高卒で「一般事務」として5年間働いていても、月収はほとんど変わりません…。貯金もできないので転職を考えるべきでしょうか?
配信日: 2024.10.24
本記事では、昇給のない企業の割合とともに、社会人1年目から給料が上がらず貯金ができないときの対処法についてもご紹介します。
また、「そもそも昇給なしというのは違法ではないのか?」ということについても触れていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも「昇給なし」は違法ではない?
昇給は社員の労働意欲の維持や能力向上などを目的として行われるものであると考えられます。しかし「昇給を必ず行う」という法律上の規定はないため、昇給がないこと自体に違法性はないといえるでしょう。
ただし、労働基準法第八十九条では「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」とされており、昇給に関する事項もその中に含まれています。
つまり、就業規則に昇給を行う旨の記載がありながら、実際には昇給がない場合は、労働基準法違反となります。しかし、昇給がある旨が記載されていても「会社の業績によっては昇給を行わない」というただし書きがされている場合は、昇給がなくても問題はありません。
昇給のない企業の割合は?
厚生労働省の「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」によると、一般職のうち昇給制度がある企業の割合は83.4%、昇給制度がない企業の割合は15.4%ということです。
令和4年の調査では昇給なしの企業が18.9%だったため、3.5%も減少していることが分かります。昇給制度のない企業の割合を企業規模別にみると、表1の通りです。
表1
企業規模 | 割合 |
---|---|
5000人以上 | 10.9% |
1000~4999人 | 14.6% |
300~999人 | 9.2% |
100~299人 | 17.5% |
※厚生労働省「令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況を基に筆者作成
昇給なしが最も多いのは100~299人規模の企業で、全体の2割近くを占めているようです。5000人以上の規模でも、昇給のない企業が1割程度はあることが分かります。
昇給がなく貯金ができないときの対処法
昇給のない企業も一定数はあるようですが、今回の事例のように「社会人1年目の18歳のときと給料が変わっていなく、貯金もできない」ということであれば、転職を考えることも必要かもしれません。
昇給のある企業に勤めることで賞与や退職金なども増加することが期待できるため、将来への不安が軽減される可能性があります。ただし、昇給制度があっても基本給が低かったり手当が少なかったりする企業もあるため、十分注意が必要です。
また、転職せずに今の給料のまま、節約しながら貯金を増やしていく方法もあります。給料が少なくても、毎月の収支をしっかりと把握して余分な支出を減らすとともに、貯金用の口座を作ったり、節税しながら投資できる制度を利用したりすることも検討するとよいでしょう。
昇給ありの企業への転職を検討するか、転職せず節約して貯金する方法を考えるとよい
企業における昇給制度については法律上の決まりがないため、昇給なしの企業があっても違法というわけではないようです。ただし、就業規則に「昇給あり」の記載をしている場合は違法になる可能性があるので、確認しておくとよいでしょう。
厚生労働省の調査によると、一般職のうち昇給制度のない企業の割合は15.4%ということですが「給料が増えなくて貯金ができない」という悩みがあるようなら、昇給のある企業に転職するか、転職せずに節約して貯金する方法を考えるのをおすすめします。
出典
デジタル庁e-Gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九章 就業規則 (作成及び届出の義務)第八十九条
厚生労働省 令和5年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 第3表 企業規模・産業、管理職・一般職、定期昇給制度の有無、定期昇給の実施状況別企業割合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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