地方の医師転職に強い転職サイトは? 地方勤務のメリット・デメリットも解説|ファイナンシャルフィールド

地方の医師転職に強い転職サイトは? 地方勤務のメリット・デメリットも解説

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はじめに

医師のキャリア形成は、「大学で専門領域のスペシャリストとして生きる」、「経験を積んで地域のなかで臨床医として活動する」、「独立・起業する」などさまざまな方向性が考えられます。

一方で、医師を取り巻く環境は、急性期病院が減少して在宅医療の需要が高まり、総合診療医が求められるなど大きく変化し続けています。

特に医師不足が叫ばれる日本では、地域間で医師の充足度にも格差があります。

厚生労働省の調査によると、人口10万人に対する医師数は全国平均で269.2人となっており、都道府県単位で見た場合、図表1・2のような違いがあります。

医師数が多い都道府県


図表1

 人口10万人あたりの医師数
徳島県338.4人
京都府332.6人
高知県322.0人

厚生労働省 令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況を基に作成

医師数が少ない都道府県


図表2

 人口10万人あたりの医師数
埼玉県177.8人
茨城県193.8人
新潟県204.3人

厚生労働省 令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況を基に作成

高齢化率等によって医療の需要は地域ごとに異なると考えられますが、都道府県単位で見た場合でも医師の充足数に大きな差があるのが分かります。

このような現状のなかで、地方で地域医療に貢献しながら働く選択をされる医師もいます。

この記事では、医師が地方で働く際に活用できるおすすめ転職サイトを紹介するとともに、地方で働くメリットや注意点についてお伝えします。

地方での勤務・転職に対する医師の意識

地域によって医師の充足数に大きな差があるなか、地方での勤務や転職に対する医師の意識はどのようになっているのでしょうか。

44%の医師が地方で働く意思がある

厚生労働省が平成29年に行った調査では、東京都23区や政令指定都市、県庁所在地等の都市部以外で勤務する意向がある医師の割合は44%となっており、20代では60%、30代で52%と若い世代の意思ほどその割合は高くなっています。

また、地方での勤務期間についても、1年や2年といった短期間ではなく、10年以上を希望する医師の割合が最も高くなっています。

厚生労働省が平成28年に行った臨床研修修了者へのアンケートでも、医師不足地域での従事について、「積極的に従事したい」が4.5%、「条件が合えば従事したい」が58.4%と6割を超える研修医が地方での勤務を選択肢として考えています。

医師の地方勤務を妨げる要因

ただ、一方で医師の地方での勤務を妨げる要因もあります。

前述の医師向けに行った調査では、地方で勤務する意思がない理由として、以下のものが上位を占めています。

●子どもの教育環境が整っていない(30代、40代が多い)
●希望する仕事内容がない
●労働環境への不安
●家族の理解が得られない



地方で働く意向がある医師は一定程度存在する一方、実際に勤務するとなるとさまざまな障害があることが分かります。

医師が地方で働く理由・きっかけ

医師が地方で働くきっかけや理由はさまざまです。

年齢的、体力的に区切りを迎え、自分のこれまでの経験を存分に活かせる場所で働きたいといった理由でセカンドキャリアとして地方勤務を選ぶ医師もいます。

医療機関が不足する地域では、1人の医師が幅広い領域の診療をカバーすることが求められることも多くなります。

同時に、患者との距離が近い診療所の仕事や訪問診療にやりがいや意義を見出す医師もいます。総合診療の1つとして大事な領域である地域医療を、まだ経験していないという医師もいるでしょう。

また、将来開業を考えている医師にとっては、幅広く患者を診なければならない地方の診療は、プライマリケアを学ぶ、コモンディジーズ(日常的によくある病気)を早く、的確に治療できる対応力を磨くといった意味では適していると考える医師もいます。

地方の医師求人・転職に強いサイト6社

これまで知らない土地や働いたことがない地域で希望の求人を探すのは簡単ではなく、転職エージェントをうまく活用することが大切です。全国規模で拠点を有し、医師の地方での転職活動に強いサイトを6つご紹介します。

