息子は「残業すれば年収が50万円増える」と毎月残業。同僚から「税金や社会保険料が増えるから、思ったほど手元に残らないよ」と言われたそうですが、手取りではいくら増えるのでしょうか?
しかし、残業代にも税金がかかり、社会保険料の計算にも影響します。そのため、年収が50万円増えても、手取りがそのまま50万円増えるわけではありません。
今回の記事では、年収400万円の会社員が残業によって年収450万円になったケースを例に、手取りがどのくらい増えるのか解説します。
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目次
残業代が年50万円増えても手取りが50万円増えるわけではない
残業代は給与の一部なので、基本給と同じように原則として所得税がかかります。年収が増えれば、翌年度に負担する住民税も増える可能性があります。
さらに、残業代は社会保険料にも影響します。会社員の場合、給与から健康保険料や厚生年金保険料などが差し引かれています。
健康保険や厚生年金の保険料は、「標準報酬月額」をもとに計算します。標準報酬月額とは、毎月の給与などを一定の幅で区分した金額です。基本給だけでなく、残業手当や通勤手当なども計算の対象となります。
例えば、協会けんぽ東京支部の2026年度の健康保険料率は9.85%(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)です。原則として会社と従業員が半分ずつ負担します。
厚生年金保険料率は18.3%で、こちらも労使折半です。このほか、雇用保険料も給与から差し引かれます。したがって、残業による収入増を考えるときは、額面ではなく手取りで考えることが大切です。
年収400万円から450万円になる場合、手取りの増加は約38万円が目安
では、残業で年収が50万円増えた場合、実際の手取りはいくら増えるのでしょうか。
一例として、年収400万円だった人が残業によって450万円になったとします。40歳未満の独身会社員で扶養家族がおらず、東京都の協会けんぽに加入しているケースを想定します。
この条件で概算すると、50万円の収入増に対して、社会保険料が7万円台、所得税が2万円弱、住民税が3万円程度増えることが想定されます。負担増は合計で12万円前後となるため、手取りの増加額は「50万円-約12万円=約38万円」が目安です。
1ヶ月あたりに直すと、額面では約4万2000円の収入増ですが、実際に使えるお金は3万円程度増える計算です。
ただし、これはあくまで一例です。所得税は所得に応じて税率が変わり、健康保険料率も加入先によって異なります。年齢や扶養家族の有無、利用できる所得控除などによっても手取りは変わります。
自分の場合を正確に把握したいのであれば、給与明細や源泉徴収票を確認したうえで計算するとよいでしょう。
4~6月に残業代が多いと「定時決定」で社会保険料が上がることがある
残業をするときに知っておきたいのが、社会保険の「定時決定」です。
健康保険や厚生年金では、4月、5月、6月に受け取った報酬をもとに標準報酬月額を決め直します。決定された標準報酬月額は、原則としてその年の9月から翌年8月まで適用されます。
例えば、普段の給与が月30万円の人が4~6月に多く残業し、この3ヶ月だけ月35万円前後を受け取ったとします。残業代も報酬に含まれるため、標準報酬月額の等級が上がる可能性があります。等級が上がれば、9月以降に給与から差し引かれる健康保険料や厚生年金保険料も増えることがあります。
ただし、4~6月に残業したからといって、必ず社会保険料が上がるわけではありません。残業代が増えても標準報酬月額の等級が変わらなければ、定時決定による保険料の増加はありません。
春に残業が多かった人は、9月以降の給与明細を確認し、社会保険料がどの程度変わったかチェックしてみましょう。
残業で年収が50万円増えるなら税金・社会保険料を引いた金額で考えよう
残業によって年収が50万円増えても、50万円すべてが手元に残るわけではありません。今回の年収400万円から450万円になる例では、手取りの増加は年間約38万円がひとつの目安です。
また、4~6月に残業代が多いと、定時決定によって9月以降の社会保険料が上がる可能性もあります。
とはいえ、税金や社会保険料が増えるからといって、残業で収入を増やす意味がなくなるわけではありません。残業をするか考える際は、額面の50万円だけでなく、実際に増える手取りと必要な残業時間を比べることが大切です。
収入と自由な時間のバランスまで考えれば、自分に合った働き方を判断しやすくなるでしょう。
出典
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
全国健康保険協会
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
