執筆者: FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
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うつ病で苦しんでいる医師は意外と多く存在しています。「自分は大丈夫」と思い、多くのことを背負い込んでしまうことで、いつのまにか心が疲れてしまうことがあるのです。
本記事では、うつ病になった医師が転職するために必要なポイントと、医師のメンタルヘルスについて解説します。再就職を1人で思い悩む前に、周りの人や転職エージェントに相談することが重要です。
少子高齢化により、医療ニーズは増え、治療内容も多様化しています。患者の期待に応えつつ、スキルアップ・知識習得にも時間をかけなければならないのです。
病気に対する知識があることと、自分が病気にかからないことはイコールではありません。うつ病の症状を詳しく説明すると共に、どのくらいの医師がうつ病に苦しんでいるのか、現状について解説します。
脳内の神経伝達物質「セロトニン」、「ノルアドレナリン」が減ってしまうことが起因しているとも言われています。人によって症状のあらわれ方が異なるため、一言で説明することが難しい病気でもあります。
症状が悪化すると仕事や家事、勉強などの生活もままならなくなることがあり、仕事であれば休職してしまう方や、寝たきりのような状態になってしまう方もいます。
上記から5つ以上当てはまるものがある方は、専門家に相談してみましょう。
また、令和4年6月の日本医師会が公表した「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」では「主観的健康感(健康でない・不健康)」と回答した勤務医が16.3%、「他の医師への健康相談あり」と回答した勤務医が59.5%存在していることが分かります。
さらに「抑うつ症状尺度QIDS中等度以上」に該当する医師は8.8%おり、2015年の結果と比較すると2.2%も増えています。2021年はコロナ禍であることも要因として挙げられ、睡眠時間の減少や不当なクレームの増加も背景にあると見られています。
ただ、うつ病は、人によって原因がバラバラであり、同じ状況下でも病気にかかる人としない人がいます。複数の原因が重なってうつ病になってしまう医師もいるので、必ずしもこれから紹介する理由だけとは限りません。
具体的には、1日4時間程度しか睡眠時間を取れない医師や、患者の診療・診断書の作成・入院の案内など業務の幅が広く、業務過多に陥るといったことが挙げられます。
こうした長時間労働により、疲労が蓄積し、メンタル不調やうつ病になってしまうケースもあるのです。
急に呼び出されることもあれば、家庭より患者を優先しなければならないシーンも出てきます。そうした際に、自分の理想とは違うことに悩んだり、自己肯定感が下がったりしやすくなります。
なんでも自分でやろうという強い思いが、結果的に自分を追い込んでしまうこともあるのです。
責任感の強さから何でも1人で背負い込み、結果的にうつ病にかかってしまうこともあるでしょう。命に関わる治療を行ったり、患者の将来を決める機会を持ったりすることもあり、大きなプレッシャーを感じやすい職業です。
医師として知識があるだけに「自分は大丈夫」と思ってしまい、気が付いたら重度のうつ状態になっていることもあります。心身共に強いストレスに晒されることが、調子を崩す理由として挙げられるのです。
多忙になればなるほど人は余裕を失くしやすくなります。いつもなら穏やかにやり取りできることも、つい強く指摘してしまうことや、患者の命がかかっているというプレッシャーから優しい対応ができないこともあるでしょう。
こうしたコミュニケーション不足から、孤立状態に陥り精神を病んでしまうケースがあります。
メンタルケアの現状や、元気に働くための日本医師会の定めた7カ条について解説します。
医師に対する人事制度の見直しや、短時間労働者の雇用など、少しでも業務量を軽くして働きやすい労働環境の整備が求められています。
図表1
※日本医師会 「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」より引用
また、面接指導は義務化され、休息時間の確保についても、連続して勤務する時間に制限が設けられ、インターバルを挟むことが義務付けられています。
図表2
※厚生労働省 医師の働き方改革 概要より引用
労務管理を徹底することで医師の労働時間を可視化し、長期的に働ける場を提供可能な医療体制を目指していくことが求められています。
4つ目でうつについて触れていますが、「勤務医の12人に1人はうつ状態」と言われています。少しでも違和感があれば適切な休養や治療が必要となります。
また、うつ病であることを踏まえたプロのアドバイスも聞けます。同じようなケースを担当したことがあるコンサルタントであれば、配慮してくれたり、他の方の事例について教えてくれたりすることもあります。
また、医療機関の内部情報について教えてもらえる可能性もあるため、情報収集がしやすくなる点もエージェントサービスのメリットです。
そのため、身近な人に自分の思いや希望を伝える癖をつけることが重要です。再就職の希望やどのような働き方を目指しているのか等、相談することで客観的な意見を集めることができます。
周りの意見に流されることと、意見を踏まえて自分の考えをまとめることは違います。家族や友人に意見を聞き、その上で再就職先を探すことで納得のいく転職活動をしやすくなります。
今の自分に必要なキャリアや、目指すべき働き方をイメージすると良いでしょう。3年後・5年後・10年後のスパンに区切って考えてみてください。
回復したとは言え、以前と同じ生活を送ればどうなるか分かりません。目標に対するペースを落とすだけでも負担が変わるので参考にしてみましょう。
また将来のイメージを具体的に持つだけで、面接での発言内容も深みが出るようになります。「まだ決まっていない」という方も、良い機会だと思って考えてみると良いでしょう。
再就職後、遅刻や寝坊を繰り返してしまうと転職先に不安を与えてしまいます。まずは生活習慣を整える練習をしていき、少しずつ元の生活に戻すことを目指します。
また、生活習慣を整えるだけでも気持ちの波が小さくなることがあります。カフェインやアルコールの摂りすぎに気をつけて、少しずつ身体の調子を整えていきましょう。
「常勤を目指したい」としても、まずは短時間から復職していき、症状の有無を確かめながら少しずつ勤務時間を伸ばしていく方がスムーズに移行しやすくなります。
健康診断の「スポット案件」や、1日4時間程度からはじめられる「非常勤案件」も医師転職サイトには掲載されています。少し視野を広げて探すと、自分にぴったりの案件を見つけやすくなるでしょう。
そのため、再就職するためには、自分の症状をしっかり把握しておく必要があります。「どのような時に気分が落ち込みやすいのか」という傾向を人に伝えられるようにしましょう。
もし「自分では分からない」ということであれば医師やカウンセラーに相談するのもよいかもしれません。「ここまで仕事を詰めるとキャパオーバーになる」といったことも事前に伝えることができれば、周りの付き合い方や仕事の振り方も配慮しやすくなります。
通常の転職活動は、応募・面接・内定・退職交渉・引継ぎ・入社まで、早くても3ヶ月程度かかると言われています。しかし、うつ病から再就職を目指す場合は半年?1年ほど余裕を持ち、じっくり時間をかけて探せるようにスケジューリングしましょう。
ストレスの要因が職場環境にある場合、休職中に大きく改善されていない限り、同じことを繰り返してしまう可能性があります。責任感の強い方は「休職させてもらったし」と気負うことも多いかもしれませんが、思い切って別の職場に転職してしまうことも1つの手であることを忘れないようにしましょう。
医師として評価されるポイントは、そのまま医療機関が重視しているポイントでもあります。自身が納得していない評価軸によって、また無理をしてしまわないよう、どのような点を重視しているのか確認し、自分にあった働き方が何か探す必要があります。
一般的に「子育て中の主婦」が働いている職場や、時短勤務が認められている職場は、上手く業務量をコントロールしながら運営していることが多いです。指標として参考にしてみてください。
再就職ということで、慎重に見極めたいと思うのであれば、一度現場を見ることで安心できるかもしれません。とくに「人間関係の良さ」のように定性的なポイントを重視する人にとっては、人から話を聞くだけではイメージしきれない点があるかと思います。職場見学で雰囲気を感じられれば、入社後のイメージも具体的にしやすくなるでしょう。
そのためには医療機関の口コミを見たり、コンサルタントに話を聞いたり、事前の情報収集がカギとなります。企業研究で、応募先の理念や方向性についても把握しておきましょう。