●民間医局
●医師転職ドットコム
●マイナビDOCTOR
●ドクタービジョン
●Dr.転職なび
●ドクターキャスト

 

民間医局

民間医局は、登録会員数約16万3000人、契約医療機関数約1万7000施設にのぼる国内最大規模の転職エージェントです。北海道から沖縄まで全国17拠点を構え、常勤・非常勤以外にも産業医、保険師、メディカルドクター(製薬企業の勤務医)の紹介にも対応しています。

地域に密着した専任のエージェントが、求人紹介だけでなく、条件交渉から入職後のサポートまで丁寧に対応しています。開業支援事業も手がけていますので、将来、地方での開業も視野に入れている医師の方は、長期的に活用できるエージェントといえます。

図表3

公開求人数常勤:1万6377件
定期アルバイト:8620件
スポットアルバイト:5690件
非公開求人あり
対応勤務形態常勤・定期アルバイト(非常勤)・スポットアルバイト
診療科目【内科系】
内科、消化器内科、循環器内科、神経内科、呼吸器内科、心療内科、リウマチ科、総合診療科、糖尿病科、腎臓内科 など

【外科系】
外科、整形外科、脳神経外科、消化器外科、形成外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺/内分泌科 など

【その他】
麻酔科、産婦人科、精神科、眼科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、放射線科、リハビリテーション科、救急救命科、緩和ケア科、美容皮膚科 など
対応エリア全国
拠点東京・北海道・東北・北関東・東関東・南関東・上信越・名古屋・金沢・大阪・京都・神戸・中国・四国・九州・南九州・沖縄
運営会社株式会社メディカル・プリンシプル社
公式サイトhttps://www.doctor-agent.com/

民間医局公式サイトの情報を基に作成(2024年1月時点)

【民間医局のおすすめポイント】

●年間の成約件数約7万1000件
●非公開求人が豊富
●全国17の拠点から医療機関に出向き情報を入手
●専任のエージェントが初回面談から入職後まで変わらず対応
●医師賠償責任保険など各種保険を団体割引で加入できる
●厚生労働省「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度」適正認定事業者に認定

 

医師転職ドットコム

医師転職ドットコムは、登録医療機関は約6980施設、延べ利用者数は2万名以上にのぼる転職エージェントです。

最大の魅力は、約4万4000件以上の求人数と会員限定の非公開求人1万件以上の圧倒的な求人数です。全国7つの拠点のネットワークを生かした情報収集力と25年以上の病院運営支援での医療機関とのコネクションの強みを生かした求人数となっています。

運営会社の株式会社メディウェルは、調剤薬局大手アイングループ傘下の企業で、人材紹介事業のほか、医療機関の経営改善や企業の合併・買収(M&A)および事業承継支援事業、医師のアルバイト、非常勤を紹介するサイト「医師バイトドットコム」などを運営しています。

図表4

公開求人数4万4000件以上
非公開求人あり
対応勤務形態常勤・非常勤
診療科目【内科系】
内科、消化器内科、循環器内科、神経内科、呼吸器内科、リウマチ科、総合診療科、内分泌・糖尿病・代謝内科、血液内科、老年内科、人工透析内科、腫瘍内科・腎臓内科

【外科系】
外科、整形外科、脳神経外科、消化器外科、形成外科、呼吸器外科、心臓血管外科、血管外科、乳腺外科、泌尿器科、小児外科、美容外科

【その他】
麻酔科、婦人科、産婦人科、不妊治療、精神科、眼科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、放射線科、放射線治療科、リハビリテーション科、救命救急、緩和ケア、美容皮膚科、心療内科、 ペインクリニック、病理診断科、在宅医療、検診・人間ドック、集中治療科、AGA、臨床検査科、産業医、製薬企業、社医、老健など
対応エリア全国
拠点札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
運営会社株式会社メディウェル
公式サイトhttps://www.dr-10.com/

