国家公務員として働く兄の年収は「600万円」。「民間企業ならもっと稼げる」と転職を考えていますが、家族は「公務員の安定を手放すのはもったいない」と反対…。退職金まで考えると、本当に転職したほうが得なのでしょうか?
民間企業への転職によって年収が上がる可能性がある一方、国家公務員は退職時期によって退職手当の額が異なるため、目先の年収だけで判断することは難しいでしょう。
本記事では、国家公務員と民間企業の退職金を比較し、転職による年収の増加が退職金の差をどの程度補えるのかについて解説します。
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国家公務員の退職金はいくら? 定年退職と自己都合退職で大きな差がある
内閣官房内閣人事局の「令和6年度 退職手当の支給状況」によると、国家公務員の常勤職員が受け取った退職手当の平均額は、定年退職で約2160万円、自己都合退職で約345万円でした。
また、一般的な事務職などに該当する「行政職俸給表(一)」の適用者では、定年退職で約2149万円、自己都合退職で約332万円となっています。ただし、自己都合退職者には勤続年数の短い職員も含まれるため、平均額の差がそのまま転職による損失になるわけではありません。
退職金は勤続年数や退職時の給与などによって変わります。転職を考える際は、現在の勤続年数で退職した場合にいくら受け取れるのかを確認しましょう。
民間企業の退職金はいくら? 国家公務員と比較
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒の管理・事務・技術職が定年退職した場合、平均退職給付額は1896万円でした。これは勤続20年以上かつ45歳以上の退職者を対象とした調査結果です。
国家公務員の定年退職時の平均額である約2160万円と比較すると、約264万円少ない金額です。
ただし、民間企業の金額には、退職時に受け取る一時金だけでなく、企業年金も含まれています。また、調査対象や集計条件が異なるため、単純な比較はできません。
さらに、同調査では、退職給付制度がある企業の割合は74.9%でした。すべての民間企業に退職金制度があるわけではないため、転職先の制度を確認することが大切です。
年収600万円から転職すると、どれくらい収入が増えれば得になる?
例えば、転職によって年収が600万円から700万円に上がった場合、年収差は100万円です。その差が続けば、10年間で1000万円、20年間で2000万円の収入差が生まれます。
一方、年収が650万円になった場合、20年間の収入差は1000万円です。仮に、転職によって将来受け取る退職金の合計が1000万円少なくなるとすれば、年収が100万円増えるケースでは、単純計算で10年間働くと差額を補えます。
ただし、これは税金や社会保険料、将来の昇給などを考慮しない計算です。公務員として働き続けた場合も昇給する可能性があるため、実際の収入差は変わります。
また、転職時に受け取る退職金も含めて比較する必要があります。転職直後の年収だけでなく、定年までに受け取る給与と退職金の合計で判断しましょう。
転職するなら年収だけでなく退職金や働き方も比較しよう
国家公務員から民間企業への転職は、必ずしも損になるわけではありません。転職によって年収が大幅に上がれば、退職金の差を補える可能性があります。
一方、民間企業では業績によって賞与が変わる場合もあります。国家公務員の雇用や給与の安定性も、判断材料のひとつです。今回のケースでも、年収600万円という情報だけでは、どちらが得かは判断できません。年齢や勤続年数、転職先の待遇によって結果が変わるためです。
まずは現在の退職金の見込額を確認し、転職先の給与や退職金制度と比較しましょう。将来の収入を具体的に試算することで、納得できる選択につながるでしょう。
出典
内閣官房内閣人事局 退職手当の支給状況(1ページ)
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態(16~17ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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