会社から貸与されているパソコンを通勤途中に落として壊してしまいました。「修理代は給与から天引きする」と言われましたが、仕事で使う備品でも全額自己負担になるのでしょうか?
しかし、会社の備品を壊した場合でも、従業員が必ず修理代の全額を負担するとは限らず、給与からの天引きにも一定のルールがあります。では、どこまで自己負担となるのでしょうか。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
会社に損害が出ても、修理代を一方的に給与から天引きできるとは限らない
会社貸与のパソコンを落として壊した場合、従業員に過失があれば、会社から損害賠償を求められる可能性はあります。しかし、だからといって会社が修理代をそのまま給与から差し引けるとは限りません。
労働基準法24条は、賃金を原則として全額支払うことを定めています。厚生労働省も、会社が労働者に損害賠償請求権を持っている場合でも、その損害額を一方的に賃金と相殺することはできないという考え方を示しています。つまり「壊したのだから次の給料から5万円引く」と会社が一方的に処理することには問題が生じる可能性があります。
一方で、従業員の賠償責任がゼロになるとは限らない
給与天引きが認められないことと、従業員が一切負担しなくてよいことは別問題です。従業員の故意や過失によって会社に損害を与えた場合には、事情によって損害賠償責任が生じる可能性があります。
ただし、業務上のミスによる損害を常に従業員へ全額負担させることが妥当とは限りません。
厚生労働省の労働条件Q&Aでも、使用者から労働者への損害賠償請求については、損害の公平な分担という観点から、信義則上相当と認められる限度で請求できるとの考え方が紹介されています。会社の備品であること、業務の性質、会社側の管理体制、従業員の過失の程度などが考慮されます。
「修理代全額」ではなく、具体的な事情を確認
たとえば、通勤中に通常どおりパソコン用バッグに入れて運んでいたものの、駅の階段で転倒して壊した場合と、飲酒後にパソコンをむき出しで持ち歩き落とした場合とでは、過失の程度は異なります。
また、古いパソコンで修理代が高額になった場合、会社が新品価格をそのまま請求することが適切とは限りません。修理見積もりや端末の使用年数、会社の保険・動産補償の有無なども確認したいところです。就業規則に「会社備品を破損した場合は全額弁償」と書かれていても、それだけで常に全額負担が確定するとは言い切れません。
まずは給与天引きに同意する前に説明を求める
会社から天引きを告げられたら、修理見積額、負担額の算定根拠、就業規則の該当条項、保険適用の有無などを確認しましょう。給与から控除することへの同意書を求められた場合も、内容を理解せずに署名するのは避けたほうがよいでしょう。
納得できない場合は、人事・労務担当に確認するほか、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談する方法があります。
通勤中の持ち出しが会社の指示だったかも確認
会社が在宅勤務や外出先での業務を認め、パソコンの持ち帰りを指示していた場合、通勤中に機器を運搬すること自体は業務と密接に関係しています。会社が専用ケースを支給していたか、持ち運びルールを定めていたか、端末保険に加入していたかなど、会社側のリスク管理も負担割合を考える材料になります。
もちろん、従業員が明らかに乱暴な扱いをした場合などは別ですが、通常の注意を払っていて起きた偶発的な事故まで、常に従業員へ全額転嫁できるとは限りません。会社から請求を受けたら、事故状況を具体的に説明し、会社側の管理ルールも含めて確認しましょう。
まとめ
会社貸与のパソコンを壊した場合、従業員に一定の賠償責任が生じる可能性はありますが、会社が修理代を一方的に給与から天引きできるとは限りません。
また、賠償責任がある場合でも必ず全額自己負担になるとは限らず、過失の程度や会社側の管理状況などが考慮されます。請求額と給与控除の根拠を分けて確認しましょう。
出典
厚生労働省 労働基準法第24条(賃金の支払)
厚生労働省 確かめよう労働条件 Q&A
厚生労働省 不良品を出すごとに賠償金を賃金控除することは許されますか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
