親の介護で「休職」…。収入ゼロを回避するための「介護休業給付金」でいくらもらえる？ 「申請方法」は？

「家族の介護のために仕事を休みたいが、収入がなくなるのは困る」という悩みを持つ人もいるでしょう。働いている人が介護に直面したときに利用できる制度として、介護休業制度があります。
 
本記事では、介護休業制度の概要や介護休業給付金を受け取れる人の条件、金額についてご紹介します。

介護休業制度とは？

介護休業制度とは、育児・介護休業法によって定められた仕事と介護の両立を支援するために利用できる制度です。介護が必要な家族一人につき通算93日まで取得でき、3回まで分割して取得することも可能です。
 
介護休業を取得できるのは、日雇いの労働者を除くすべての労働者ですが、厚生労働省によると労使協定を結んでいる場合は以下の労働者は対象外となります。
 

・「入社１年未満の労働者」
・「申出の日から93日以内に雇用期間が終了する労働者」
・「１週間の所定労働日数が２日以下の労働者」

 
また、パートやアルバイトなどの有期雇用労働者は一定の要件を満たす必要があるため、確認が必要です。
 
介護休業の対象となる「介護が必要な家族」は以下の通りです。
 

・配偶者や父母
・子
・配偶者の父母
・祖父母
・兄弟姉妹
・孫

 
今回のケースは親の介護とのことなので、制度の対象となるでしょう。
 

介護休業給付金を受け取れる人の条件

雇用保険の加入者で介護休業を取得した労働者は、介護休業給付金を受け取れる可能性があります。
 
介護休業給付金の対象となるのは、2週間以上にわたり常時介護を必要とする家族を介護するための休業です。さらに、被保険者が事業主に介護休業の申し出をおこなって取得した休業について、介護休業給付金が支給されます。
 
また、支給要件は以下の通りです。
 

・支給単位期間の初日から末日まで継続して被保険者資格を有していること
・支給単位期間に、就業していると認められる日数が10日以下であること
・支給単位期間に支給された賃金額が、休業開始時の賃金月額の80％未満であること

 
「支給単位期間」とは、介護休業の開始日から1ヶ月ごとに区切った場合の各期間のことをいいます。
 

介護休業給付金はいくらもらえる？

介護休業給付金の額は、休業中に会社から賃金を支払われているかどうかによって異なります。
 
まず、賃金を支払われている場合は、支払われた金額によって以下のように計算されます。
 

・休業開始時賃金月額の13％以下の場合：休業開始時賃金日額×支給日数×67％
・休業開始時賃金月額の13％超～80％未満の場合：休業開始時賃金日額×支給日数の80％相当額と賃金の差額
・休業開始時賃金月額の80％以上の場合：支給なし

 
賃金を支払われていない場合は、以下の計算になります。
 

・支給単位期間が1ヶ月ある場合：休業開始時賃金日額×支給日数（30日）×67％
・最後の支給単位期間の場合：休業開始時賃金日額×支給日数（暦の日数）×67％

 

介護休業給付金の申請方法

介護休業給付金の受給を希望する場合は、休業開始予定日の2週間前までに事業主に書面を提出するなどして申し出る必要があります。
 
書面については、社内様式がある場合はそれを使用し、規定の様式がない場合は厚生労働省の様式例を使用するとよいでしょう。
 

介護休業給付金をいくらもらえるかは休業中に賃金をもらっているかどうかによる

親の介護を理由に休職を希望する場合は、介護休業制度により給付金を受け取れる可能性があります。支給される額は、休業中に会社から賃金が支払われているかなどによって変わるため、詳しく確認しておくとよいでしょう。
 
給付金をもらうためには事前の申請が必要になるため、社内様式があるかどうかも調べておくと、スムーズに進められるかもしれません。
 

出典

厚生労働省　「介護休業」を活用し、仕事と介護を両立できる体制を整えましょう。
厚生労働省　雇用保険事務手続きの手引き 第11章　介護休業給付について
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー