「余命半年と言われたら半年以内に死亡する」と考えてはいけない

配信日: 2019.04.02 更新日: 2024.10.10

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「余命半年と言われたら半年以内に死亡する」と考えてはいけない
治療が困難な病気にかかって余命宣告をされたようなときは、健康保険が使えない自由診療を試したいと考えることがあります。
 
自由診療は高額なものが珍しくないため、医療保険やがん保険に加入していても、治療を受けるために必要な金額が受け取れないこともあるでしょう。
 
そのようなときでも、死亡保険に加入していれば治療費として使えるお金をひねり出すことが可能です。
 
この記事では、死亡保険から治療費として使えるお金を受け取る方法について解説します。
 
横山琢哉

執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター

保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。

死亡保険金を生前に受け取って治療費にあてる

治療が困難な病気にかかって回復の見込みがないという場合、医師が患者に対して余命宣告をすることがあります。
 
余命宣告をされたときは、患者本人はまだ生きていたい、家族はまだ生きていてほしいと考えて、何か方法はないかと必死に探すものです。そのようなとき、効果があるかどうかわからなくても自由診療に賭けてみようと考える人は珍しくないようです。
 
ただ、自由診療は健康保険が使えないため高額であることが多く、費用が出せないという理由で断念することもあるでしょう。
 
そのようなときでも、患者本人が死亡保険(終身保険、定期保険、収入保障保険)に加入しており、その保険に「リビング・ニーズ特約」が付加されていれば、余命6ヶ月以内と宣告された場合、生前に死亡保険金を受け取ることができます。そして、そのお金を治療費にあてることが可能になります。
 
本来、死亡保険の保険金は遺族の生活費を想定しているものですが、そのお金を使って治療が受けられるなら試そうと考える人も決して少なくないはずです。保険金は使いみちが決められているわけではありませんので、実際は患者本人や家族の意思で決めることができます。
 

リビング・ニーズ特約とは?

リビング・ニーズ特約とは、プルデンシャル生命が1992年に日本で初めて導入した特約です。
 
リビング・ニーズ特約は、死亡保険の被保険者(保障の対象となっている人)が余命6ヶ月以内と診断されたとき、生前に死亡保険金の前払いを受けられるものです。保険料は無料なので、死亡保険に加入している場合、通常は付加されているはずです。
 
生前に受け取ることができるのは死亡保険金のうち最大3000万円で、ここから6ヶ月分の利息と保険料相当額を差し引いた金額になります。なお、この保険金に所得税はかかりませんが、使い切らずに残ったお金は相続税の課税対象となります。
 

「余命半年と言われたら半年以内に死亡する」と考えてはいけない

リビング・ニーズ特約を活用する前に、まず余命宣告というものの性質を正しく理解することが必要です。
 
余命宣告についての知識がないと、仮に医師から「余命半年」と言われたら、半年以内、もってせいぜい7~8ヶ月程度と思い込んでしまうのではないでしょうか。
 
しかし、余命宣告の仕方については明確なルールがないため、「余命半年」のようにはっきりとした言い方をする医師もいれば、「余命2~3年」のように幅をもたせて伝える医師もいるようです。
 
また、生存期間の中央値(100人の患者がいる場合、そのうち生存期間が50番目の人の余命)として伝えられることもあるので、余命半年と言われても、それより長く生きることは十分あり得ます。そのため、まずは希望を捨てないようにすることが大事です。
 
ただ、余命宣告がそのような曖昧なものだと、保険金が実際に支払われるのかどうか疑問に感じるかもしれません。
 
しかし、プルデンシャル生命ではこの特約の導入から2012年9月末までの20年間で783件、総額91億円の支払い実績があります。そのため、支払うべきときはきちんと支払っていると信じるしかないでしょう。
 

リビング・ニーズ特約がない商品もある

保険の契約を行うとき、保険の募集人は加入者に対して伝えなければならない大事なことがたくさんあります。
 
リビング・ニーズ特約はやや存在感が薄いので、説明を受けていても忘れていることがあるでしょう。
 
それでも付加されているなら問題ありませんが、死亡保険の中にはリビング・ニーズ特約そのものが用意されていない商品もあります。
 
リビング・ニーズ特約がないからと言って、商品そのものを他社に乗り換えるほど重要な問題かといえばそうでもありませんが、もし気になるなら保険証券を確認してください。
 
なお、自由診療はエビデンス(科学的データ)が十分でないので、いくら保険金を受け取ることができても、利用するかどうかは慎重に決めることをおすすめします。
 
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
 


 

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