うつ病になったことがネックで、上手く書類選考に通らないこともあるかもしれません。しかしそんな時こそ焦らず、多角的な観点で見極めることが重要となります。
「非常勤案件」も多く保有しているため、転職事例も多く、希望の条件にぴったりの案件を紹介してもらえます。公式サイトから代表的なコンサルタントの自己紹介なども見られるため、気になる方は覗いてみてください。
<会社概要>
※エムスリーキャリアエージェントを基に作成
全国に拠点を構えているため、エリア問わず業界の最新情報を収集することができます。
再就職の際に、地方に行きたいというUターン・Iターンを希望する医師も多いです。そうした転職活動であっても民間医局なら丁寧にサポートしてもらえるでしょう。
「定期アルバイト」は8900件、「スポット案件」についても5800件(2024年2月時点)以上掲載されているので、雇用形態を問わず幅広い提案を受けられます。
<会社概要>
※民間医局を基に作成
2024年2月現在、求人数は1万9000件以上あり、非公開求人も1万件以上保有しています。そのため、自分の希望に沿った再就職先を見つけられ、満足のいく転職活動がしやすくなるでしょう。
「オーダーメイド求人」の紹介もしてくれるので、気になる方は無料で会員登録してみてください。
<会社概要>
※リクルートドクターズキャリアを基に作成
また求人案件に対してメリットだけではなく、デメリットまできちんと伝えてくれ、中長期的なキャリアプランの形成に寄与してくれます。コンサルタントと医師でしっかりと信頼関係を築けるよう力になってくれるため、うつ病からの再就職についても親身になってくれるでしょう。
<会社概要>
※医師転職ドットコムを基に作成
「職場の医師カルテ」のページからは勤務先の詳しい様子が記載されていたり、「転職ノウハウ」からは履歴書や志望動機の書き方が指南されていたり、求職者ファーストのサイト構成となっています。
コンサルタントの質も高く、寄り添い型の支援をしてくれるため、自分の症状についてもしっかり共有しながら転職活動が進められるでしょう。
<会社概要>
※マイナビDOCTORを基に作成
違和感があれば、必ず適切な休息を取ったり、専門医にかかったりしましょう。しっかりと治療し、また働けるようであれば転職することをおすすめします。
本記事で紹介したように、医師専門の転職エージェントを上手く活用しながら自分の状態に適した勤務先を見つけましょう。プロのコンサルタントに相談することで視野が広がり、希望に沿った転職活動が可能です。勇気を持って踏み出すことで、あなたらしく長く働ける職場を見つけることができるでしょう。
厚生労働省 うつ病
厚生労働省 令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
日本医師会 勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書
厚生労働省 医師の働き方改革概要
日本医師会 医師が元気に働くための7カ条
エムスリーキャリアエージェント
エムスリーキャリア株式会社 会社概要
民間医局
民間医局 民間医局を運営するメディカル・プリンシプル社について
株式会社リクルートメディカルキャリア リクルートドクターズキャリア
株式会社リクルートメディカルキャリア 会社情報
医師転職ドットコム
医師転職ドットコム 株式会社メディウェルについて
マイナビDOCTOR
株式会社マイナビ 会社概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
本記事では、うつ病になった医師が転職するために必要なポイントと、医師のメンタルヘルスについて解説します。再就職を1人で思い悩む前に、周りの人や転職エージェントに相談することが重要です。
目次
うつ病で苦しむ医師は多い?
医師の仕事は患者を救う非常にやりがいがある仕事ではありますが、同時に大きなプレッシャーやストレスを抱えやすい職業でもあります。うつ病になるほど追い詰められてしまう医師は意外と存在しています。少子高齢化により、医療ニーズは増え、治療内容も多様化しています。患者の期待に応えつつ、スキルアップ・知識習得にも時間をかけなければならないのです。
病気に対する知識があることと、自分が病気にかからないことはイコールではありません。うつ病の症状を詳しく説明すると共に、どのくらいの医師がうつ病に苦しんでいるのか、現状について解説します。
うつ病とは?
うつ病とは、脳のエネルギーが不足し、憂うつな気持ちになったり、無気力になったり、集中力が低下し、長期的にその状態が改善しない病気のことです。脳内の神経伝達物質「セロトニン」、「ノルアドレナリン」が減ってしまうことが起因しているとも言われています。人によって症状のあらわれ方が異なるため、一言で説明することが難しい病気でもあります。
症状が悪化すると仕事や家事、勉強などの生活もままならなくなることがあり、仕事であれば休職してしまう方や、寝たきりのような状態になってしまう方もいます。
<うつ病の特徴>
(1)悲しく、憂うつな気分が一日中続く
(2)これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
(3)食欲が減る、あるいは増す
(4)眠れない、あるいは寝すぎる
(5)イライラする、怒りっぽくなる
(6)疲れやすく、何もやる気になれない
(7)自分に価値がないように思える
(8)集中力がなくなる、物事が決断できない
(9)死にたい、消えてしまいたい、いなければ良かったと思う
上記から5つ以上当てはまるものがある方は、専門家に相談してみましょう。
うつ病で苦しむ医師の現状
令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、「医療・福祉」業界のメンタルヘルス不調により1ヶ月以上求職した労働者または退職した労働者がいた事業所は、17.9%にのぼります。また、令和4年6月の日本医師会が公表した「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」では「主観的健康感(健康でない・不健康)」と回答した勤務医が16.3%、「他の医師への健康相談あり」と回答した勤務医が59.5%存在していることが分かります。
さらに「抑うつ症状尺度QIDS中等度以上」に該当する医師は8.8%おり、2015年の結果と比較すると2.2%も増えています。2021年はコロナ禍であることも要因として挙げられ、睡眠時間の減少や不当なクレームの増加も背景にあると見られています。
医師がうつ病になる理由
医師がうつ病になる代表的な理由を4つ紹介します。 ●長時間労働による疲労
●ライフスタイルの変化
●責任感の強さ
●人間関係のストレス
ただ、うつ病は、人によって原因がバラバラであり、同じ状況下でも病気にかかる人としない人がいます。複数の原因が重なってうつ病になってしまう医師もいるので、必ずしもこれから紹介する理由だけとは限りません。
医師がうつ病になる理由1.長時間労働による疲労
医師は長時間労働が常態化しており、休日の確保もままならないケースも多い職種です。2024年の働き方改革法案により、時間外労働の上限規制などが設定されたものの、それまでの勤務医の労働環境は劣悪なところも多かったのが現状です。具体的には、1日4時間程度しか睡眠時間を取れない医師や、患者の診療・診断書の作成・入院の案内など業務の幅が広く、業務過多に陥るといったことが挙げられます。
こうした長時間労働により、疲労が蓄積し、メンタル不調やうつ病になってしまうケースもあるのです。
医師がうつ病になる理由2. ライフスタイルの変化
結婚や出産・育児のようにライフスタイルが変化することで仕事との両立が難しくなり、キャパオーバーになることでうつ病になってしまう医師もいます。医療機関によっては託児所を設け、産休・育休のケアなどを行っているところも増えてきましたが、そもそも医師は非常に多忙な職種です。急に呼び出されることもあれば、家庭より患者を優先しなければならないシーンも出てきます。そうした際に、自分の理想とは違うことに悩んだり、自己肯定感が下がったりしやすくなります。
なんでも自分でやろうという強い思いが、結果的に自分を追い込んでしまうこともあるのです。
医師がうつ病になる理由3.責任感の強さ
医師の多くは「患者を救う」という強い責任感を持っています。そのため、なんでも自分でやろうとする意識が強い方や、自分を犠牲にしてしまう方が少なくありません。責任感の強さから何でも1人で背負い込み、結果的にうつ病にかかってしまうこともあるでしょう。命に関わる治療を行ったり、患者の将来を決める機会を持ったりすることもあり、大きなプレッシャーを感じやすい職業です。
医師として知識があるだけに「自分は大丈夫」と思ってしまい、気が付いたら重度のうつ状態になっていることもあります。心身共に強いストレスに晒されることが、調子を崩す理由として挙げられるのです。
医師がうつ病になる理由4.人間関係のストレス
医師は患者・他の医師・看護師や事務員などのスタッフなど多くの関係者と接しながら業務を進めていきます。そのため、人間関係が上手くいかないことに悩む医師も多いです。多忙になればなるほど人は余裕を失くしやすくなります。いつもなら穏やかにやり取りできることも、つい強く指摘してしまうことや、患者の命がかかっているというプレッシャーから優しい対応ができないこともあるでしょう。
こうしたコミュニケーション不足から、孤立状態に陥り精神を病んでしまうケースがあります。
医師のメンタルケアの現状
医師に対するメンタルケアとして少しずつ対策が進んでいます。とくに働き方改革法案で医師についても長時間労働の是正が行われており、労働環境の改善に向けて動き始めています。メンタルケアの現状や、元気に働くための日本医師会の定めた7カ条について解説します。
医療機関の対策
医療機関は人手不足解消や、医師のメンタルケアのためにさまざまなアクションを実施しています。たとえば「クラークを導入して医師は診療に専念する」、「地域医療施設との連携」など、効果的と思われる対策を実施するところが増えてきました。医師に対する人事制度の見直しや、短時間労働者の雇用など、少しでも業務量を軽くして働きやすい労働環境の整備が求められています。
図表1
※日本医師会 「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」より引用
働き方改革における長時間労働の是正
働き方改革により、2024年4月から医師の時間外労働に上限規制が実施され、医療機関に適用する水準A~C-2)によって、年間の上限時間が960時間~1860時間(詳細以下図表2)と決められました。また、面接指導は義務化され、休息時間の確保についても、連続して勤務する時間に制限が設けられ、インターバルを挟むことが義務付けられています。
図表2
※厚生労働省 医師の働き方改革 概要より引用
労務管理を徹底することで医師の労働時間を可視化し、長期的に働ける場を提供可能な医療体制を目指していくことが求められています。
日本医師会の定めた7カ条について
日本医師会では、勤務医に対するアンケートを基に、「医師が元気に働くための7カ条」を定めています。 (1)睡眠時間を充分確保しよう
(2)週に1日は休日を取ろう
(3)頑張りすぎないようにしよう
(4)「うつ」は他人事ではありません
(5)体調が悪ければためらわず受診しよう
(6)ストレスを健康的に発散しよう
(7)自分、そして家族やパートナーを大切にしよう
4つ目でうつについて触れていますが、「勤務医の12人に1人はうつ状態」と言われています。少しでも違和感があれば適切な休養や治療が必要となります。
医師がうつ病から再就職する方法
うつ病にかかってしまった医師が再就職するためには、焦らず慎重に進めていくことが重要です。再就職するために必要な準備や心持ちについて3つ解説します。医師がうつ病から再就職する方法1:エージェントサービスを活用する
エージェントサービスを活用することで、コンサルタントと二人三脚で転職活動を進めることができます。質問しにくいことや細かな条件についてもコンサルタントが医療機関との間に立って確認してくれるため、スムーズにやり取りしやすくなるでしょう。また、うつ病であることを踏まえたプロのアドバイスも聞けます。同じようなケースを担当したことがあるコンサルタントであれば、配慮してくれたり、他の方の事例について教えてくれたりすることもあります。
また、医療機関の内部情報について教えてもらえる可能性もあるため、情報収集がしやすくなる点もエージェントサービスのメリットです。
医師がうつ病から再就職する方法2:身近な人に相談する
うつ病になると人とのコミュニケーションが億劫になり、悩みごとを1人で抱え込む人が多いようです。また、一概には言えませんが、医師はあまり自身の相談を周りにしないタイプの人が多い傾向もあります。そのため、身近な人に自分の思いや希望を伝える癖をつけることが重要です。再就職の希望やどのような働き方を目指しているのか等、相談することで客観的な意見を集めることができます。
周りの意見に流されることと、意見を踏まえて自分の考えをまとめることは違います。家族や友人に意見を聞き、その上で再就職先を探すことで納得のいく転職活動をしやすくなります。
医師がうつ病から再就職する方法3:将来のキャリアイメージをする
再就職に向けて活動をはじめる前に、改めて自分の将来についても考えてみましょう。もしかするとうつ病にかかる前に考えていたキャリアプランとは変わっているかもしれません。今の自分に必要なキャリアや、目指すべき働き方をイメージすると良いでしょう。3年後・5年後・10年後のスパンに区切って考えてみてください。
回復したとは言え、以前と同じ生活を送ればどうなるか分かりません。目標に対するペースを落とすだけでも負担が変わるので参考にしてみましょう。