医師転職ドットコム公式サイトの情報を基に作成(2024年1月時点)

【医師転職ドットコムのおすすめポイント】

●医師6万5000人以上の支援実績
●多数のコンサルタントがキャリアコンサルタント、医療経営士資格を保有
●顧客満足度(対応の丁寧さ:96.0%、対応スピード:97.4%、求人の質94.7%)※2023年8月同社調べ

 

マイナビDOCTOR

マイナビDOCTORは、人材大手マイナビグループが運営する医師に特化した転職エージェントです。

医師のキャリア形成の支援含め、応募書類の添削や面接対策、同行まで専任のパートナーが一貫して対応してくれます。医療機関との取引件数は2万件以上にのぼり、3万5000件以上の公開求人数を誇ります。

全国に配置されたマイナビの担当者が、医療施設、介護施設、クリニック、法人企業などさまざまな医療機関と密接な関係を構築しています。開業支援事業も行っており、開業資金のための勤務、経験を積むための転職もサポートしてくれます。

図表5

公開求人数常勤:1万4123件
非常勤:1万4915件
スポット:2033件
非公開求人あり
対応勤務形態常勤・非常勤・スポット
診療科目【内科系】
一般内科、消化器内科、循環器内科、神経内科、呼吸器内科、リウマチ科、血液内科、内分泌・代謝内科、膠原内科、老年内科、心療内科、腎臓内科、アレルギー科

【外科系】
一般外科、整形外科、脳神経外科、消化器外科、形成外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、泌尿器科、小児外科 、美容外科、大腸・肛門外科など

【その他】
精神科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、麻酔科、産婦人科、婦人科、産科、放射線科、リハビリテーション科、救急科・ICU、緩和ケア科、総合診療科、美容皮膚科、人工透析科、 ペインクリニック、病理科、基礎医学系、検診・人間ドック、スポーツ整形外科など
対応エリア全国対応
拠点東京(銀座・新宿)・横浜・さいたま・名古屋・大阪・京都・神戸・岡山・広島・仙台・札幌・福岡
運営会社株式会社マイナビ
公式サイトhttps://doctor.mynavi.jp/

マイナビDOCTOR公式サイトの情報を基に作成(2024年1月時点)

【マイナビDOCTORのおすすめポイント】

●紹介求人の約3割が非公開求人
●12の拠点をベースにキャリアパートナー自らが医療機関に足を運び情報収集
●人材大手ならではの転職ノウハウや情報
●地域や診療科目のほか、数多くのこだわり条件で検索しやすい

 

ドクタービジョン

ドクタービジョンを運営する株式会社メディカルリソースは、調剤薬局大手の日本調剤グループの医療系総合人材サービス会社です。薬剤師・医師をはじめ、看護師・登録販売者を扱い、医療機関・薬局・企業等に人材の紹介をしています。

北海道から九州まで全国に拠点を有し、地域の多くの医療機関との信頼関係を構築するとともに、コンサルタントが実際に足を運び、現場の雰囲気や地域に根ざした情報を収集しています。即効性を求める人材会社とは一線を画し、対面によるきめ細やかな転職支援サービスを提供しているエージェントです。

図表6

公開求人数常勤:常勤:1万2600件
非常勤:5451件
スポット:1361件
非公開求人あり
対応勤務形態常勤・非常勤・スポット
診療科目【内科系】
一般内科、消化器内科、循環器内科、神経内科、呼吸器内科、糖尿病内科、老年内科、心療内科、腎臓内科、その他

【外科系】
一般外科、整形外科、脳神経外科、消化器外科、形成外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、小児外科 、美容外科、その他

