産業医転職ガイド|医師のためのキャリアパス設計と転職情報をご紹介|ファイナンシャルフィールド

産業医転職ガイド|医師のためのキャリアパス設計と転職情報をご紹介

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執筆者: FINANCIAL FIELD編集部

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医師から産業医への転職を検討している方は、以下について知りたくないですか。

●医師から産業医になるにはどんな方法があるの?
●産業医の求人を見つける方法は?



本記事では、「医師」から「産業医」になる方法や求人の探し方についてお伝えしています。また、医師から産業医になるメリット・デメリットも。

ぜひ、最後までお読みください。

産業医の仕事内容とは?

「産業医」の仕事内容についてお伝えします。産業医とは、事業所と労働者両方に指導や助言をする医師のことです。労働者が安全に仕事をこなせるようにサポートします。会社のこともよく理解したうえで、そこで働く労働者の健康を守る役割を担っています。

産業医の配置は、厚生労働省により「労働者数50人以上の事業所は産業医を選任しなければいけない」と定められています。厚生労働省が2022年10月に発表したデータによると、認定産業医総数は10万7315人、そのうち有効者数は7万208人でした。1990年の調査開始から人数が上昇傾向にあり、年々産業医の需要が高まっていることが分かります。

産業医の仕事内容(1)衛生委員会への参加

衛生委員会への参加は産業医の仕事の1つです。従業員50人以上の事業所は、月1回以上の衛生委員会の開催が義務付けられています。また業種によっては安全衛生委員会の開催も必要です。

会議では、職場の安全対策や部署ごとの長時間労働に関する報告などをします。その他季節によって起こりやすい事故やインフルエンザ、熱中症などの健康被害について対策を話し合います。

産業医には衛生委員会への参加や意見交換、助言が求められます。ただし、産業医の衛生委員会への出席は法律で義務付けられてはいません。しかし、企業の安全対策を充実させるために参加するのが望ましいでしょう。

産業医の仕事内容(2)職場巡視

「職場巡視」も産業医の仕事の1つです。 職場巡視とは、企業に産業医が訪問し労働者が安全に働ける環境が整っているか確認することです。従業員の働く環境の安全性を事前に確認し企業が対策、改善をするのが目的です。職場巡視の結果は産業医が報告書にまとめ、問題点があれば改善策を提案します。

職場巡視は最低月1回以上の実施が義務でしたが、2017年6月に労働安全衛生規則が改正され条件を満たせば「2ヶ月に1回」の実施でも可能となりました。

産業医の仕事内容(3)休職面談と復職面談

休職・復職面談も産業医の仕事です。体調不良により欠勤・遅刻が続き休職を希望する従業員からの申し出により、産業医は休職面談を実施します。面談の中で休職が必要と判断した場合は、企業に医師として助言を送ります。

休職した従業員が復職して問題ないかを判断するのが復職面談です。復職面談を通して、復職するために必要な職場環境を会社にアドバイスもします。

産業医の仕事内容(4)ストレスチェックの実施

産業医はストレスチェックの実施者です。ストレスチェックは従業員50人以上の事業者が年に1回の実施が義務付けられています。

ストレスチェックとは、従業員のストレス度を会社が事前に把握することです。メンタル不調者やうつ病のサインを見つけ、未然に防止する効果があります。

産業医は、ストレスチェックの計画から実施まで携わります。

産業医の仕事内容(5)高ストレス者との面談

高ストレス者との面談も産業医がおこないます。高ストレス者とはストレスチェックで高ストレス者と判断された従業員です。また本人からの申し出があれば、面談を実施する必要があります。

産業医面談により休職の必要性があると判断した場合は、企業へ休職を提言します。休職の助言は、企業、従業員にとって大きな影響を及ぼします。高ストレス者との面談は、産業医にとって重要な役割の1つです。