また将来のイメージを具体的に持つだけで、面接での発言内容も深みが出るようになります。「まだ決まっていない」という方も、良い機会だと思って考えてみると良いでしょう。
うつ病になった医師が転職成功するポイント
うつ病になってしまったとしても、しっかり身体を休めて回復できれば、転職に意欲的に取り組むこともできるかもしれません。最初から「上手くやろう」と背負い込む必要はありませんが、ポイントを抑えることで転職活動を進めやすくなります。うつ病の医師が転職成功するポイント1:生活習慣を整える
まずは再就職に向けてきちんと生活習慣を整える必要があります。もし就職すれば、出社時間までに起きて、夜は早く寝なければなりません。うつ病になっていると、朝起きることができなかったり、不眠に悩まされたりすることがあります。再就職後、遅刻や寝坊を繰り返してしまうと転職先に不安を与えてしまいます。まずは生活習慣を整える練習をしていき、少しずつ元の生活に戻すことを目指します。
また、生活習慣を整えるだけでも気持ちの波が小さくなることがあります。カフェインやアルコールの摂りすぎに気をつけて、少しずつ身体の調子を整えていきましょう。
うつ病の医師が転職成功するポイント2:雇用形態を見直す
もともと常勤で働いていた医師であれば、非常勤に切り替えたり、スポット案件から応募したり、再就職を機に雇用形態を見直してみると良いでしょう。常勤の場合、夜勤や当直が発生することも多く、いきなり身体への負担が増えてしまいます。「常勤を目指したい」としても、まずは短時間から復職していき、症状の有無を確かめながら少しずつ勤務時間を伸ばしていく方がスムーズに移行しやすくなります。
健康診断の「スポット案件」や、1日4時間程度からはじめられる「非常勤案件」も医師転職サイトには掲載されています。少し視野を広げて探すと、自分にぴったりの案件を見つけやすくなるでしょう。
うつ病の医師が転職成功するポイント3:自身の症状やキャパシティを把握する
うつ病は、治ったと思ったら再発することもあり、回復してからも「再発予防期」と呼ばれる時期があります。風邪のように、「薬を飲めばすぐに症状が落ち着く」というものではなく、元気になったように見えても日によって状態が変わることもある病気です。そのため、再就職するためには、自分の症状をしっかり把握しておく必要があります。「どのような時に気分が落ち込みやすいのか」という傾向を人に伝えられるようにしましょう。
もし「自分では分からない」ということであれば医師やカウンセラーに相談するのもよいかもしれません。「ここまで仕事を詰めるとキャパオーバーになる」といったことも事前に伝えることができれば、周りの付き合い方や仕事の振り方も配慮しやすくなります。
うつ病の医師が転職成功するポイント4:焦って転職先を見つけない
求職したり、失業したりしている期間が長いと「早く仕事を見つけないといけない」と焦ってしまいます。しかし、焦って転職先を決めても、ミスマッチが起きてしまえば「再就職に成功した」とは言えません。通常の転職活動は、応募・面接・内定・退職交渉・引継ぎ・入社まで、早くても3ヶ月程度かかると言われています。しかし、うつ病から再就職を目指す場合は半年?1年ほど余裕を持ち、じっくり時間をかけて探せるようにスケジューリングしましょう。
うつ病の医師が転職成功するポイント5:無理に復職せずに転職する
もし退職ではなく休職している医師の場合は、元の職場に戻ることを目標にしている方もいるかもしれません。しかし、必ずしも復職する必要はありません。ストレスの要因が職場環境にある場合、休職中に大きく改善されていない限り、同じことを繰り返してしまう可能性があります。責任感の強い方は「休職させてもらったし」と気負うことも多いかもしれませんが、思い切って別の職場に転職してしまうことも1つの手であることを忘れないようにしましょう。
医師が転職先を選ぶ際のポイント
転職先を決める際は、次の4つのポイントを事前にチェックしておき、1人で決めずに専門家や知り合いにも相談しながら進めましょう。 ●人事制度や勤務形態をチェックしておく
●無理のない業務量か確認する
●事前に職場見学などを依頼する
●長く働ける職場なのか見極める
医師が転職先を選ぶ際のポイント1:人事制度や勤務形態をチェックしておく
転職先の候補となる医療機関の人事制度や勤務状態を可能な範囲で調べておきましょう。とにかく多くの患者を診察することが目標になっているところもあれば、満足度の高いサービスを提供することに努めている医療機関など方針はさまざまです。医師として評価されるポイントは、そのまま医療機関が重視しているポイントでもあります。自身が納得していない評価軸によって、また無理をしてしまわないよう、どのような点を重視しているのか確認し、自分にあった働き方が何か探す必要があります。
