SNS「若者の食事キャンセル」に「お金あれば食べる」「ただの貧困」と批判殺到! 実際“20代前半”は「平均年収280万円」で余裕なし? 食べないでなく“食べられない実態”とは
本記事では、20代の給料や手取り、食費の平均を確かめながら、若者に食事を選ぶ余裕があるのかを考えます。
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「食事キャンセル」報道とSNSの反応
2026年9月、若者の「食事キャンセル」を扱った記事がSNSで取り上げられ、話題になりました。
記事は、入浴や自炊など、生活に欠かせないとされてきたことをあえてしない「キャンセル界隈」がZ世代を中心に広がり、食事を抜く人まで現れたと伝えています。後半では、貧困が原因だという指摘がSNSで相次いでいることにも触れています。
SNSでの反応は、厳しいものが目立ちました。記事に反応した投稿の1つは「キャンセルしてるんじゃなくて金がないんだわ」と書き込み、自分の意思で食事を抜いているかのような書き方をやめ、若者の貧困に目を向けるよう求めています。
ほかにも「金があればおいしいもの食べに行くしおいしいもの買うよ」「食事キャンセルって、軽い言葉に置き換えないで、シンプルに若者の貧困と言いなよ」など、お金がないことが原因だという声が相次ぎました。
つまり争点は、若者が「食べない」のか、「食べられない」のかという点です。では、実際の懐事情はどうなのでしょうか。
20代の給料と手取りはどれくらい?
国税庁「令和7年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は、20~24歳で280万円、25~29歳で425万円です。全体の平均給与は487万円なので、20代前半は200万円ほど低い水準にあります。
新卒に絞ると、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」では、大学卒の初任給は26万2300円でした。ここから社会保険料や税金が引かれるため、手元に残る金額は額面より少なくなります。
総務省の「家計調査」の勤労者世帯では、実収入に対する可処分所得(手取り)の割合は約81%です(筆者計算)。この割合を初任給に当てはめると、手取りは約21万2000円になります。
なお、住民税は前年の所得を基に課税される仕組みのため、学生時代に収入がなかった新卒の1年目は原則としてかからず、2年目の6月から給与からの天引きが始まります。同じ給料でも2年目に手取りが減るのは、このためです。
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家賃8万円で暮らすと、食費に回せるお金は?
家賃を仮に8万円とすると、手取り約21万2000円の4割近くが住居費で消えます。ここに総務省「家計調査」の単身世帯の平均額を当てはめたのが図表1です。
図表1
厚生労働省 令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況、総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要より筆者作成
家賃のほかに、単身世帯の平均並みに支出すると、手取りでは約1万9000円足りなくなります(筆者計算)。このままでは毎月赤字になるため、どこかで出費を抑える必要があります。
食費の平均額で3食まかなえる?
単身世帯の食料は月4万9321円で、1日当たりにすると約1640円、1日3食とした場合、1食当たり約550円です(筆者計算)。外食もこの額でまかなうとなると、野菜や肉、魚をそろえた食事を毎日3回続けるには工夫が要ります。
しかも、家計調査によると、2025年の単身世帯の食料支出は、物価の影響を除いた実質で前年より4.2%減りました。値上がりに合わせて支出を増やせず、量を減らして対応している傾向が見て取れます。
食事に気を配る時間はある?
時間の面でも余裕は多くありません。1日8時間働き、休憩1時間、通勤が往復2時間、睡眠8時間と仮定すると、残る時間は5時間です。
この5時間で買い物、調理、食事、片付け、入浴、洗濯までこなすことになります。そのうえで栄養バランスまで考えて献立を整えるのは、簡単ではないでしょう。
まとめ
「食事キャンセル」は、若者の価値観の変化として語られがちです。ただ、20代前半の平均給与は年280万円、新卒の手取りは月約21万円という水準で、家賃8万円を払えば食費に回せる金額は限られます。
物価高で単身世帯の食料支出が実質で減っていることも踏まえると、「食べない」のではなく、「食べられない」若者が一定数いると考えられます。若者の食事の問題は、収入と支出の実態から捉えることが大切です。
出典
国税庁 令和7年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-
厚生労働省 令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況
総務省 家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要
執筆者 : 金子賢司
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