執筆者: 生駒大展
期間工に興味があるけれど、「どんな仕事かよくわからない」、「そもそも期間工って何?」などの疑問を持っている人も多いでしょう。そこで、期間工の仕事内容や他の契約形態との違い、メリット、デメリットなどを解説します。
これで期間工の基本的な概要はわかるでしょうから、やってみようという人も出てくるかもしれません。しかし、実際に始める場合は、メリットとデメリットをよく比較してからにしましょう。
期間工とは
期間工とは、働く期間が決まった契約社員のことです。つまり、いつまでの期間でこのような仕事をするという契約を結んだ社員のことを言います。
仕事内容や主な勤務先
期間工の主な仕事は、自動車製造メーカーや部品メーカーでの作業です。
●プレス工程
●溶接工程
●塗装工程
●車体組み立て工程
●加工
●部品の組み立て
●検品と検査
●梱包
●運搬
このほかにも航空機、機械工作、電子部品の生産メーカーで作業をする人もいます。どの作業をすることになるのかは企業側が決めますが、最初に研修があるので、初心者でも不安になる必要はありません。そのため、フリーター、未経験者、初心者でもやりやすい仕事になっています。
期間工の主な勤務先は、自動車製造メーカーではトヨタ、日産、ホンダ、スバルなどがあります。部品メーカーではトヨタ紡織やアイシン・エィ・ダブリュなどが有名です。
派遣社員との違い
期間工とよく比較されるのが派遣社員ですが、両者には大きな違いがあります。まず雇用主が違います。派遣社員の場合は派遣会社が雇用主ですが、期間工を雇っているのは企業です。そのため、給料の支給方法も変わります。派遣社員の場合は、企業から派遣会社を通して給料が支給されますが、期間工の場合は企業からの直接支給です。
次に、立場がそれぞれ違います。期間工は会社の社員になりますが、派遣社員は派遣会社、つまり他社の社員です。ということは、立場上は期間工のほうがうえです。そのせいか、期間工のほうが正社員になりやすいと言われています。派遣社員の場合、まず期間工になってから正社員になるというケースもあるようです。
メリット
期間工にはいろいろなメリットもあり、結構お得な契約形態になっています。そのメリットを一つ一つ見ていきましょう。
もらえるお金が多い
期間工の最大のメリットと言えるのが給料がいいことです。期間満了で1000万円以上稼ぐ人も多いです。日給でも1万円以上、月給に換算すると25~30万円くらいもらえます。
このほかに、10~40万円の入社祝い金、35ヶ月働いて支払われる150~200万円程度の満了慰労金や皆勤手当、そのほかに経験者手当、生活準備金などがつくことがよくあります。
寮や食費など会社負担分が大きい
給料がいい期間工ですが、そのほかにもお得なことがあります。まず寮が完備していて、しかもその家賃が無料ということが多いです。仮に有料でも格安料金となっています。そのため、余計な負担が減って、貯金も増えやすくなるでしょう。
また、その寮も個室ワンルームで、家賃だけでなく、たいていの場合水道代や光熱費も無料で、テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、寝具などもついています。生活という点では、困ることはないでしょう。
食費も会社が負担してくれる場合があります。1日1食分無料や月額食費支給など、かなり充実した手当となっています。社員食堂があるところもあり、食費が出るだけでなく、おいしい食べ物も食べられます。
満了後はすぐに失業保険がもらえる
期間工が期間満了で退職する場合は、自己都合退職ではなく会社都合退職となります。このケースでは、失業保険受給の待機期間が7日しかありませんから、すぐに給付が受けられます。
したがって、特に理由がない限り、契約期間の満了を待って退職するのがいいでしょう。ただし、契約期間の満了と言っても、会社が更新を希望し、自分で断った場合は自己都合退職に該当します。
大手メーカーで働くことができる
期間工は大手メーカーで働くことができます。そのメリットは充実した福利厚生を受けられることです。また、仮に中小企業で期間工として働くことになったとしても、大手企業に負けないように待遇をよくしようとしていますから、かなり恵まれた労働環境で仕事ができます。
デメリット
期間工として働くことにはメリットが多いのですが、メリットだけというわけにはいきません。当然デメリットもあるので、それを見てみましょう。
体力が必要
期間工の仕事は体力勝負です。単調なライン作業を何時間もやらなければならないですし、その過程では重いものを持ったり、無理な姿勢で作業をしたりなど結構きついです。溶接などをする場合は、相当な高温に耐えなければいけません。そうかと思えば、窓を開けっぱなしで行う作業もあり、冬場は大変です。
このように期間工の仕事は楽ではないので、1ヶ月以内に辞めてしまう人がいます。したがって、期間工になろうという人は、体力に自信がある人でないと無理かもしれません。
生活が不規則になりがち
期間工の勤務は三交代制となっていることが多く、夜勤も結構あります。これは工場を24時間稼働させるためにそうなっているのですが、この勤務体制だとどうしても生活が不規則になりがちです。サラリーマンのように昼間働いて、夜帰宅するというほうが生活のリズムも作りやすいですが、期間工の場合はそのような自由が利きにくいです。
雇用期間の上限が決まっている
期間工として働き始めたら、できるだけ長く同じ企業で働きたいと思うこともあるでしょうが、更新期間を延長しても最大3年間という制限があります。それ以上働きたい場合は、正社員にならなければいけないことになっています。
もし期間工として3年以上同じ企業で働きたい場合は、3年未満でいったん雇用契約を終わらせ、半年ブランクをあけてから再雇用ということになります。この半年のブランクは失業保険や貯金で生活していくことになるでしょうが、かなり不自由になるでしょう。この辺は期間工の大きなデメリットです。
メリットデメリット知ったうえで合う企業を探そう
期間工とはどういう仕事で、どのような仕事内容なのかを解説しました。期間工に興味がある人もいるでしょうが、期間工にはメリットもあればデメリットもあります。
メリットを見るとかなり魅力的な仕事のようにも思えるでしょうが、いいことばかりではありません。期間工ならではの大変な面もあるので、実際に期間工になることを考えている人は、メリットとデメリットの両方をてんびんにかけたうえで結論を出してください。
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