更新日: 2024.02.06 働き方

2025年に「扶養」が廃止!? 年収の壁が「70万円」まで下がったとき、どう働くのがベストなのか解説

執筆者 : 佐々木咲

2025年に「扶養」が廃止!? 年収の壁が「70万円」まで下がったとき、どう働くのがベストなのか解説
2025年は、いよいよ「2025年問題」の年です。2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護などの社会保障費の増大が懸念される問題のことです。そして5年に1度訪れる「年金改革」の年でもあります。政府が、この年金改革によって社会保険の扶養の対象を縮小しようとしているとの噂もあります。2025年になったら扶養内で働くことはできなくなるのでしょうか? 本記事で解説します。
佐々木咲

執筆者:佐々木咲(ささき さき)

2級FP技能士

年収の壁を2025年に抜本改革

会社員に扶養される配偶者は第3号被保険者に該当し、年金保険料の負担なく年金を受け取れる仕組みとなっています。1985年改正で導入された第3号被保険者制度は現代まで残ってきましたが、女性の社会進出、少子高齢化が進んだ現代においては見直さなければならない問題となってきています。
 
2025年問題を目の前にして社会保険料収入の確保が急務となっていることから、社会保険の扶養に関して何らかのメスが入ることが予想されています。
 

既に社会保険の適用範囲拡大は進んでいる

社会保険の適用範囲拡大は既に進んでいます。2022年10月には従業員数101人以上の会社で働く短時間労働者(パートやアルバイトなど)に対して、社会保険への加入義務が発生する年収の壁が106万円となりました。2024年10月には従業員数が51人以上の会社に適用されることが決定しており、社会保険に入らなければならない人がさらに増える見込みとなっています。この流れで、働く人は全て社会保険加入という時代が訪れるかもしれません。
 

「年収の壁・支援強化パッケージ」は2年限定

さらに2023年10月からは、年収の壁を超えて働いてもらう対策として、「年収の壁・支援強化パッケージ」がスタートしています。「年収106万円の壁」を超えて働いた従業員に対して、会社が手取り収入を減らさないような取り組みを行った場合、会社に対して労働者1人当たり最大50万円の助成金が支給されます。
 
国民年金保険、国民健康保険または社会保険に加入する必要がある年収130万円の壁に対しては、一時的な収入増で壁を超えてしまった場合、事業主が証明することで扶養のままでいられます。いずれも2年間限定の制度となっていることから、2025年の年金改革を見越しての政策とみられています。
 

年収の壁はいくらになるのか

2024年1月時点において社会保険の「年収の壁」は106万円と130万円ですが、2025年にはこれが下げられる可能性があるといわれています。いくらになるのかは現時点においては分かりませんが、社会保険料の標準報酬月額の最低額が5万8000円であることから、70万円ほどではないかと予想する向きも多いです。
 
2025年以降も扶養でい続けようと思う場合、月6万円弱しか稼げないことになります。年収130万円の壁で働いている人は収入が半減してしまいますね。
 
ただし、2025年にいきなり扶養廃止は考えにくいです。いずれ廃止されるにしても、年数をかけて段階的に行われると予想されます。
 

70万円超働くなら84万円稼いでトントン

もし年収の壁が70万円になる場合、年収70万円にかかる社会保険料は約14万円(東京都在住、介護保険第2号被保険者に該当する場合)です。年収70万円を超えるのであれば、年収84万円以上稼がなければ手取りを増やすことができません。
 

まとめ

2025年には社会保険の扶養制度が何らかの形で改正される可能性が高いと考えられます。年収の壁が下がるかもしれません。もし年収の壁が70万円になった場合、「年収を下げて扶養を維持する」、または「年収の壁を突破して社会保険料を負担する」の選択を迫られる状況になる人は多いでしょう。自分はどうするのか、今から考えておいた方がよさそうです。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 厚生労働省から法律改正のお知らせ
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

ライターさん募集