
当直やオンコール対応が少ないことも人気条件の1つです。「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、小児科医のうち、主たる勤務先で日直が必要とされている割合は73.6%、宿直が必要とされている割合は71.7%と、全診療科の平均と比べても高水準です。
また、1度の宿直で10名以上患者さんの診療にをした割合は33.3%で、救急科(35.3%)に次ぐ高さです。総合病院などで地域の中核として小児医療を担う医師などは、過酷な勤務環境にあるといえます。
こういった状況のなかで、当直やオンコール対応がない、あったとしてもワークライフバランスを重視し、勤務条件に柔軟に対応してもらえる医療機関などは人気になりやすい傾向です。
小児科医が転職を成功させる3つのポイント
小児科医が転職を成功させるためのポイントについて解説します。小児科医が転職を成功させるポイント(1)専門医や指定医などを取得する
小児科専門医や認定小児科指導医を取得することも転職を成功させるポイントの1つです。子どもや新生児に関しては、小児慢性特定疾病指定や小児神経専門医、周産期専門医(新生児)、アレルギー専門医などがあります。転職時に専門医の取得の有無は、一定の経験があるかどうか、技能・知識を身につけているかどうかの目安として判断されます。
特に、急性期病院では、診察・検査・治療を比較的短期間のうちに集中的に行うため、専門的な診療能力が必要とされる機会が増えることもあり、専門医のニーズも高くなる傾向にあります。
小児科医が転職を成功させるポイント(2)これまでの経験・転職する理由を明確にする
希望の医療機関で自身が働きたい理由を明確にしておくことは、転職成功のポイントです。小児科医は幅広い知識が求められる上に、急性期の診療を含めて、臨機応変な対応が求められる上、人手不足で過重労働気味の現場も多くあります。また、子どもだけでなく保護者とのコミュニケーションも必要で、医療に関する知識以外にも、社会人としての対人・対話スキルを求める医療機関が多い傾向です。
そのため、単に子どもが好きなだけでは、長く勤務し続けることは難しいと考える医療機関も多く、なぜ小児科で働きたいのかという志望動機が大切になります。
採用する医療機関側の選考ポイントとして、これまでの経験や専門分野(循環器、未熟児、小児障害など)、新生児対応や当直や夜間のオンコール対応などだけでなく、診療に対する姿勢や要望が知りたいという点は踏まえておく必要があります。
小児科医が転職を成功させるポイント(3)医師転職エージェントを利用する
転職エージェントをうまく利用することも小児科医が転職を成功させるために必要です。新専門医制度や地域包括ケア構想、診療報酬の改定、人工知能や遠隔診療などの最新技術の臨床応用、医師の働き方改革など、医師のキャリアをめぐる現状は日々変化しています。
そのなかで、キャリア形成や働き方や自身の市場価値が良く分からない、相談したいという医師も増えています。
この点、転職エージェントは、豊富な転職実績に関するデータや市場動向を把握していますので、客観的な市場価値の判断からどれくらいの条件が妥当であるのかを提案してもらうことができます。
また、より多くの求人数から選択できるだけでなく、転職前に自らのキャリアプランや、家族を含めたライフプランの相談をすることができますし、収入や勤務条件などを代わりに交渉してもらうこともできます。
そのなかで、希望する勤務条件や働き方が明確にできれば、入職後に後悔することも少なくなるでしょう。
小児科医の転職成功事例
ここでは小児科医の転職成功事例をご紹介します。【転職成功事例1】40代女性小児科医師
【転職理由】前の職場では週5日の勤務に加えて月7回ほど当直に入っていました。当直の際は一般小児救急にも対応し、さらにNICUも受け持っていたので、心身ともに疲れ切ってしまいました。
休日でも時間外の呼び出しも非常に多く、年齢的にもこの状態を続けるのは厳しいと感じ、地元である長崎県への帰郷を機に転職を決意しました。
【希望条件と転職先が決まるまでの経緯】
オンオフのはっきりした職場であること、また、多くの患者さんと直接関わることが好きなので、外来中心での勤務を希望。
長崎県で小児科求人を探したところ、職務内容は外来のみで当直に入らなくてよい、時間外勤務もほとんどない求人が見つかりました。さらに有給休暇の制度を活用し、10日間ほどの連休であれば取得可能でした。
希望条件の確認と求人の詳細説明を行いたいということで、担当コンサルタントにお会いすることになりました。面談の翌週には面接を行い、病院側からは理事長、院長先生、事務長が出席されました。
気になっていた本当に病棟管理は行わなくてよいのかという点について、病棟管理は院長先生が行っていることを説明いただき、安心して入職を決めることができました。求人への問い合わせから内定までとてもスピーディーに進み、約3週間で内定をもらうことができました。
※医師転職ドットコム 月7回の当直と時間外勤務に耐えかねて・・・を基に作成
