【開業医監修】「開業医はやめとけ」と言われる理由は? 成功するためのポイントや注意点をご紹介|ファイナンシャルフィールド

【開業医監修】「開業医はやめとけ」と言われる理由は? 成功するためのポイントや注意点をご紹介

樋口 直彦

監修: 樋口 直彦

医療法人藍整会 なか整形外科 理事長
医療法人藍整会 なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック 院長
Vリーグ「サントリーサンバース」チームドクター
帝京大学医学部卒業後、いくつかの病院で勤務し、院長を経験後、2021年1月に医療法人藍整会 なか整形外科の理事長に就任。バレーボールVリーグのサントリーサンバーズのチームドクターも務める。骨折治療をはじめ関節外科、スポーツ整形外科を専門に治療。Vリーグ サントリーサンバーズの選手の治療の経験を含めて、スポーツ整形外科医として、患者さんの個々のケース、タイミングを共に考え最善の治療を行なっている。
クリニック運営にICTを推進し、お待たせすることない診療が信条。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者: FINANCIAL FIELD編集部

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開業医を検討している方は、下記について知りたい方が多いのではないでしょうか。

●「開業医はやめたほうがいい」って聞いたことあるけどどうして?
●開業医の年収は?
●開業医として成功するには?



本記事は「開業医はやめたほうがいい」と言われる3つの理由を解説しています。また開業医のメリット・デメリットも記載しています。

開業医として成功するためのポイントや注意点が理解できるので、開業の準備に役立つ可能性がありますので、ぜひ、参考にしてみてください。

開業医はやめとけと言われる3つの理由

2022年の一般診療所の開設数は10万5182施設です。コロナ禍であるにも関わらず前年に比べ890施設増えています。開設した施設のうち「医療法人」が 4万5967 施設で最も多く、一般診療所総数の 43.7%を占めます。次いで「個人」が4万64施設 あり、全体の38.1%を占めました。

近年の開業医は、高度な検査が行える医療機器を導入し専門性の高い医療を提供しています。またコロナの影響を受けてオンライン診療や在宅診療の導入も進んでいます。

開業医はなぜ「やめとけ」と言われるのか、3つの理由をお伝えします。主な理由は下記のとおりです。

●開業医はハイリスク・ハイリターン
●儲かるとは限らない
●予想より激務



1つずつ詳しくお伝えします。

開業医はやめとけと言われる理由1:開業医はハイリスク・ハイリターン

ハイリスク・ハイリターンであることが「開業医はやめとけ」と言われる1つ目の理由です。

開業医は勤務医とは異なり、医院の方針を自分で決められます。自由診療を選択できるのも特徴の1つです。

しかし、開業医はメリットが大きい分、失敗した時のリスクも大きいといえます。株式会社帝国データバンクの調査によると、2021年の医療機関の休廃業・解散は567件あり、そのうち診療所は471件で過去最高の数値です。開業医の廃業数は増加傾向にあります。

患者から訴えられるリスクもあり、開業医の仕事は大きなリスクを伴う仕事といえるでしょう。

開業医はやめとけと言われる理由2:儲かるとは限らない

2つ目の理由は、開業医は儲かるとは限らないためです。

開業医は自分の裁量で診療できるほか、収入も高いイメージがあるかもしれません。しかし、開業医は、たとえ自由診療を選択しても、儲かるとは限らない職業です。利益がなくても従業員への給与やボーナスの支払いのほか、開業時に設備投資などの借り入れがあった場合は、融資の返済もしなくてはなりません。

開業医が儲かるには、優れた医療技術のほかにも経営センスやマネジメント能力も必要とされます。

開業医はやめとけと言われる理由3:予想より激務

3つ目の理由は、開業医は予想より激務なことです。

経営者としての仕事は数えきれないほどあります。たとえば、膨大な事務処理や従業員の教育・ケアなどがあげられます。経営者の顔もある開業医は、勤務医で経験できない仕事に取り組めるメリットがある一方で、予想よりはるかに激務であるのが実情です。

全体的な仕事の工数を考えると勤務医の方が良かったと思う場合もあるでしょう。

開業医になって失敗する6つの理由

開業医になって失敗する6つの理由をお伝えします。主に以下のとおりです。

●設備に投資しすぎ
●スタッフの教育に不慣れ
●ネット集客していない
●コミュニケーションスキルが低い
●自分のやり方に固執する
●開業してからのビジョンがない



1つずつ詳しくお伝えします。

開業医になって失敗する理由1.設備に投資しすぎ

開業医になって失敗する1つ目の理由は、設備に投資し過ぎることです。

開業初期から最新設備や、建物に投資することは重要な経営戦略の1つといえるでしょう。ただし、開業医は開業して終わりではなく、経営を続けていかなければなりません。

将来、近隣エリアに新しいクリニックができて、一時的に患者が少なくなる場合も考えられます。設備に投資し過ぎると、資金不足になった際に立ち行かなくなるでしょう。

設備への投資は、利益とのバランスをみて適切なタイミングに行うことがおすすめです。

開業医になって失敗する理由2.スタッフの教育に不慣れ

スタッフの教育に不慣れだと、開業医としての失敗リスクが高まります。いくらスキルの高いスタッフを雇っても、患者への接し方や治療の方法など、自身がたてる経営方針をしっかりと伝えていく必要があるため注意しましょう。

スタッフへの教育が浸透していないと、患者からのクレームが多発する可能性があります。患者がほかのライバル医院へ移ってしまう可能性も考えられるでしょう。

開業医にとって、スタッフの教育は医院を経営する上でとても重要といえます。

開業医になって失敗する理由3.ネット集客に対応していない

3つ目の理由は、ネット集客に対応していないためです。近年はインターネット検索で医院やクリニックを探すことが主流になっています。患者は良いクリニックが見つかれば、遠い場所であっても通う傾向にあります。ネットをうまく活用すれば、地域住民だけでなく、遠方からの患者を取り込める可能性が高くなるでしょう。

ネット集客に取り組んでいないクリニックの場合は、大きなビジネスチャンスを逃すことになります。

開業医になって失敗する理由4.コミュニケーションスキルが低い

コミュニケーションスキルが低いと、開業医として失敗する可能性が高まります。開業医は患者とスタッフ両方と良好なコミュニケーションが必要です。

たとえば、患者の話を聞く姿勢がなかったり、病状の説明が不十分であった場合、悪い口コミに繋がる恐れもあります。開業医にとって、自身の病院の口コミは、経営に大きく影響を及ぼす可能性があります。

スタッフとも普段から会話が少ないと、連携が取れず、些細なことでトラブルになる可能性も考えられます。

開業医になって失敗する理由5.自分のやり方に固執する

開業医が自分のやり方に固執すると、失敗するリスクを高めます。自分のやり方以外を受け入れない場合、良い医院をつくっていくことは難しいでしょう。

開業医は患者や看護師、スタッフなど多くの人と関わらなければなりません。長く続けるには、人の意見を取り入れ、風通しをよくし、快適な医院にしていく必要があります。自分だけのやり方を通すだけではなく、チームとして何が重要か考えた上で、経営をしていくことが求められます。

開業医になって失敗する理由6.開業してからのビジョンがない

開業してからのビジョンがないと、医院の経営に直接影響が及びます。

ビジョンがない医師は、開業自体を目的化してしまうためです。たとえば、開業した理由に「医局の人間関係に疲れたから」というものがあります。「開業医としてどうなりたいか」までのビジョンがなく、医局から離れたいからという理由だけで開業してしまうと、どのように経営したらよいかわからず、結果的に長く続かない可能性があります。

具体的なビジョンがない医院は、患者だけでなくスタッフも集まりにくい傾向にあり、健全な経営が成り立たなくなります。

開業医に向いている医師の特徴

開業医に向いている医師の特徴についてお伝えします。主に下記のとおりです。

●コミュニケーション能力が高い
●強い責任感がある
●向上心がある



詳しくお伝えします。

開業医に向いている医師の特徴1:コミュニケーション能力が高い

開業医に向いている医師の特徴は、コミュニケーション能力が高いことです。

売上を伸ばすには、リピート患者を増やすことが重要です。リピート患者が増えると受診や問診時間が短縮できるほか、良い口コミが広がりやすくなります。

また、看護師や事務スタッフを雇う場合、良好な人間関係を築くことができなければ、病院としてのパフォーマンスも落ちてしまうため、患者だけではなく、スタッフともコミュニケーションがとれる対人能力が必要になります。

コミュニケーション能力が高い医師は開業医に向いている可能性が高いです。

開業医に向いている医師の特徴2:強い責任感がある

強い責任感のある医師も開業医に向いています。開業医は患者やスタッフ、そして経営と医院に関すること全ての責任を負っています。実際に、医院で起こった治療ミスや患者とのトラブルなどは、自分で解決しなくてはいけません。そのため開業医として成功するには、強い責任感が不可欠です。