医師が転職先を選ぶ際のポイント2:無理のない業務量か確認する
自身のキャパシティに対して業務量があまりにも多い働き方を強いられる場合、転職先として極力選ばない方がよいかもしれません。症状がぶり返してしまうリスクがあります。キャパシティの大きさは人それぞれですので、どの程度激務な職場なのかは、コンサルタントと面談しながら確認していくと良いです。一般的に「子育て中の主婦」が働いている職場や、時短勤務が認められている職場は、上手く業務量をコントロールしながら運営していることが多いです。指標として参考にしてみてください。
医師が転職先を選ぶ際のポイント3:事前に職場見学などを依頼する
可能であれば職場見学を依頼し、普段の様子を見ておくのも有効な方法です。基本的に面接では、人事担当や事務長などにしか会えないことが多いです。再就職ということで、慎重に見極めたいと思うのであれば、一度現場を見ることで安心できるかもしれません。とくに「人間関係の良さ」のように定性的なポイントを重視する人にとっては、人から話を聞くだけではイメージしきれない点があるかと思います。職場見学で雰囲気を感じられれば、入社後のイメージも具体的にしやすくなるでしょう。
医師が転職先を選ぶ際のポイント4:長く働ける職場なのか見極める
再就職は、焦って決めてすぐにやめてしまうと自信を無くすきっかけになりかねません。安心して長く働ける職場なのか、しっかりと見極める必要があります。そのためには医療機関の口コミを見たり、コンサルタントに話を聞いたり、事前の情報収集がカギとなります。企業研究で、応募先の理念や方向性についても把握しておきましょう。
うつ病になったことがネックで、上手く書類選考に通らないこともあるかもしれません。しかしそんな時こそ焦らず、多角的な観点で見極めることが重要となります。
おすすめの医師転職サイト5選
医師が再就職する上でおすすめの転職エージェントを5社紹介します。じっくり比較しながら選べるように求人数が豊富で、実績のあるコンサルタントが多いサービスを選ぶようにしましょう。おすすめの医師転職サイト1:M3キャリアエージェント
「M3キャリアエージェント」は、医師会員32万人いる、日本最大級の医師転職サイトです。業界に精通したコンサルタントが担当してくれるため、症状について相談したり、再就職先についても有益なアドバイスを貰えるでしょう。「非常勤案件」も多く保有しているため、転職事例も多く、希望の条件にぴったりの案件を紹介してもらえます。公式サイトから代表的なコンサルタントの自己紹介なども見られるため、気になる方は覗いてみてください。
<会社概要>
運営会社 | エムスリーキャリア株式会社(M3 Career, Inc.) |
所在地 | 東京都港区虎ノ門4ー1ー28 虎ノ門タワーズオフィス |
資本金 | 1億円 |
設立 | 2009年12月 |
代表 | 沼倉 敏樹 |
拠点 | 東京、大阪 |
HP | https://agent.m3.com/ |
おすすめの医師転職サイト2:民間医局
「民間医局」は株式会社メディカル・プリンシプル社が運営している医師転職サイトです。全国に拠点を構えているため、エリア問わず業界の最新情報を収集することができます。
再就職の際に、地方に行きたいというUターン・Iターンを希望する医師も多いです。そうした転職活動であっても民間医局なら丁寧にサポートしてもらえるでしょう。
「定期アルバイト」は8900件、「スポット案件」についても5800件(2024年2月時点)以上掲載されているので、雇用形態を問わず幅広い提案を受けられます。
<会社概要>
運営会社 | 株式会社メディカル・プリンシプル社 |
所在地 | 東京都港区新橋4ー1ー1 新虎通りCORE |
資本金 | 3297万5000円 |
設立 | 1997年1月29日 |
代表 | 由良 芳從 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬、愛知、石川、京都、大阪、兵庫、広島、香川、福岡、熊本、沖縄 |
HP | https://www.doctor-agent.com/ |
おすすめの医師転職サイト3:リクルートドクターズキャリア
「リクルートドクターズキャリア」は、転職支援実績が業界トップクラスに多い医師転職サービスです。優秀なコンサルタントが多いため、課題や悩みに対して視野が広がるような客観的なアドバイスが期待できます。2024年2月現在、求人数は1万9000件以上あり、非公開求人も1万件以上保有しています。そのため、自分の希望に沿った再就職先を見つけられ、満足のいく転職活動がしやすくなるでしょう。