【転職成功事例2】40代男性小児科医師
【転職理由】病院の管理体制、昔ながらの公務員の天下り体質の環境に不満を感じ転職を決めました。
小児循環器を専門とし、前職ではNICUの専従として勤務してきました。業務内容にはやりがいを感じていましたが、休日、休暇も一切とれないこと、お盆や年末年始の休暇は連直など、職場環境の悪さに不満はたまる一方でした。
医師によって業務量に差があることも不満を感じ、業務量は増える一方、震災後給与カットが続いたことも転職を決断する要因となりました。
【希望条件と転職先が決まるまでの経緯】
新生児医療ができること、また、働きやすさを重視し、できれば学閥のない医療機関、欲をいえば、自分が中心となって医療を行える環境を希望しました。
また、現在の年収を下回らないことと安定性も重視したく、給与ベースが年々上がり、下がることがない医療機関を希望しました。条件に近い病院を当たっていただき、いくつか自分の希望に合う施設を紹介いただきました。
しかし、条件を詰めるなかで、給与ベースで折り合いがつかなかったり、最終段階で大学との関係上採用見送りになるなど、なかなか転職先が決まらずにいました。
そんななか、周産期に力を入れていながら、常勤の小児科医師が不在で、新生児対応可能な医師が欲しい医療機関を紹介いただきました。
施設の分娩数の多さ、理事長、院長の考えと地域における周産期医療充実の必要性、自分の頑張りや力量で、新生児医療を充実・拡大させていくことができる可能性に惹かれて入職を決めました。
※医師転職ドットコム 「病院の新生児医療を充実・拡大させる」というやりがいを手に入れるを基に作成
【転職成功事例3】30代男性小児科医師
【転職理由】両親と同居するため、実家のある千葉に戻りたいと思い転職を考えました。
【希望条件と転職先が決まるまでの経緯】
週5日勤務で年収1000万円程度の勤務を希望していました。
もともと医局先のNICUで新生児対応などで勤務時間が長かったため、転職後は、土日連続で休めることや平日20時前後には帰宅できることを希望しました。
しかし、面接で具体的な業務内容を聞くうちに、自分にはある程度忙しい働き方が向いていることに気づき、前の職場より勤務条件が少し緩やかな病院への転職を決めました。
面接した病院は3ヶ所で、1ヶ所目は分娩数がそこまで多くなく、希望していたプライベートを重視できる病院。2ヶ所目は、地元の2次救急の受け皿として小児科の体制もしっかりしている一方、当番制で土日勤務が入ってくる病院。3ヶ所目は、新生児から小児の各専門まで幅広く対応する必要がある一方、常勤医師数など体制が整っているため大学病院よりは勤務時間が短くできる病院です。
異なるタイプの病院を紹介してもらったことで、勤務内容や職場環境、医師の生活が具体的にイメージできるようになり、自分は何を選ぶべきかが具体的に分かり、取捨選択できました。
やはり自分には、プライベートと仕事を両立させた働き方よりも、ある程度忙しく働いている方が性に合っていることに気づき、最終的に、4ヶ所目の病院のNICU勤務という元の職務に近い転職先に決めました。
※医師転職ドットコム 転職活動を通して、自分の求める働き方が見えてきたを基に作成
小児科医師の転職まとめ
小児科医の仕事内容や転職成功のポイントについて解説しました。子どもが診療の対象となる小児科医は、うまく病状や身体の不調を伝えられない子どもとのコミュニケーションを円滑にすることが求められる一方で、急性期の子どもの治療にも冷静に対応しなければなりません。
内科や外科のように専門分化されておらず、1人の子どもをすべて診療できる広範囲の知識が必要となりますので、幅広い知識と高いスキルが求められると同時にやりがいがある仕事といます。
転職市場においても小児科医の需要は高く、小児科で働く女性医師にも配慮した働き方や環境整備を意識する医療機関も増えつつあります。
当直勤務の負担など労働環境の厳しさもある小児科医ですが、2024年4月から施行される「医師の働き方改革」では当直業務のあり方や時間外労働時間が変わる医療機関も出てくることが予想され、施設側にも医師の働き方を改善する取り組みが求められています。
転職活動においては、転職先の医療機関に求める条件、待遇を明確にした上で、これまでの経験やスキルをしっかりとアピールできるように準備してください。
出典
厚生労働省 令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況独立行政法人労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査
厚生労働省 必要医師数実態調査詳細結果
医師転職ドットコム 月7回の当直と時間外勤務に耐えかねて・・・
医師転職ドットコム「病院の新生児医療を充実・拡大させる」というやりがいを手に入れる
医師転職ドットコム 転職活動を通して、自分の求める働き方が見えてきた
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部