執筆者: FINANCIAL FIELD編集部
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「医師のキャリアプラン(キャリアパス)やキャリアチェンジはどのように考えれば良いのだろうか」と気になりませんか。医師のキャリア形成は、年代によって、それぞれ重視するべき点が異なります。
例えば、若手医師は専門性の獲得や経験の積み重ねが重要であり、一方で中堅やベテランの医師は、新たな挑戦や働き方の見直しを模索するべき時期が到来することになります。年代ごとに外部環境の変化に対応しながら、ご自身の目標や価値観に基づいたキャリア戦略を構築することが求められます。
本記事では、医師のキャリアプラン(キャリアパス)やキャリアチェンジについて年代別に解説し、理想のキャリア形成のために必要なキャリアプランの立て方や、キャリアチェンジ成功の秘訣についても解説します。
目次
医師にとって理想のキャリアプラン(キャリアパス)とは
医師の理想的なキャリアプラン(キャリアパス)は、個人の志向により異なります。
患者の健康に貢献しつつも、ご自身の興味や能力に合わせた専門分野を選択し、その分野で高度な専門知識と技術を磨くことが重要です。臨床経験を積み重ねながら、診断や治療のスキルを向上させ、患者に高水準の医療を提供します。
また、医師の中には学術研究や学術貢献にも関心を持つ人がいます。ご自身の専門分野での研究活動や論文執筆、学術大会での発表などを通じて、医学の進歩に貢献し、新たな治療法や技術の開発に携わることを目指します。あるいは、開業医として成功するためには、医師としての専門性に加えて、経営や労務管理についても学ぶことが重要です。
ご自身のなりたい姿に合わせてキャリアを描くことが理想的と言えるでしょう。
医師が年代ごとのキャリアプラン(キャリアパス)を考える必要性
医師が年代ごとのキャリアプラン(キャリアパス)を考える必要性がある理由は、以下のとおりです。
●専門性を高めるため
●効率的にスキルを獲得するため
●ご自身にマッチしたキャリアを歩むため
●ワークライフバランスを確保するため
●医局離れが進んでいるため
それぞれについて解説します。
医師がキャリアプランを考える理由1:専門性を高めるため
医師が年代ごとのキャリアプランを考える必要性がある理由には、専門性を高めるためという理由があります。医師は、キャリアの中盤以降、自らの関心や能力に応じて特定の専門分野を選択する必要があるからです。
医師が特定の専門分野に焦点を当てることで、その分野での専門医としての地位を確立することができます。専門医としての地位を確立し、その分野での深い専門知識や豊富な経験を積むことが重要です。
医師がキャリアプランを考える理由2:効率的にスキルを獲得するため
医師が年代ごとのキャリアプランを考えるべきである理由は、効率的にスキルを獲得するためという理由があります。年代ごとのキャリアプランを立てることで、医師はキャリアの各段階で適切な経験を積むことができるからです。
例えば、初期段階では幅広い臨床経験を積み、中期段階では特定の専門分野に焦点を当てた経験を積むなどです。
医師がキャリアプランを考える理由3:ご自身にマッチしたキャリアを歩むため
医師がご自身に合ったキャリアを歩むためには、キャリアプランを立てることが重要です。その理由は、キャリアプランを立てることで、将来の方向性を明確にすることができるからです。
例えば、ご自身が興味や適性を持つ医療分野や役割を考え、それに基づいて目標を設定することが重要です。
医師がキャリアプランを考える理由4:ワークライフバランスを確保するため
医師が年代ごとのキャリアプランを意識する必要性があるのは、ワークライフバランスを確保するためです。なぜなら、医師の仕事は非常に責任が重く、長時間の勤務やストレスがあることが一般的だからです。
年齢とともに体力は衰えるため、どの段階で激務から離れるかを意識することが重要です。例えば、40代までは第一線で仕事をこなし、50代以降は激務ではない診療科に転科するといった形です。キャリアの終わりを意識しておくことで、自分の進むべきキャリアの方向性を先に考えることができ、精神的な余裕も得られます。
医師がキャリアプランを考える理由5:医局離れが進んでいるため