産業医と医師の違い

産業医と医師の違いについてお伝えします。産業医と医師の大きな違いは、医療行為を実施するかどうかです。その他の主な違いを表にまとめました。

図表1
産業医臨床医
仕事の依頼者企業患者
対象者従業員患者
目的健康で安全な就業傷病の治療、改善
費用負担企業患者
参考にする根拠労働安全衛生法など医師法、医療法など
筆者作成

産業医の雇い主は企業であることも一般の医師とは異なります。

医師から産業医へのキャリアパス

医師から産業医になる方法についてお伝えします。具体的には以下の手順で産業医の資格を得ることが可能です。

●産業医研修を受講する
●産業医の登録手続きをする



1つずつ詳しくお伝えします。

産業医になる手順(1)産業医研修を受講する

医師から産業医になるためには、日本医師会が開催している産業医研修を受講するのが一般的です。産業医研修の参加に決められた科目はなく、医師免許があれば受講できます。

講習は、前期研修(14単位以上)、実施研修(10単位以上)、後期研修(26単位以上)の3つに分かれており、1時間の研修を1単位とし50単位以上の取得が必要です。講習の開催日は、全国医師会産業医部会連絡協議会の公式サイトにて確認できます。

研修終了後「日本医師会認定産業医」の称号が付与されます。有効期限は5年です。5年の間に産業医生涯研修を20単位以上を終了することで、資格の更新ができます。

上記の方法以外にも、産業医科大学が実施している講座を受講することでも資格の取得が可能です。ただし6日間で取得できることもあり、申込者が多い場合は抽選になるので注意しましょう。

産業医の資格取得後は、産業医としての知見をさらに深めるために労働衛生コンサルタントの資格を取得する医師もいます。

産業医になる手順(2)産業医になる登録手続きをする

産業医の称号を取得後は、登録手続きが必要です。この手続きがないと、正式に産業医にはなれません。産業医資格取得後5年以内に登録が必要です。

登録は書面での提出が必要です。審査・登録料として1万円かかります。必要書類を準備したら、都道府県医師会に提出します。認定されると、認定書が交付されます。

産業医に向いている医師の特徴

産業医に向いている医師の特徴をお伝えします。具体的には「話を聞くのが苦にならない」「立場の違う人の視点に立てる」医師です。詳しくお伝えします。

産業医に向いている医師の特徴(1)話を聞くのが苦にならない

産業医は人の話を聞くのが苦にならない医師に向いています。一般的な医師も傾聴は重要です。しかし、産業医の場合は相談される内容が異なります。時には上司や会社のグチを聞かされることや、相談者自身に問題があると感じる場合もあるでしょう。

どの様なケースでも、産業医は企業や従業員からの話に耳を傾けることが必要とされます。人の話を聞くのが苦にならない医師は、産業医に向いています。

産業医に向いている医師の特徴(2)立場の違う人の視点に立てる

立場の違うさまざまな人の視点に立てる医師も産業医に向いているでしょう。産業医の雇い主は企業です。その中で企業の従業員のメンタルヘルスや休職・復職についての助言を職場の上司などに助言しなければいけません。時には、自分のアドバイスと企業側の考えが合わない場合もあるでしょう。

そのような場合、産業医はそれぞれの立場の視点に立ち、相手を理解することが求められます。

医師から産業医になる3つのメリット

医師から産業医になる3つのメリットをお伝えします。主なメリットは次のとおりです。

●ワークライフバランスが取りやすい
●命に関わるプレッシャーが少ない
●臨床との兼務者可能



1つずつ詳しくお伝えします。

医師から産業医になるメリット(1)ワークライフバランスが取りやすい

ワークライフバランスを取りやすいことは産業医のメリットの1つです。産業医は緊急手術やオンコールなど緊急性の高い業務はなく、急な呼び出しもありません。休日は確保されており、ワークライフバランスが取りやすい職種です。

