「給料だけでなく、働きやすさも大事」と若手社員に言われました。人を採れている会社は、給与以外にどんな工夫をしているのでしょうか?
もちろん給与は、仕事を選ぶうえで重要な条件の一つです。しかし、中小企業の採用状況を調べてみると、人材を採用できた企業では、給与以外にも「労働時間や休暇制度の柔軟さ」「社風の良さ」などが採用につながったと考えていることが分かりました。
本記事では、中小企業を対象とした調査結果をもとに、人材を採用できている企業がどのような工夫をしているのかを紹介します。
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人材を採用できた企業は30%、採用できなかった企業は17%
まず、中小企業の採用がどのような状況にあるのか見てみましょう。
大同生命保険株式会社の「大同生命サーベイ(2025年8月度調査)」で、新たな人材の採用について尋ねたところ、「採用でき、充実している」と回答した企業は14%、「採用できたが、まだ不足している」は16%でした。
両者を合わせると、人材を「採用できた」企業は30%です。
一方、「採用できなかった」は17%で、「採用活動をしていない」は53%でした。採用活動そのものを行っていない企業が半数を占めており、人材を十分に確保できている企業も14%にとどまります。
また、同調査の従業員過不足DIは▲38.1ポイントで、前月から1.1ポイント悪化しています。特に建設業では▲56.5ポイントとなるなど、人手不足感が強い状況です。
こうした環境では、給与だけで他社との差をつけようとするのではなく、「どのような会社なら働きたいと思ってもらえるのか」という視点も重要になるでしょう。
採用できた理由の1位は「労働時間や休暇制度の柔軟さ」35%
では、実際に人材を採用できた企業は、どのような点が採用につながったと考えているのでしょうか。
同調査で、人材を採用できた企業にその要因を尋ねたところ、最も多かったのは「労働時間や休暇制度の柔軟さ」の35%でした。
続いて、「従業員の人柄・社風が良い」が28%、「給与水準を引き上げた」が23%となっています。そのほか、「仕事にやりがいがある」と「福利厚生が充実している」がそれぞれ18%でした。
つまり、採用できた要因としては「給与水準を引き上げた」よりも、「労働時間や休暇制度の柔軟さ」や「従業員の人柄・社風が良い」のほうが多く挙げられています。
もちろん、この結果だけで「給与より働きやすさのほうが重要」と一概に判断することはできません。給与水準や働き方に求める条件は、求職者の年齢や職種、地域などによっても異なるでしょう。
それでも、人材獲得のためにできることは賃上げだけではない、と考える材料にはなりそうです。
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「休みやすさ」「働き方」を見直すことも採用対策になる
給与を大幅に引き上げる場合、人件費の増加が継続的に経営へ影響します。そのため、賃上げだけでなく、給与以外の面から採用力を高める方法を検討することも大切でしょう。
そこで検討したいのが、現在の労働時間や休暇制度の見直しです。
例えば、有給休暇を取得しやすい環境をつくる、勤務時間について相談できる仕組みを設けるなど、自社で対応できることがないか確認してみる方法があります。
制度を用意するだけでなく、実際に利用しやすい雰囲気をつくることも大切です。「制度上は休めるものの、周囲に気を使って休みにくい」という状態では、求職者や従業員が働きやすさを実感しにくい可能性があります。
また、採用できた要因の2位に「従業員の人柄・社風が良い」が入っている点も注目したいところです。
給与や年間休日数のように数字で示せる条件だけでなく、「どのような人と働くのか」「相談しやすい職場なのか」といった部分も、自社の採用上の強みになる可能性があります。
採用できている企業では、さまざまな採用方法が活用されている
働く環境を整えても、その魅力が求職者に届かなければ採用にはつながりません。
2025年8月度調査では、採用活動で利用している方法についても、採用できた企業と採用できなかった企業を比較しています。
採用できた企業では「ハローワーク」が61%、「求人サイト」が44%、「自社のホームページ」が31%、「人材紹介サービス」が25%、「リファラル採用」が18%、「SNS」が8%でした。
一方、採用できなかった企業では「ハローワーク」が72%と高かったものの、「求人サイト」は28%、「自社のホームページ」は24%、「人材紹介サービス」は13%など、ほかの採用手段を利用する割合が全体的に低い結果となっています。
この結果から特定の採用方法を使えば人材を確保できると断定することはできませんが、採用できた企業では、求人サイトや自社ホームページ、人材紹介サービスなど、さまざまな採用方法の利用割合が高い傾向が見られます。
ハローワークだけで十分な応募が集まらない場合は、求人サイトや自社ホームページなども活用し、求職者との接点を増やすことが一つの方法でしょう。
「採用した後」の働きやすさや成長機会にも目を向ける
人材不足への対応では、新しい人を採用するだけでなく、入社した人に長く働いてもらうことも重要です。
2025年8月度調査によると、採用できた企業が実施している人材育成の取り組みでは、「従業員のリスキリング」が46%、「社内研修の開催」が34%、「社外研修の受講勧奨」が30%でした。
一方、採用できなかった企業では「いずれも取り組んでいない」が37%で最も多くなっています。
また、今後の人材戦略で最も重視したいこととして、「優秀な人材の確保」が31%で最多となった一方、「社員のスキルアップ・育成」が20%、「社員の定着率向上」が16%と続きました。
採用条件を改善して人を集めるだけでなく、入社後の人材育成や社員の定着にも目を向け、人材戦略を考えていくことが重要でしょう。
まとめ
2025年8月度調査では、人材を採用できた要因として「労働時間や休暇制度の柔軟さ」が35%で最も多く、「従業員の人柄・社風が良い」の28%が続きました。「給与水準を引き上げた」は23%だったことから、給与以外の働きやすさも採用につながる要因の一つになっていることがうかがえます。
人材を確保するために、必ずしも大幅な賃上げだけを考える必要はありません。労働時間や休暇制度を見直す、自社の雰囲気や魅力を求人で伝える、採用方法を広げるなど、自社で取り組みやすいところから改善していくことも、人材確保への一歩になるでしょう。
出典
大同生命保険株式会社 大同生命サーベイ(2024年8月度調査)
大同生命保険株式会社 大同生命サーベイ(2025年8月度調査)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