医師がご自身のキャリアプランを意識する必要性がある理由は、医局離れが進んでいるという背景があります。
医局離れが進むと、医師が1つの組織や病院に長く留まることが難しくなり、従来のようなキャリアパスが描きにくくなるからです。以前は、医局に所属していれば人事異動などを通じて成長の機会提供や待遇の改善が行われることもありました。
医局から離れると、ご自身のキャリア形成のために転科や転職を検討する必要がある代わりに、望まない人事異動が少なくなる良さもあります。
医師がキャリアプラン(キャリアパス)を立てる方法
医師がキャリアプラン(キャリアパス)を立てる方法として、以下の方法があります。
●現状を把握する
●ゴールから逆算する
●先輩医師のキャリアをお手本にする
それぞれについて解説します。
医師がキャリアプランを立てる方法1:現状を把握する
キャリアプランを立てる方法として、過去の経歴や実績を振り返り、成功や失敗からご自身の現状を把握する方法があります。
ご自身のキャリアの方向性や傾向を把握し、今後の方向性を明確にすることができます。また、自己分析を通じて、ご自身の能力や興味、価値観を客観的に評価することも重要です。
例えば、自己分析を行うことで、ご自身の内面を理解し、適切なキャリアプランを立てることができます。さらに、重要なことは、自分の原点を思い出すことです。自分が本当にしたいことは何なのか、何ができるのか、そして何をすべきなのかを明確にし、それらを統合していくことが重要です。
このようなプロセスを通じて、医師はご自身のキャリアにおける方向性を見出し、成長していくことができます。
医師がキャリアプランを立てる方法2:ゴールから逆算する
医師がキャリアプランを立てる際には、ゴールから逆算するという方法があります。
この方法では、ご自身が将来どのような目標を達成したいのか、明確にゴールを設定します。その後、そのゴールを達成するために必要なステップや段階を考え、それらを逆算して具体的な計画を立てていきます。
具体的なゴールを設定する際には、医師としてのキャリアで達成したいことや成し遂げたいことを考えます。例えば、特定の専門医資格を取得したり、独立して診療所を開業したり、学術的な研究を行ったりするなど、医師によって異なる目標があります。
次に、そのゴールを達成するために必要なステップを考えましょう。例えば、必要な資格や経験の獲得、業績の積み重ね、人脈作りなどがあります。最後に、それらのステップから逆算して、現在から将来に向けての具体的な計画を立てましょう。
この計画には、期限や目標達成のための具体的な行動計画が含まれます。ゴールから逆算する方法を用いることで、医師は自分のキャリアの方向性を明確にし、目標達成に向けて効率的に行動することができます。
医師がキャリアプランを立てる方法3:先輩医師のキャリアをお手本にする
先輩医師のキャリアを手本にすることは、とても有益な方法です。先輩医師の経験や成功を参考にすることで、ご自身のキャリアプランをより具体的に描くことができるからです。
例えば、先輩医師が実際にキャリア形成のために取った行動を学び、ご自身のキャリアに取り入れることで、自身の目標達成に向けて具体的に動くことができます。ただし、先輩医師をお手本にするだけではなく、ご自身が本当に何をしたいのか、という点は忘れないようにしましょう。
あくまでも先輩医師の事例は参考としておき、ご自身が何をしたいのかをよく考える必要性があります。
医師としてキャリアチェンジ成功の秘訣
医師のキャリアチェンジを成功させるための秘訣は、まず、ご自身の市場価値を把握することです。
需要や市場動向を把握し、ご自身の専門性やスキルが「どのように評価されているか」を理解することが重要です。また、幅広い選択肢を認識し、ご自身の興味や能力に合ったキャリアパスを見極めることも大切です。
例えば、選択肢には、転職だけではなく、転科や開業などさまざまな選択肢があります。キャリアチェンジをスキルアップの機会と捉え、新たな知識や技術を習得することを積極的に行いましょう。自己成長を促進し、他の分野への移行や新たな職務への挑戦を可能にします。
結果として、ご自身の市場での価値を高め、キャリアチェンジを成功させる秘訣となります。
医師の年代別キャリアプラン(キャリアパス)