責任感の強い医師は、患者やスタッフから信頼され長期的に安定した経営を実現できるでしょう。

開業医に向いている医師の特徴3:向上心がある

向上心のある医師も開業医に向いています。医局に属している場合、周りから情報を得られる可能性がありますが、開業医は、自ら最新の医療知識や技術を習得する必要があるためです。医療は日々進化しています。学会や研修会に積極的に参加して最新の技術を学んだり、技術の向上に努めたりする必要があります。

向上心の高い医師ほど、患者に質の高い医療を提供できるため、開業医への適性も高いといえるでしょう。

開業医に向いていない医師の特徴

開業医に向いていない医師の特徴をお伝えします。主に下記3つのとおりです

●患者に寄り添えない
●スタッフから信頼されない
●継続力がない



詳しくお伝えします。

開業医に向いていない医師の特徴1:患者に寄り添えない

患者に寄り添えない医師は開業医には向いていません。

開業医は患者一人ひとりに寄り添い、心身ともにサポートすることが求められるためです。患者の話を丁寧に聞かず、一方的に治療方針を決めたり、上から目線で話すなどは、患者に寄り添えない医師の特徴です。

患者は病気や治療について不安を抱えています。患者が安心して治療を受けられるようにするのも、開業医の重要な役目です。安心して利用できる医院を作ることができれば、結果として、患者のリピート率も上がることになり、経営も安定していくでしょう。

開業医に向いていない医師の特徴2:スタッフから信頼されない

スタッフから信頼されない医師も開業医に向いていません。開業医は、質の高い医療を提供するためにスタッフから信頼されることが重要です。スタッフから信頼されていないとチームとしてうまく機能せず、医療の質の低下を招きます。

スタッフから信頼されない医師は、開業医として成功するのが難しいといえます。

開業医に向いていない医師の特徴3:継続力がない

継続力がない医師は開業医には向いていません。

開業医は、医院経営に関する様々な課題に直面しながら、「長期的な視点で経営に取り組む」必要があります。すぐに結果が出なくても諦めず継続する力が必要です。経営状況が悪くなると、すぐに諦めてしまったり、新しい取り組みに挑戦しても、途中で飽きてしまう医師は継続力がないといえるでしょう。

開業医で成功するには強い意志と継続力が不可欠です。継続力がない医師は、開業医として成功することは難しいでしょう。

医師が開業を考えるタイミング

医師が開業を考えるタイミングについてお伝えします。医師が開業を考えるタイミングは、下記のとおりです。

●子育てが落ち着いた時
●専門医の資格を取得した時
●退職する事情ができた時



1つずつお伝えします。

医師が開業を考えるタイミング1:子育てが落ち着いた時

子育てが落ち着いたタイミングで、開業を考える医師は多いでしょう。開業に向けた準備をする上で、いくつかメリットがあるためです。

たとえば「時間的余裕が生まれる」「将来の資金計画が立てやすくなる」などです。そして、子育てが一段落すると精神的な面でも余裕が生まれます。子育ての終わりは、開業に向けた準備のベストタイミングといえるかもしれません。

経済的にも将来の見通しができ、開業資金を捻出しやすくなります。

医師が開業を考えるタイミング2:専門医の資格を取得した時

専門医の資格を取得した際も、開業を考えるタイミングとなるでしょう。専門医資格は、高度な専門知識と技能を有していることを証明するものです。資格を活かして質の高い医療を提供するために、開業を考える医師も多いでしょう。

専門医資格を活かして、専門性の高い医療を提供することで他院との差別化を図ることができます。

医師が開業を考えるタイミング3:退職する事情ができた時

退職する事情ができた際も、医師が開業を考えるタイミングです。勤務医としての制約がなくなったことで、自分の思い描く医療を提供できるチャンスと捉える医師も多いかもしれません。

開業すると休日は自分で決められるため、ワークライフバランスを実現しやすくなるメリットもあります。

医師が何らかの事情で退職することになった際は、転職するか、開業するかを考えるタイミングとなるでしょう。

開業医が成功するための4つのポイント

開業医が成功するための4つのポイントについてお伝えします。ポイントは下記のとおりです。

●経営スキルを身につける
●マーケティング戦略を行う
●十分な資金を準備する
●転職エージェントに相談する



以降、1項目ずつ説明していきます。

開業医が成功するポイント1:経営スキルを身につける

経営スキルを身につけることが、開業医として成功するポイントの1つです。開業医は医師であり経営者でもあります。どんなに医師としてのスキルが高くても、経営スキルのない医師は開業医として成功することは難しいでしょう。具体的な経営スキルとは、次のようなものです。

