執筆者: 生駒大展
期間工は3~6ヶ月程度の契約更新となっている場合が多く、契約が更新されずに仕事ができなくなった場合はどうすればいいのか心配ではありませんか?期間工は給料が比較的いいですが、それでも仕事がない期間が続けば、生活が苦しくなるでしょう。
そんな時に頼りたいのが失業保険です。しかし、期間工が失業保険に加入して、給付を受けるための条件がわからない人も多いでしょうから、詳しく解説しましょう。
期間工が失業保険をもらう条件
期間工が失業保険を受給する上での条件はいくつかあります。同じ期間工でも失業保険を受給できる場合とできない場合があるので、条件をよくチェックしておきましょう。
過去2年以内に12ヶ月以上失業保険に加入していること
失業保険を受給するためには失業保険に加入していないといけませんが、加入期間に関する取り決めがあります。その取り決めとは、退職した日から過去2年間に12ヶ月以上失業保険に加入していることです。
12ヶ月以上失業保険に加入しているということは、つまり12ヶ月以上働いていたということです。そして、その期間に本人と会社と半分ずつ失業保険料を支払っていれば、この要件を満たします。
ただし、例外もあります。それは、6ヶ月で期間工としての契約が終わり、次の仕事が見つからない場合です。この場合は失業保険の一般受給資格者にはなれませんが、特定理由離職者としての給付が受けられる可能性があります。
特定理由離職者になるための条件はいろいろありますが、基本的なポイントは以下の2点です。
●期間が定められた雇用契約が終了し、更新がない場合
●本人が契約の更新を望み、働く能力がある場合
したがって、契約期間の終了とともに、本人が契約の更新を望まず、そのまま退職した場合は、特定理由離職者には該当しません。
1ヶ月の間に働いた日数が11日以上
失業保険の給付を受ける場合、加入月を見るのですが、その加入月については最低の労働日数が決められています。1ヶ月につき働いた日数が11日以上ないと対象になりません。それ以下では、失業保険の加入月にカウントされません。とはいえ、期間工の場合、月に20日以上働くのが普通なので、この条件はそれほど気にする必要がないでしょう。
失業しても働く意思があること
失業保険を受給するためには、失業していてもいつでも働く意思があることを示しておく必要があります。では、働く意思とはどういうことを言うのか整理しておきましょう。
●就職したいという前向きな気持ちがある
●いつでも就職できる家庭環境や健康状態である。
●真剣に求職活動を行っているが、まだ職が見つかっていない
この3つは最低条件で、一つでも欠けていると失業保険の給付は受けられません。
つまり、失業保険とは、退職して無条件でもらえるというものではなく、再就職活動中の応援資金として支給されるものです。そのため、ハローワークでの求職登録と毎月1回のハローワークへの求職活動状況の報告が必要になってきます。
期間工が失業保険を受け取るまでの流れ
期間工が失業保険を受給できる条件を見たところで、今度はその流れを確認しておきましょう。失業保険をスムーズに受け取るためには、全体の流れを知っておく必要があります。
退職の際に人事と面談する
期間工が退職する場合、人事と面談できる場合もあります。絶対に面談をしなければいけないというわけではありませんが、しておいたほうが手続きが進めやすくなります。その面談の際には次のようなポイントを押さえておきましょう。
●会社都合での退職になるか?
●離職票発行までに流れについて
期間工が企業から退職する場合は、普通会社都合による退職になります。しかし、念のため人事に確認しておくといいでしょう。会社都合の退職と自己都合による退職では、失業保険の受給時期が変わってくる(後述)ので、これは重要な確認ポイントです。
それから、離職票発行までの流れも確認しておきましょう。すでに期間工として退職の経験がある人はわかっているでしょうが、企業ごとに多少流れが違うかもしれないので、一応人事に聞いておきましょう。
離職票を会社からもらう
離職票のもらい方ですが、次の3種類あります。
●退職日に会社で受け取る
●自宅まで郵送してもらう
●後日会社に取りに行く
どの方法を利用すべきか会社から指定される場合もあるし、自分で選択できる場合もあります。
ハローワークに行って手続き
離職票を会社から受け取ったら、ハローワークへ行きます。必要な書類を並べてみましょう。
● 雇用保険被保険者離職票(1)
● 雇用保険被保険者離職票(2)
● 雇用保険被保険者証
これらの書類は会社から受け取って、ハローワークに提出します。これらの書類以外に、自分で印鑑、写真、預金通帳、マイナンバーカードなども用意しておきましょう。すべてそろえば、ハローワークでの失業保険給付手続きを進められます。
期間工の失業保険の押さえておきたいポイント
期間工の失業保険受給では、いくつか押さえておきたいポイントがあります。そのポイントをしっかり覚えておかないと、損をする場合もありますので、しっかり確認しましょう。
期間工にどのくらい失業保険が支給されるか?
失業保険の給付額の計算方法を載せておきましょう。基本手当日額×給付期間が給付額となります。基本手当日額とは、失業保険1日分の金額です。では、基本手当日額をどう求めるのかというと、まず退職前6ヶ月間の給料総額÷180日で賃金日額を算出します。その賃金日額×給付率が基本手当日額となります。
つまり、失業保険の給付額の計算方法では、賃金日額(前職1日分の給料)と給付率が大きなポイントになります。給付率については50~80%くらいになっていますが、期間工の給料の場合は60%程度です。
したがって、期間工として30万円くらいの月給をもらっていた人の失業保険の月の受給額は18万円ほどです。なお、給付期間は、年齢、失業保険加入期間、退職理由などによって変わります。
期間工が待機期間なしで失業保険の給付を受けるために
期間工が会社を会社都合で退職したか、自己都合で退職したかによって、失業保険給付の待機期間が変わります。まず会社都合で退職した場合、待機期間は1週間だけですから、ないのも同然です。すぐに失業保険を受け取ることができます。
一方、契約期間途中で自己都合で退職した場合は、待機期間が3ヶ月と1週間になります。この差を見ればわかるように、会社都合で退職したほうが断然お得です。
ただし、会社都合という場合、会社が契約更新を望まず、本人は契約更新を希望しているという条件が付きます。
待機期間が生じた場合は早く就職活動を
期間工が自己都合退職で会社を辞めた場合は、失業保険給付まで4ヶ月ほどかかります。その後失業保険を受け取るようになってから、改めて就職活動をすると、かなりのブランクが生じます。そうなると、就職活動において不利になるケースもあるでしょう。
また、待機期間中はお金が入ってきませんから、生活も苦しくなります。その場合は、待機期間を待って失業保険を受給するよりも、早く就職活動を始めたほうがいいでしょう。
失業保険のルールを知って、期間工も給付を受けよう
期間工は比較的給料もいいですが、期間が限定されての雇用契約なので、失業の恐れが常について回ります。もし企業と雇用契約の更新ができないと、それ以降は仕事がなくなり、給料も入ってきません。
そこで利用したいのが失業保険ですが、失業保険の給付を受けるにはいくつかの条件があります。その条件をよく確かめ、また給付までの流れを覚えておき、期間工も失業保険を受け取れるようにしておきましょう。いざとなった時の備えができていれば、企業との間で雇用契約の更新がされななかった場合も安心です。
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