「オーダーメイド求人」の紹介もしてくれるので、気になる方は無料で会員登録してみてください。
<会社概要>
運営会社 | 株式会社リクルートメディカルキャリア |
所在地 | 東京都千代田区九段北1丁目14ー6 九段坂上KSビル |
資本金 | 4500万円(株式会社リクルート100%出資) |
設立 | 1979年9月 |
代表 | 髙﨑 透 |
拠点 | 東京、愛知、大阪、福岡 |
HP | https://www.recruit-dc.co.jp/ |
おすすめの医師転職サイト4:医師転職ドットコム
「医師転職ドットコム」は、サービス利用満足度94%の高水準を誇る医師転職サービスです。「対応の丁寧さ」、「対応スピードの速さ」、「求人の質の高さ」がそれぞれ94%を超える結果も出ており、多くの医師に活用されています。また求人案件に対してメリットだけではなく、デメリットまできちんと伝えてくれ、中長期的なキャリアプランの形成に寄与してくれます。コンサルタントと医師でしっかりと信頼関係を築けるよう力になってくれるため、うつ病からの再就職についても親身になってくれるでしょう。
<会社概要>
運営会社 | 株式会社メディウェル |
所在地 | 札幌市中央区北1条西5丁目2番地 興銀ビル9F |
資本金 | 2億850万円 |
設立 | 1996年2月 |
代表 | 中村 知廣 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、愛知、大阪、広島、福岡 |
HP | https://www.dr-10.com/ |
おすすめの医師転職サイト5:マイナビDOCTOR
株式会社マイナビが提供している医師転職サイトが「マイナビDOCTOR」です。人材業界で20年以上の実績があることから、医師業界だけではなく他業種に渡って多くの成功事例を保有しています。「職場の医師カルテ」のページからは勤務先の詳しい様子が記載されていたり、「転職ノウハウ」からは履歴書や志望動機の書き方が指南されていたり、求職者ファーストのサイト構成となっています。
コンサルタントの質も高く、寄り添い型の支援をしてくれるため、自分の症状についてもしっかり共有しながら転職活動が進められるでしょう。
<会社概要>
運営会社 | 株式会社マイナビ(Mynavi Corporation) |
所在地 | 東京都千代田区一ツ橋一丁目1番1号 |
資本金 | 21億210万円 |
設立 | 昭和48年(1973年)8月15日 |
代表 | 土屋 芳明 |
拠点 | 北海道、宮城、東京、神奈川・神奈川、大宮、埼玉、千葉、栃木、茨城、群馬、愛知、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、島根、岡山、広島、香川、愛媛、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
HP | https://doctor.mynavi.jp/ |
うつ病医師の転職まとめ
うつ病で悩む医師は意外と多いものの、「自分は大丈夫」と思い込むことや、「休んでいられない」と無理をしてしまう医師は多いです。長時間労働や責任感の強さから無理をしてしまい、重症になることもあります。違和感があれば、必ず適切な休息を取ったり、専門医にかかったりしましょう。しっかりと治療し、また働けるようであれば転職することをおすすめします。
本記事で紹介したように、医師専門の転職エージェントを上手く活用しながら自分の状態に適した勤務先を見つけましょう。プロのコンサルタントに相談することで視野が広がり、希望に沿った転職活動が可能です。勇気を持って踏み出すことで、あなたらしく長く働ける職場を見つけることができるでしょう。
出典
厚生労働省 うつ病とは厚生労働省 うつ病
厚生労働省 令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
日本医師会 勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書
厚生労働省 医師の働き方改革概要
日本医師会 医師が元気に働くための7カ条
エムスリーキャリアエージェント
エムスリーキャリア株式会社 会社概要
民間医局
民間医局 民間医局を運営するメディカル・プリンシプル社について
株式会社リクルートメディカルキャリア リクルートドクターズキャリア
株式会社リクルートメディカルキャリア 会社情報
医師転職ドットコム
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マイナビDOCTOR
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部