夫が「複数」の金融機関から借り入れしていることが発覚！ どの順番で、どのように返済すればいいですか？
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、５年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい～というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
まずは現状を把握することから
「今年はフランス旅行がしたい！ 」と計画したAさん。費用をどう捻出するかを夫と相談したところ、2人とも貯金がないことが分かりました。その後算段していると、夫が複数の金融機関から借り入れしていることも発覚。寝耳に水の状況に驚き、Aさんから今後の進め方について相談を受けました。
まずは現状把握です。夫の手取りは毎月63万円で､そのうち13万円は借金の返済に充てています。現在の残債が860万円。借入先が複数なので整理することから始めます。どこからいくらの借り入れをしているのか。
毎月の返済金額はいくらで、完済時期はいつなのか。借入金利はどうなっているのか。借入先は4ヶ所でそれぞれの借入金利は図表１のとおりです。
（図表１）
「どの順番に返済するのか」のセオリーは金利の高い順です。図表を見て信販会社Bの返済を最優先したくなりますが、他の借り入れを延滞するようなことになっては元も子もありません。基本は決められた返済金額を、淡々と毎月返し続けることです。
そのうえで、金利の高い借入先から繰上げ返済を行うことを視野に入れます。図表2は、500万円を10年間で返済する事例です。借入利率は10％で試算しています。1年後に50万円を繰上げ返済した時の効果を確認します。
繰上げ前元金残高：469万3289 円
毎月返済額：6万6075 円
残り返済期間：9年
繰上げ後元金残高：416万6324 円
（図表２）
金融広報中央委員会「知るぽると」のサイトでシミュレーションできますので、参考にしてください。減少する利息額を見ると、繰上げ返済しようという気持ちになります。
繰上げ返済以外に、Aさんは別の作戦もたてています。返済が進むと、銀行の融資限度額と残債の差額が生じます。その空き部分を信販会社Bからの借り換えに利用する手法です。返済の効率アップだけでなく、借入先を減らすことで家計管理しやすくなることもメリットです。
家計のスリム化はどこから？
繰上げ返済をするためにも、家計のスリム化は必須です。Aさんはすでに2人のスマホを格安スマホに変更し、家計簿をつけて支出の洗い出しを進めています。家賃が高い割には収納スペースが少ないので、トランクルームを借りています。毎月7000円の支出で年間では8万4000円になるので、見直しの余地は大きいです。
預けているものは、ほとんどが洋服とのこと。それならクリーニング店の季節保管に移行することを提案しました。洋服の管理も行き届くうえに、季節ごとの入れ替えもスムーズに行えます。
サブスクは、一度加入すると見直しが進みにくいものです。夫婦で別々の有料チャンネルを利用しているので、1本に絞ることになりました。当たり前に利用しているものでも、ルールを変えることで節約できることはあります。我慢を伴わないので続けやすいという特徴があります。
一方、我慢を伴う節約は、ハードルが高いといえます。なるべく早く完済したいと焦るAさんは、夫のお金の使い方にメスを入れます。商社に勤める夫は、英会話のレッスンや洋服代などは自己投資の一環で削れない費用と主張します。
Aさん自身も楽しみにしている外食の費用は確保したいと譲りません。これまでのプチぜいたくが染みついた生活習慣を改善するには、まだまだお互いの譲歩が必要なようです。パワーカップルにありがちな落とし穴ですが、生活と収支のバランスとが整っているかお互いにチェックすることが重要です。
執筆者：宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