●財務管理
●マーケティング
●リスク管理



経営スキルは、書籍やセミナーなどで学べますが、すでに開業している医師からノウハウを聞くことも1つの方法です。

医療技術だけでなく経営スキルを身につけておくことで、開業医として成功する確率が高まるでしょう。

開業医が成功するポイント2:マーケティング戦略を行う

マーケティング戦略をすることも、開業医として成功する大切なポイントです。医療市場は競争が激化しています。そのためまずは患者に医院の存在を知ってもらうことが重要です。

適切なマーケティング戦略を立て、ターゲットとなる患者を明確にすれば効率的にアプローチできるでしょう。マーケティング戦略の具体的な方法は主に次のとおりです。

●SNSの活用
●地域へのPR
●他医院との連携



どんな医院を目指すのかによって取るべき手法は様々ですが、マーケティング戦略を立てることで医院の経営が確実に成功へと近づきます。

開業医が成功するポイント3:十分な資金を準備する

十分な資金を準備することも、開業医として成功するポイントです。開業には医院の開設費や医療機器の購入、人件費など多くの費用がかかります。開業後、収入が安定するまでに時間がかかるため、十分な資金を用意しておくことがおすすめです。

資金不足は経営難を招くほか、廃業に追い込まれる原因にもなります。また精神的にも大きなストレスとなります。開業医として成功するためには、十分な資金を準備し計画的に経営することが重要です。

開業医が成功するポイント4:転職エージェントに相談する

4つ目の開業医として成功するポイントは、転職エージェントに相談することです。転職エージェントというと、転職をサポートする企業のイメージが多いかもしれません。転職エージェントのなかには、開業準備のサポートや医業継承の紹介を無料で提供してくれるところもあります。

転職エージェントを選ぶ際は、医療に特化し開業支援実績が豊富なエージェントを選ぶことがおすすめです。開業医の事情に詳しいコンサルタントから専門性の高いアドバイスをもらえるでしょう。

開業医になるメリット

開業医になるメリットについてお伝えします。主に以下3つです。

●大きく稼げる可能性がある
●理想の職場をつくれる
●定年がない



上記3つについて詳しく説明していきますので、開業を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

開業医になるメリット1:大きく稼げる可能性がある

メリットの1つ目は、開業医は大きく稼げる可能性があることです。

開業医になれば、収入の上限が勤務医よりも高くなります。勤務医の場合は、どれだけ医院が儲かっていても、自分に入る収入が変わることがあまりありませんが、開業医の場合は儲けが出れば上限なく収入を得ることができます。

厚生労働省のデータによると、勤務医の年収は1479万円で、開業医は2530万円です(2021年6月)。開業医は勤務医の約1.7倍の収入があることが分かります。この結果から、開業医は大きく稼げる可能性がある職業といえるでしょう。しかし、収入は努力や経営センスに大きく左右されることにも注意が必要です。

開業医になるメリット2:理想の職場をつくれる

理想の職場をつくることができる点が2つ目のメリットです。開業医は経営者として全ての責任を負う一方で、自身の理想とする職場をつくることができます。たとえば次のような項目を決めることが可能です。

●診療時間・休診日
●設備投資
●医療方針



患者とのコミュニケーションを重視したアットホームな雰囲気にしたいなど、自分の理想を追求、実現できます。

自分の手で快適な職場をつくれる点は、開業における大きなメリットといえます。

開業医になるメリット3:定年がない

定年がないことも開業する大きなメリットです。勤務医の定年は国公立系の大学病院や公的病院の場合は65歳~70歳です。民間の場合は、雇用主によって様々ですが一般的に60歳~65歳の場合が多い傾向にあります。

開業医は医院の経営者であり、雇用される立場ではないため定年という制度はありません。体力や気力に自信がある限り、好きなだけ働き続けることができます。

長年の経験を活かして、若い医師の育成に力を入れたり、地域医療に貢献するなどできるのは開業する大きなメリットです。

開業医になるデメリット

開業医になるデメリットについてお伝えします。主なデメリットは下記のとおりです。

●責任が伴う
●精神的な負担が大きい
●勤務医に戻りづらくなる



デメリットも理解した上で、開業医になる準備をすすめましょう。

開業医になるデメリット1.責任が伴う

1つ目のデメリットは、開業医は責任を負わなければならない立場であるということです。開業医は診察だけでなく経営者としての責任も伴います。医院の経営状況が悪化すれば、倒産する可能性も考えられるでしょう。

加えて、スタッフ管理や事務作業も膨大に発生するため、人材を雇わない限り全て自分で対応しなければなりません。開業医は、重い責任と大きな負担がかかる可能性があります。

開業医になるデメリット2.精神的な負担が大きい

精神的な負担が大きいことも開業医になるデメリットの1つです。開業医の精神的な負担は主に次のとおりです。

●患者への責任
●医療訴訟リスク
●経営の心配
●スタッフへの気づかい



開業医は患者の命と健康を預かる責任のほか、経営への不安、医療訴訟リスクなど、常にプレッシャーとストレスにさらされる職業です。

開業医になるデメリット3.勤務医に戻りづらくなる

勤務医に戻りづらくなるところも、開業するデメリットの1つです。開業医と勤務医とでは、求められるスキルが異なります。実際に開業医から廃業したとしても、1度経営を経験すると雇われる側に戻ることに抵抗を感じる方も少なくないでしょう。

雇う側としても、開業医としての経験や年齢から採用を見送るケースもあるかもしれません。転職活動に苦労する可能性があるということを認識しておくとよいでしょう。

医師が開業するまでに必要な準備

医師が開業するまでに必要な準備をお伝えします。

●物件探し
●資金調達
●内装工事の手配
●スタッフの採用
●広告宣伝
●医師会への手続き



前述した項目について、詳しくお伝えします。これから開業を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

医師が開業するまでに必要な準備1.物件探し

医師が開業する上で物件探しは重要な準備の1つです。下記の順序で物件を探すことがおすすめです。

●患者のターゲット層を明確にする
●エリアを決める
●物件条件を整理する



物件探しには時間と労力がかかります。一方で希望に近い物件を見つけることは、開業医としての成功に1歩近づきます。じっくり時間をかけて、理想的な物件を見つけましょう。

医師が開業するまでに必要な準備2.資金調達

開業するにはたくさんの資金が必要です。自己資金だけでなく融資や補助金・助成金などを活用することがおすすめです。

融資の場合は金利がかかるため、返済ができる範囲で借入をする必要があります。補助金・助成金は、国や自治体が実施している制度です。自己資金の負担を減らすことに繋がるため積極的に活用しましょう。

医師が開業するまでに必要な準備3.内装工事の手配

内装工事も開業するための準備として大切です。ターゲット層の患者や、医院の雰囲気を具体的にイメージすることが重要なポイントの1つです。依頼する際は、医療機関の内装工事に実績のある企業を選びましょう。

内装工事は、数ヶ月から半年程度の時間を要する場合があります。開業予定日から逆算してスケジュールを立て、施工してもらうことが大切です。

医師が開業するまでに必要な準備4.スタッフの採用

医療機関の良好な運営のために、スタッフの存在は重要な役割を担います。採用は次のステップで行います。

●必要なスタッフ数とスキルを明確にする
●求人情報の作成
●求人媒体に掲載
●面接・選考



クリニックの理念に共感してもらえる人材を採用できれば、スタッフたちが、お互いに協力しながらスムーズな運営ができるでしょう。

医師が開業するまでに必要な準備5.広告宣伝

クリニックの成功には効果的な広告宣伝が必要不可欠です。ターゲットを明確にした上、媒体も慎重に選びましょう。媒体は大きく「紙媒体」と「電子媒体」の2つに分かれます。現在、多くの患者は、インターネット検索で医院の情報収集をします。公式サイトやSNSの活用は、これから開業を目指す医師にとって必須といえるでしょう。

クリニックや医院の数は増加傾向にあり、競争が激しくなっています。効果的な広告宣伝を行い、競合クリニックとの差別化を図れば、患者の獲得に繋がるでしょう。

医師が開業するまでに必要な準備6.医師会への手続き

開業医は医師会へ参加することで様々なメリットが得られます。具体的なメリットは主に下記のとおりです。

●情報提供
●研修回・講演会の開催
●日本医師会医師賠償責任保険制度の利用



医師会へ参加するには、開業予定地の医師会にて入会申請書を提出する必要があります。入会金・年会費は、各医師会によって異なります。開業前に、早めに医師会に連絡し、手続き内容を確認しておきましょう。

やめとけと言われる開業医まとめ

「開業医はやめとけ」と言われる理由や開業医のメリット・デメリットについてお伝えしました。開業医は勤務医とは異なり、働き方の自由を手にいれられるメリットがあります。一方でリスクや責任を負う職業でもあります。

本記事の「開業医として成功する4つのポイント」を参考に、自分の理想の医院経営を検討してみてください。

出典

帝国データバンク 医療機関の休廃業・解散動向調査(2021 年)医療機関の休廃業・解散、倒産の 17 倍超
厚生労働省 「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について
e-Govポータル 昭和二十二年法律第百二十号 国家公務員法
厚生労働省 結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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