【その他】
総合診療科、精神科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、麻酔科、放射線科、産婦人科、婦人科、リハビリテーション科、救急科、美容皮膚科、病理科、アレルギー科、リウマチ科、泌尿器科、産業医、その他
対応エリア全国対応
拠点札幌・東北・東京・横浜・船橋・大宮・名古屋・大阪・京都・神戸・広島・九州
運営会社株式会社メディカルリソース
公式サイトhttps://www.doctor-vision.com/

ドクタービジョン公式サイトの情報を基に作成(2024年1月時点)

【ドクタービジョンのおすすめポイント】

●厚労省認可の職業紹介優良事業者認定を取得
●問合せから入職まで一人の担当者がサポート
●調剤薬局大手のグループ企業として全国の医療機関とのパイプ
●医師転職サイトで三冠を受賞※日本マーケティングリサーチ機構調べ(2022年4月)

 

Dr.転職なび

Dr.転職なびを運営する株式会社エムステージは、医師の求職支援サービスのほか、産業医支援、医業承継サポートを展開しています。

提携している医療機関数は、常時1万4000件以上、求人数は未公開求人も含め、常時1万4500件以上保有しています。定期非常勤、スポットアルバイトに特化した求人メディア「Dr.アルなび」も運営。

図表7

公開求人数常勤:1万4510件
非常勤:6985件
スポット:5978件
非公開求人あり
対応勤務形態常勤・定期アルバイト・スポットアルバイト
診療科目【内科系】
一般内科、一般内科(訪問診療)、消化器内科、循環器内科、脳神経内科、呼吸器内科、糖尿病内科、老年内科、心療内科、腎臓内科、内分泌科、人工透析内科、血液内科、漢方内科、腫瘍内科、膠原病内科、訪問診療科、その他

【外科系】
一般外科、整形外科、脳神経外科、消化器外科、形成外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、小児外科 、美容外科、肛門外科、その他

【その他】
総合診療科、精神科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、麻酔科、放射線科、産婦人科、婦人科、リハビリテーション科、救急科、美容皮膚科、病理診断科、緩和ケア科、リウマチ科、泌尿器科、産業医関連、ストレスチェック関連、臨床検査科、小児神経科、健診・ドック、その他
対応エリア全国対応
拠点東京・札幌・仙台・名古屋・金沢・大阪・福岡
運営会社株式会社エムステージ
公式サイトhttps://tenshoku.doctor-navi.jp/

Dr.転職なび公式サイトの情報を基に作成(2024年1月時点)

【Dr.転職なびのおすすめポイント】

●専任エージェントは全員医療経営士資格を取得
●非公開求人数は1万件以上
●キャリアや転職に精通したコンサルタントがマンツーマンで担当

 

ドクターキャスト

ドクターキャストを運営する株式会社メディカルキャストは、求人事業のほか医療機関の求人、採用等を含めた経営コンサルティング、開業コンサルティング事業を展開しています。同社は、医師の流動化がすすみ、医師が都市部に集中する事態に対して、地方における良質な医師・医療従事者の確保を最重要課題と考え、地方、へき地、離島で働く医師を対象に求人情報を積極的に発信しています。

図表8

公開求人数常勤:4776件
非常勤:1206件
非公開求人あり
対応勤務形態常勤・非常勤(定期アルバイト)
診療科目【内科系】
内科、総合診療科、消化器内科、循環器内科、神経内科、呼吸器内科、糖尿病内科、老年内科、心療内科、腎臓内科、内分泌内科、血液内科

【外科系】
外科、整形外科、脳神経外科、消化器外科、形成外科、呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、美容外科

【その他】
精神科、小児科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、麻酔科、放射線科、産婦人科、婦人科、産科、リハビリテーション科、救急科、美容皮膚科、緩和ケア、泌尿器科、人工透析、在宅訪問診療、検診・人間ドック、産業医、老健、製薬、その他
対応エリア全国対応
拠点大阪・東京・福岡
運営会社株式会社メディカルキャスト
公式サイトhttps://www.doctorcast.jp/

ドクターキャスト公式サイトの情報を基に作成(2024年1月時点)