特に臨床医から産業医になる医師にとっては、生活習慣が大きく変わりプライベートの時間も確保できるでしょう。

医師から産業医になるメリット(2)命に関わるプレッシャーが少ない

命に関わるプレッシャーが少ないのも、産業医になるメリットです。臨床医の場合、常に人の命を預かっているプレッシャーがあります。そのため医師自身が不眠や体調を崩してしまう場合もあるかもしれません。

産業医は、治療をおこなわないため命に関わるプレッシャーが少ないと言えます。 治療や手術はおこないませんが、医師としての知識や経験に基づき、病気や事故を防ぐ大きな役割を担っています。産業医の職務は、メンタルヘルス対策や従業員のパフォーマンス向上に繋がります。

医師から産業医になるメリット(3)臨床との兼務も可能

産業医は臨床との兼務が可能なことも大きなメリットです。医師は常勤だけでなく、非常勤やスポット勤務など、医師の働き方は選択ができます。

臨床医として常勤で働いている場合でも、勤め先が副業を認めていれば、産業医を兼務して働くことが可能です。産業医をメインの仕事としながら臨床医としてスポットで働くなど、さまざまな働き方ができます。

医師から産業医になる3つのデメリット

医師から産業医になるにはデメリットもあります。主に次のとおりです。

●臨床に比べて物足りない
●常勤の仕事が少ない
●経験を求められる求人が多い



1つずつ詳しくお伝えします。

医師から産業医になるデメリット(1)臨床に比べて物足りない

産業医の仕事は臨床医に比べて物足りなく感じてしまう医師もいるかもしれません。産業医は、病気の治療ではなく、主にメンタルヘルスを防ぐのがメインの仕事となりますので、基本的に臨床の現場とは働き方が大きく変わります。

また、一度臨床医を離れると、その分、現場経験が少なくなるので、元に戻るのは困難になる可能性があります。多くの患者の病気を治すことが目標の医師は、産業医への転科は慎重に検討しましょう。

医師から産業医になるデメリット(2)常勤の仕事が少ない

産業医の仕事は臨床医に比べて常勤の仕事が少ない場合が多いことがデメリットです。産業医の契約は一般的に、専属と嘱託の2つに分かれます。

専属産業医とは企業の1社員として社内に常駐する医師です。従業員1000人以上の企業のみ専属産業医を選任する必要があり、おのずと専属産業医の求人は限られます。

一方、嘱託産業医は専属でないため、他社とも兼務することが可能です。数社かけもちすれば、収入の確保にも繋がります。

医師から産業医になるデメリット(3)経験を求められる求人が多い

産業医の仕事は経験を求められる場合があります。経験者のみの募集という求人も多く見受けられます。

とは言っても初めは誰でも未経験です。最初は、複数の産業医が選任される大手の求人を狙うのも1つの手段です。従業員が3001名以上の企業は、産業医を2名以上選任する必要があります。他の産業医と一緒に働くことで、経験や知識を積むことができるでしょう。

医師が産業医の求人を探す方法

産業医の資格は取得したものの、どうやって産業医の仕事を見つけたら良いか分からない医師も多いでしょう。産業医の求人を見つける方法についてお伝えします。

産業医の求人を探す方法(1)医師会や医療機関から紹介してもらう

医師会や医療機関から紹介してもらう方法があります。特に医師会からは地域の産業医案件を紹介してもらえる可能性があります。自宅に近い場所で探したい場合は、問い合わせをしてみると良いでしょう。

産業医の求人を探す方法(2)知り合いから紹介してもらう

知り合いから紹介してもらうのも産業の求人を探す方法の1つです。知り合いからの紹介であれば、信用性も高く採用される確率も上がります。

ただし入社後にトラブルが発生した場合、知人の紹介であるため、自分の意見を主張しづらい、退職しづらいと感じてしまう可能性はあります。

紹介者との人間関係にも影響を及ぼす可能性があるため、契約前に仕事内容、条件などに食い違いがないように、勤務条件はしっかり確認しましょう。

産業医の求人を探す方法(3)医師向け転職エージェントを使う

産業医の求人を探す方法としては、医師向け転職エージェントの利用がおすすめです。医師に特化した転職エージェントは、自分では探せない求人が豊富にあります。その他にも転職エージェントを使うメリットは次のとおりです。

