更新日: 2021.11.30 年収

年収1000万円と年収500万円の会社員。可処分所得の差はどれくらい?

年収1000万円と年収500万円の会社員。可処分所得の差はどれくらい?
年収が2倍違うと、可処分所得も2倍違うようなイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、可処分所得は所得控除などさまざまな要素に影響されるため、年収の差がそのまま可処分所得の差にならないこともあります。
 
ここでは、可処分所得を左右する要素をまとめるとともに、年収1000万円と年収500万円の会社員の可処分所得の概算額を紹介します。実例を比較しながら、年収と可処分所得の関係について理解を深めてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

中村将士

監修:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

可処分所得は何で決まる?

可処分所得とは、年収から税金や社会保険料などを差し引いた、収入として手元に入る金額のことです。手取り収入と呼ばれることもあります。
 
可処分所得は単純に年収に比例するものではありません。給与をはじめとする収入額、収入から差し引かれる社会保険料や所得税、住民税などの金額で決まります。
 
所得税や住民税は、課税所得金額(収入から給与所得控除や所得控除を差し引いた金額)に税率をかけることで計算されます。ですので、所得控除の金額によって税額が変化する税金ともいえます。主な所得控除には、次のようなものがあります。


・基礎控除
・社会保険料控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・医療費控除

これらの金額に影響する、生命保険への加入状況や家族構成、医療費の支出額などは、可処分所得を決める大きな要素です。
 

可処分所得の計算方法

会社員の可処分所得の基本の計算式は、次のとおりです。
 
可処分所得=総収入額-(社会保険料+所得税額+住民税額)
 
社会保険料のうち健康保険料と介護保険料は、標準報酬月額と標準賞与額に、それぞれ都道府県ごとの保険料率をかけて計算します。厚生年金保険料の計算も同じく標準報酬月額と標準賞与額に、一律の保険料率をかける方法です。
 
雇用保険料は、会社からの総支給額に業種ごとの保険料率をかけて算出します。所得税の計算方法はやや複雑です。まずは次の式で課税所得を計算します。
 
課税所得=年収-給与所得控除-所得控除
 
次に、課税所得をもとに所得税額を計算します。
 
所得税額=課税所得×税率-税額控除
 
所得税の税率と税額控除は、課税所得の金額に応じて段階的に定められています。住民税は、一律5000円(令和5年まで)の均等割と、課税所得に応じた所得割に分かれています。所得割の計算式は、次のとおりです。
 
所得割=課税所得×10%-税額控除
 

年収1000万円/年収500万円の可処分所得は?

年収1000万円と年収500万円では、2倍の収入差があります。しかし、所得控除の額や課税所得に応じた税率、保険料などが異なるため、可処分所得は必ずしも倍違うわけではありません。
 
以下で、次の条件下における年収1000万円と年収500万円の可処分所得を、それぞれ計算してみます。
 

《共通条件》


・扶養家族なし
・収入は給与所得のみ
・賞与なし
・健康保険+介護保険の保険料率は全国健康保険協会(東京都)のもの(11.64%)とする
・雇用保険の事業区分は「一般の事業」(労働者負担の保険料率0.3%)とする
・基礎控除(48万円)、社会保険料控除以外の所得控除は考慮しない

 

年収1000万円の可処分所得

年収1000万円の年間の健康保険料・介護保険料は、計算式にしたがって計算すると57万9672円です。厚生年金保険料は71万3700円、雇用保険料は3万円となります。
 
同じく計算すると、所得税の課税所得は約625万円、所得税額は約82万1800円。住民税は課税所得約630万円、税額約63万2200円です。以上を合計すると約278万円となるため、おおよその可処分所得は1000万円-278万円=722万円となります。
 

年収500万円の可処分所得

年収500万円の場合、年間の健康保険料・介護保険料は28万6344円、厚生年金保険料は45万180円となります。雇用保険料は1万5000円です。また、所得税は課税所得約233万円、税額約13万5500円、住民税は課税所得約238万円、税額約24万500円です。
 
これらを合計するとおよそ113万円となり、可処分所得は500万円-113万円=387万円となります。
 

可処分所得は年収以外の要素に左右される

可処分所得は所得控除額などの要素に左右されます。可処分所得がどの程度になるかを知りたいときは、自身のケースに当てはめて控除額などを計算し、より実情に合った金額を把握することが大切です。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集