【ドクターキャストのおすすめポイント】

●都市部以外にへき地や離島を含めた地方に強い
●コンサルタントの経験年数は全員10年以上
●非公開の医師求人3万9000件以上

 

医師が地方に転職するメリット

医師が地方で働くメリットとしてはどういったことが考えられるのでしょうか。

医師不足の地域では好条件の求人が見つかりやすい

1つ目のメリットは、地方では好条件の求人が見つかりやすい点です。

一般的に、医師の場合、都会より地方の方が給与は高くなります。診療科目や経験年数等にもよりますが、年収2000万円を超えるような好条件で働くこともできます。

これは、需要と供給のバランスの問題が大前提としてあります。

都会は人の数が多いと同時に医療機関、医療従事者の数も多いですが、地方は人口が少なくても高齢者が多い分、医療の需要は高く、場所によって医師がまったく足りていない地域があります。そういった地域では、好条件の求人が見つかりやすくなります。

また、医療機関や自治体によっては、地方への移住促進のため補助金を設けているケースもあり、住宅手当やマイカー通勤にかかる費用の補助を受けられることもあります。

やりたい医療を実現しやすい

2つ目のメリットとして、地方の医療機関では、やりたい医療を実現しやすい点が挙げられます。

医療機関や地域差はあるとしても、地方では、急性期から慢性期まで1人の医師が対応することも多く、「それまで培ってきた自らの診療スキルを活かしたい」、「さまざまな症例や治療方法を経験したい」という医師にとっては、力を発揮しやすい環境といえます。

外科医であれば早めに執刀して経験を積むこともしやすいでしょう。

また、病院や診療機関間の競争が激しい都心部では、医師がやりたい医療より売上を優先せざるを得ないケースがあるようです。

その点、競争が少ない地方では、1人の医師に任せられる範囲も広く、売上よりも患者さんや地域への貢献度が評価される傾向で、医師自身のやりたい医療を実現しやすい環境だと考えられます。

一人ひとりの診療範囲が広く、働く意義を感じやすい

3つ目のメリットとして、地方では働く意義ややりがいを感じやすい点があります。

地域による違いはありますが、医師一人ひとりの診療範囲が広く、自分の存在意義を強く認識できる環境があります。

医療・介護施設の数が少ない地方では、急性期から慢性期まで1人の医師が対応することも多く、在宅医療、介護まで一連の流れを把握しやすい点で、プライマリケアを学ぶという意味でも適しているという声もあります。

また、地方は医者の希少価値が高く、患者さんから感謝されることも多い傾向です。必要とされていることが身近に実感できると、仕事の充実感にもつながります。

将来、開業しやすい

4つ目のメリットは、将来開業しやすい点です。

地方の高齢化率は高く、医師や医療機関の必要性は高くなっています。その一方、地域性はあるとしても、地方の医師不足は深刻で診療科目によって慢性的に医師不足の状況が続いています。

将来的に地方で開業する場合、今後もますます高齢化率が上がり医療の必要性が高まることを考えると、ライバルも少なく開業しやすいといえます。

また、土地の取得費や賃料が高い都心部と比べると、開業に必要な初期費用や運転資金も抑えることができます。開業したあとも事業を継続していくという意味では立地条件も大切になりますが、都心で開業しようとすると、まず場所が限られてきます。

その点、移動手段が車であることの多い地方では、駐車場を確保しながら立地条件にこだわることもできる点はメリットといえます。また、土地建物の賃料や事務スタッフの人件費など運転資金を抑えやすい点は、事業を継続するうえでメリットといえます。

勤務医のポストにつきやすい

5つ目のメリットとして勤務医のポストにつきやすい点があります。

地方で医者をするメリットとして開業のしやすさだけではなく、勤務医として働く場合も、部長職、副部長などのポストにつきやすい点もあげられます。

地方の医療機関のほうが給与は高い傾向にありますが、部長職や副部長職につけば収入のさらなるアップが期待できます。地方は、開業だけでなく、勤務医としてもメリットが大きいといえます。