●面接のアドバイスをもらえる
●入社後のフォローがある



面接での質問は、医師にはあまり馴染みがないものかもしれません。特に初めて転職する医師の中には戸惑う方もいます。転職エージェントは産業医の転職に精通しており、面接の傾向も熟知している可能性が高く、適切なアドバイスがもらえるでしょう。また、入社後も必要に応じてフォローがあるため安心して働けます。

医師から産業医になるための3つのおすすめ転職エージェント

医師から産業医になるためにおすすめの3つの転職エージェントをお伝えします。ぜひ、参考にしてください。

産業医におすすめの転職エージェント(1)医師転職ドットコム

医師転職ドットコムは、札幌に本社がある株式会社メディウェルが運営しています。東証プライム上場企業のグループ会社であり、安心して使える転職エージェントの1つです。これまでに6万5000人以上の医師転職支援実績があります。

産業医の求人数は常勤が151件、非常勤は78件(2024年1月時点)あり豊富な求人数が魅力です。

図表2
運営会社株式会社メディウェル
本社〒060-0001
北海道札幌市中央区北1条西5丁目2番地 興銀ビル9F
設立1996年2月
支店仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡
公式サイトhttps://www.dr-10.com/
※医師転職ドットコムを基に作成

産業医におすすめの転職エージェント(2)ドクタートラスト

ドクタートラストは、産業医や保健師の転職支援に特化した転職エージェントです。産業医の登録者数が業界1位で(2023年末時点)、紹介企業は、一部上場企業から中小企業、官公庁など幅広く契約実績は、4348社と業界1位(2023年末時点)を誇ります。

産業医の求人は公式サイトに掲載すると応募が殺到するほど人気があり、紹介を希望の方は、事前にメール登録をすることで多くの求人情報が配信される仕組みです。

図表3
運営会社株式会社ドクタートラスト
本社〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂一丁目14番6号 ヒューマックス渋谷ビル2階
設立2004年9月
支店大阪
公式サイトhttps://doctor-trust.co.jp/
※ドクタートラストを基に作成

産業医におすすめの転職エージェント(3)Carely産業医

Carely産業医は、2011年に設立した株式会社iCAREが運営する産業医に特化した転職エージェントです。取引先企業は、従業員の健康管理や生産性向上に重点をおいた企業が多くあります。

産業医としてまだ経験が浅い医師には、入社後も産業医支援の専門チームから手厚いサポートがあり、安心して職務に集中できるでしょう。

月1回の勤務やスポット案件の求人も豊富にあります。オンライン面談で登録すると自分の希望にあった求人の紹介が可能です。

図表4
運営会社株式会社iCARE
所在地〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿1丁目23-23 恵比寿スクエア 5階
設立2011年6月
支店本社のみ
公式サイトhttps://www.icare-carely.co.jp/
※iCARE Carely産業医を基に作成

医師から産業医の転職ガイドまとめ

医師から産業医になるためのキャリアパスについてお伝えしました。産業医として働くには、臨床の医師とは違う能力が求められます。転職には、メリットもありますが、デメリットも理解したうえで検討しましょう。

産業医の求人を探すには、転職エージェントの利用がおすすめです。たくさんの求人を紹介してもらうことで、産業医の転職事情も理解できます。産業医の転職に精通したプロから、転職を成功させるための良いアドバイスをもらえるでしょう。

出典

厚生労働省 産業医について
厚生労働省 医師会が関わる産業保健の現状
厚生労働省 ストレスチェック制度 導入マニュアル
日本医師会 産業医研修について 日本医師会認定産業医制度
医師転職ドットコム
医師転職ドットコム 株式会社メディウェル 会社概要
ドクタートラスト
ドクタートラスト 会社概要
産業医求人のことなら ドクタートラスト
iCARE Carely産業医


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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