更新日: 2024.10.10 その他家計
家計簿アプリの意外な使い方とは?
どうせ家計簿をつけても、必要なものは必要だし、そんなことに時間をかけたくないと思っている方も多いと思います。
そんな方でもおすすめしたいのが家計簿アプリです。実は家計簿アプリには家計簿を作成するだけでなく、意外な使い方があることをご紹介したいと思います。
執筆者:植田周司(うえだ しゅうじ)
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)
外資系IT企業を経て、FPとして「PCとFPオフィス植田」を起業。独立系のFPとして常に相談者の利益と希望を最優先に考え、ライフプランをご提案します。
お客様に「相談して良かった」と言っていただけるよう、日々努力しています。
家計簿アプリとは
家計簿アプリは正式には個人資産管理(Personal Financial Management)と呼ばれITを利用した金融サービスの1つです。家計簿アプリは、クレジットカードなどの支払い履歴や、銀行口座の入出金情報を自動的に集計して家計簿を作成します。
家計簿アプリ(PFMサービス)に事前に金融機関の口座や、クレジットカードの登録をしておくことで、図1のようにそれらの情報を一括して管理することができるようになります。
2020年は新型コロナウイルスの影響で、現金の受け渡しが不要なキャッシュレス決済を利用する人が大幅に増えました。キャッシュレスでの支払いが増えれば増えるほど、また登録している口座やカードが多いほど、家計簿アプリでお金の動きが正確に把握できるようになります。もちろん現金での支払いも、スマホでレシートを読み込んだり、手入力したりもできます。
家計簿アプリの意外な使い方
1.口座の入出金のお知らせ
家計簿なんて興味ないという方にもお勧めなのが、金融機関の入出金があると、都度お知らせがくる家計簿アプリです。これは、身に覚えのない引き出しや送金があると、すぐにわかるのでおすすめです。
2020年、ドコモ口座を悪用した不正送金事件がありました。ドコモ口座を使用していない人も被害にあっています。今後もネット犯罪を100%防ぐことはできませんが、身に覚えのない引き出しや送金を即時に把握できれば、被害の拡大を防ぐことができます。
2.多数のクレジットカードの利用額確認
皆さまはVISAやJCBなどのクレジットカードを何枚お持ちでしょうか? そのお店専用のカードなら、〇%ポイント還元とか〇%割引などの誘惑に負けて、いつの間にかカードが増えしまいます。家電量販店やショッピング、乗り物系など10枚以上のカードをお持ちの方も多いと思います。しかし、それらの中には、ほとんど使わないカードも多いのではないでしょうか。
以前はカードの利用明細が郵送されてきましたが、サービスの有料化に伴い、ほとんどの方は、ネットで利用明細を確認されていると思います。
使っていないカードでも、「今月の利用額が確定しましたと」というメールが来ると、念のために利用額をスマホやPCで確認することになります。利用額0円を確認するために、それぞれのカードのサイトに、ID、パスワードを入力してログインする必要があります。これが10枚以上になると、その手間も10倍以上です。
そんな方にもおすすめなのが家計簿アプリです。最初に手持ちのクレジットカードをすべて登録してしまえば、あとは家計簿アプリを開いて、毎月の利用額を一覧で確認するだけです。
最近のネット犯罪は複雑巧妙ですので、自分の知らない間にクレジットカードの情報が漏洩していることも考えられます。万が一不正利用があった場合、60日以内にカード会社に連絡しないと、カード会社は被害を補償してくれません。そのため、普段使用していないカードでも、不正利用がなかったことを確認することは重要な作業です。
家計簿アプリは安全か?
家計簿アプリは複数の金融機関やクレジットカードの登録を行うため、安全性を心配される方も多いと思います。アプリを提供している会社と金融機関やカード会社との接続方法は、情報を入手するだけで、送金・振込やカード決済などはできない仕組みになっています。金融機関側もその情報しか送信しないようになっています。
しかし、金融機関の口座を家計簿アプリに登録するためには、ネットバンキングの登録が必要となります。本人がID、パスワードを漏らしてしまったり、盗まれたりするリスクはあります。
また、家計簿アプリ以外の場所で、ドコモ口座事件のような不正アクセスが絶対ないとは言えません。どうしても「リスクは100%避けたい」という場合は、家計簿アプリに金融機関の口座を登録しないという選択もあります。
なお、キャッシュレス決済を利用する方は、パスワードだけの認証ではなく、ワンタイムパスワードなどの2要素認証を設定しておくことをおすすめします。このことにより、なりすましによる、ほとんどの不正送金やクレジットカードの不正利用を防ぐことができます。
家計簿アプリの利用にあたっては、金融機関やクレジットカードのセキュリティを、2要素認証を使用してしっかりガードしておきましょう。
ちょっと面倒な初期登録
図1のように、口座やカード、各種ポイントなどを、最初に家計簿アプリと連携する作業が必要です。家計簿アプリと連携するためには、銀行口座はネットバンキングの利用登録が必要です。郵貯や証券会社等も同様に、オンライン機能の利用が前提となります。クレジットカードや各種ポイント、航空会社のマイル等も家計簿アプリに登録が必要です。
最初からすべての口座やカードを登録しようとすると、大変な作業になります。まずは主要なものや簡単に登録できるものから始めることをおすすめします。その便利さを実感できれば登録を増やしましょう。自分の持っている各種カードや口座をできるだけ多く登録するとともに、現金での支払いを少なくすれば、家計簿はほとんど自動でできてしまいます。
まとめ
「家計簿なんて興味ない」という方も、今回紹介しました、入出金のお知らせや、未使用のクレジットカードの利用額確認のために、家計簿アプリを利用してみてはいかがでしょうか? 結果として、家計簿にも興味が湧くかもしれません。
多くの家計簿アプリは、機能を限定した無料のサービスが提供されています。まずは無料でいくつかのアプリを使用してみて、自分にあったものを選びましょう。
執筆者:植田周司
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士、円満相続遺言支援士(R)