生活費コストが安く、生活しやすい

最後のメリットとして、仕事以外の面となりますが、地方では生活コストが安く都会と比べ生活しやすい点が挙げられます。

総務省発表の消費者物価地域差指数によると、全国の物価水準を100とした場合、最も高い東京が104.7、物価水準が最も低い宮崎県が96.1となっています。支出の項目のなかで、特に住居費が他の都道府県より高くなっており、最も住居費の指数が低い香川県の81.6に対して、東京都の指数は130.7と違いは極めて大きくなっています。

地方では通勤ラッシュの時間は多少混雑することはあっても、首都圏に比べれば通勤電車などのストレスはかなり減ります。

また、都内の有名な医局であると、全国の関連病院に転勤の可能性があり、引越し費用や子どもの学校の変更の負担がかかりやすくなります。子どもの進学、転校を防ぐために単身赴任となることもあるでしょう。

一方、地方は医局の関連病院も県内しかないことが多く、勤務する病院が変更となっても、引越しする必要がないこともあります。

医師が地方に転職するときの注意点

医師が地方へ転職するうえで注意点もあります。

最先端の医療に触れる機会が減る

地方で働く場合、学会などへ参加しづらく、最新の医療に触れる機会が減るといった懸念が考えられます。交通網が発達していない地方からのアクセスが悪く移動が大変な分、学会やセミナーなどに参加する機会が減ってしまうこともあります。

近年は、オンラインで参加できるようになっていて、情報収集にはそれほど不自由しないという声も聞かれますが、スキル向上やキャリア形成などへの影響も踏まえ判断すべきでしょう。

業務の負担が大きい

地方で働くうえで医師の業務負担は1つの懸念点となります。

医療の需要が大きく医師が少ない地域では、自分以外に頼ることができる人がおらず、ある程度一人で診療を完結させなければならない状況も考えられます。

好待遇で迎えられるほど、医療機関の医師に対する期待も大きくなりがちです。夜間・土日勤務や、連日のオンコール待機を求められたり、基幹病院が遠方で、患者を他科へコンサルトできないことが負担になるという声も聞かれます。

エリアによって医師の自己犠牲によって地域医療が支えられている実情は、今もなお否定できません。転職活動では、医師の負担軽減にどの程度、病院側が理解を示すか確かめておき、もし不安が残るようであれば、雇用時の契約書に、待遇改善の努力を図ってもらえるよう盛り込んでおくことも1つの方法です。

家族の理解が得られない

地方都市での生活に対して、家族の理解が得られない可能性もあります。

都市部の生活に慣れていると、どうしても都市機能の充実度で劣ってしまう地方での生活に躊躇してしまうこともあります。

また、子どもの教育や通学への影響を考え、単身赴任を検討せざるを得ない場合もあります。地方で働くうえで家族のライフスタイルとの親和性も重要です。

地方への医師転職まとめ

医師が地方に転職する際のおすすめサイト、地方で働くメリットや注意点について解説しました。

地方で医師として働くにしても、医師にはさまざまなキャリア形成の方向性が考えられるなか、収入や生活環境、労働環境だけでなく、自らのキャリアやライフプランをどのように描くかをしっかりと検討することが大切になります。

そして、効率よく地方での医師求人を探すには、転職サイト、キャリアコンサルタントを活用することが有効です。

数多くの転職エージェントがありますので、複数のサイトに登録し、求人情報の質や量、担当コンサルタントの質を比較しながら、自分にあった転職エージェントをみつけるようにしましょう。ぜひ参考にしてください。

出典

厚生労働省 令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
厚生労働省「平成29年医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」
厚生労働省「平成28年臨床研修修了者アンケート調査結果概要」
総務省統計局 2022年消費者物価地域差指数
民間医局
医師転職ドットコム
マイナビDOCTOR
ドクタービジョン
Dr.転職なび
ドクターキャスト


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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