ここでは、20代から50代までの医師の年代ごとのキャリアプラン(キャリアパス)について詳しく解説いたします。ぜひ、ご自身の望むキャリア形成の参考にしてください。
20代医師のキャリアプラン(キャリアパス)
20代の医師にとって、キャリアプランを立てることは将来の成功につながる重要な段階です。
この時期は臨床経験を積み、専門性を高めることが焦点となりますが、同時にご自身の将来像を明確にし、キャリアの方向性を決定する時期でもあります。まず、初期研修を積極的に習得することが重要です。
初期研修を通じて基礎的な臨床スキルや知識を着実に身に付けることで、将来の専門性を高めるための土台を築きます。専門医の資格を取得するために行動し始める人もいます。20代のうちから将来のキャリアプランを見据え、専門性を高めるための準備を進めることが重要です。
さらに、ビジョンの明確化も計る必要があります。自分が何を得意とし、どのような医療分野で活躍したいのかを明確にし、そのための計画を立てることが重要です。
30代医師のキャリアプラン(キャリアパス)
医師の30代は、経験の積み重ねと専門性を深める時期です。
専門医や認定医の資格取得を目指し、ご自身の専門性を高めることで、将来的なキャリアの幅を広げることができます。また、同時にさまざまな臨床経験を積み、幅広い症例に対応できるようスキルを磨きます。これにより、ご自身の地位を確立し、リーダーシップを発揮する機会も増えます。
30代は経験を積み、後輩医師の指導や臨床チームのマネジメントを行うことでリーダーシップを発揮する機会も増えます。
また、ライフステージの変化に対応しながら、柔軟性を持ってキャリアを見直し、ライフスタイルに合わせた働き方を模索することも重要です。30代半ばから後半にかけて、医師のキャリアの選択肢が広がります。大学病院から地域医療機関への転職、またはフリーランス医としての活動など、さまざまな選択肢があります。
ご自身の目標や価値観に合わせて、最適なキャリアパスを選択することが重要です。
40代医師のキャリアプラン(キャリアパス)
40代の医師のキャリアプランは、将来の展望を考慮した戦略的な計画が求められます。
この時期は、医師としての実績が評価され、市場価値が高まるため、転職やキャリアアップのチャンスが豊富です。ただし、キャリアアップのチャンスが多い年齢である一方で、すでにご自身の仕事スタイルが確立されています。
転職先とのマッチングが重要であり、ご自身の仕事スタイルや価値観と一致する環境を見つけることが成功の鍵となります。
また、大学医局でのキャリアを続けるか、他の医療機関への転職や開業医を目指すかなど、ご自身の目指す方向性を再確認し、将来の展望に合った計画を立てることが必要です。開業をするにあたっては、準備資金などの返済可能な年数などの関係から、40代での開業が現実的となります。
ライフステージの変化にも注意を払いながら、開業を含めた働き方や勤務条件の選択を行い、将来を見据えたプランを構築していくことが重要です。
50代医師のキャリアプラン(キャリアパス)
50代は医師としての最盛期を迎える大切な時期です。
経験と知識が最も豊富になり、「臨床スキル」や「専門性」が最高水準に達します。さらに、50代になると、重要な役職に就いたり、教育や指導の役割を果たすこともあります。
この時期には、勤務医としては定年が近づいてくるため、定年を迎えるか転職するかを考えるタイミングでもあります。医師によってはセカンドキャリアを模索し、老健や特養への転職を検討することもあります。60代以降も働きたいと考えている場合、それが叶えられる職場への転職を検討してみるのも良いでしょう。
開業医を目指す場合のキャリアプラン
開業医を目指すためのキャリアプランでは、「臨床経験、専門性の獲得、経営知識の習得」が重要です。
例えば、臨床経験を積むことは、開業医として患者の診療や治療に携わるための基盤を築く上で欠かせません。豊富な臨床経験を積むことで、診断や治療に関する判断力や技術が向上し、患者に高水準の医療サービスを提供することができます。
また、専門性を磨くことは、開業医として特定の診療科や分野で専門性を持つ上で重要となります。専門性を持つことで、患者からの信頼を得やすくなり、競争の激しい医療市場での差別化が図れます。専門医や認定医の資格を取得することで、ご自身の専門性を証明し、開業医院の信頼性と専門性を高めることができます。
経営知識を身に付けることは、開業医としてのビジネス面での成功において重要となります。なぜなら、医療機関の運営や経営、財務管理、人事管理などの基礎知識を習得することで、効率的な医療サービスの提供や経営戦略の立案が可能となるからです。
例えば、経営知識を持つことで、開業医院の経営面での課題やリスクを適切に管理し、安定した事業を展開することができます。
医師としての能力だけではなく、労務管理や経営に関する知識を持つことが必要となるため、40代のうちから計画的に行動する必要性があると言えます。
勤務医としてスキルを高めていく場合のキャリアプラン
勤務医としてスキルを高めていく場合のキャリアプランは、以下のとおりです。
●大学病院で専門領域の研究に打ち込む
●地域の医療に対して貢献する
●自由診療分野で活躍する
●臨床以外の分野での活躍
それぞれについて解説します。
勤務医としてのキャリアプラン1:大学病院で専門領域の研究に打ち込む
勤務医としてのスキルを向上させるためのキャリアプランとして、「大学病院の医局で専門領域の研究」に従事する方法があります。
これにより専門性を高めることができます。研究活動を通じて新たな知識や技術を習得し、学会発表や論文執筆などの経験を積むことが重要です。さらに、研究を通じて最先端の医学により、患者の治療に貢献することを目指します。
勤務医としてのキャリアプラン2:地域の医療に対して貢献する
勤務医としてスキルを高める方法として、「地域の医療」に貢献する方法があります。
地域医療に貢献するためには、地域の基幹病院や地域密着型のクリニックでの勤務が適しています。地域医療では、一般的な診療だけでなく、地域に特化した診療も求められます。そのため、幅広い診療技術や処置法を習得し、地域の患者に適切な医療を提供できるよう努めます。
勤務医としてのキャリアプラン3:自由診療分野で活躍する
勤務医としてのスキルを向上させるためには、「自由診療分野の経験」を積むことが効果的です。
自由診療分野がある専門医師であれば、積極的に挑戦する価値はあります。自由診療では保険が適用されず、料金が高額に設定されます。そのため、高い報酬を得ることができる可能性もあります。
キャリア形成において最新の医療に関わることで他の医師と差別化ができ、高額な報酬はモチベーションを高める要素となりますので、自由診療分野での活躍はキャリア形成に対して良い効果を得ることができるでしょう。
勤務医としてのキャリアプラン4:臨床以外の分野での活躍
勤務医としてのスキルを高める働き方として、「臨床以外の分野」での活躍があります。
医系技官や産業医など、さまざまな選択肢があります。「医系技官」は、専門知識を活かし、保健医療に関する制度の策定や運営において中心的な役割を果たす技術系行政官のことを指します。「産業医」は企業で労働者の健康管理を担当し、労働者の健康促進に貢献します。
これらの分野では、医師としての専門知識や経験を活かしながら、異なる視点から医療や健康に関する課題に取り組むことができます。また、新たなスキルや知識を身に付けることで、自己成長につながり、キャリアの幅も広がります。
医師のキャリアパス・キャリアチェンジまとめ
本記事では、医師の年代ごとのキャリアパスとキャリアチェンジについて解説させていただきました。医師のキャリアパスは、年代によって重視すべき点が異なります。
「20代」では専門性の獲得と経験の積み重ねが重要であり、将来の方向性を模索します。「30代」では専門性を高めることやリーダーシップの発揮、ライフスタイルの見直しが必要なことがあります。「40代」では戦略的な計画、ライフステージの変化に柔軟に対応します。
「50代以降」は、医師としてのピークを迎えつつも、キャリアの最終段階を見据えた行動が重要となります。
医師がキャリアチェンジを成功させるためには、市場価値を把握し、幅広い選択肢を意識しつつも、自己成長と新たな知識や技術の習得を積極的に行うことが大切です。
出典
厚生労働省 医系技官採用情報 医系技官とは
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部