更新日: 2021.03.26 相続税

相続税の延納、物納とは?現金での納付が難しいときの対処法

執筆者 : 中田真

相続税の延納、物納とは?現金での納付が難しいときの対処法
国税(税金)は、原則として、納付期限までに金銭にて一括納付しなければなりませんが、相続税は、課税対象が特殊なことなどから、一定の要件を満たすことで、「延納」や「物納」という納付方法が認められています。
 
今回は、相続税の納付方法である延納や物納の概要などについて解説します。

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中田真

執筆者:中田真(なかだ まこと)

CFP(R)認定者、終活アドバイザー

中田FP事務所 代表

NPO法人ら・し・さ 正会員
株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師

給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP(R)資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
https://nakada-fp.com/

相続税の延納

相続税を納付期限までに金銭で一括納付することができない場合、一定の要件を満たすことで、延納が認められます。延納とは、担保を提供することで、納付が困難である金額を限度に、分割で納付する(分割払い)ことができる制度です(※1)。
 
延納が認められる要件は、以下のとおりとなります。
 

【延納が適用される要件】

(1)納付すべき相続税額が10万円を超えること
(2)申告(納付)期限までに、金銭での一括納付が困難である事由があること
(3)延納はその納付を困難とする金額の範囲内であること
(4)延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること
(ただし、延納税額100万円以下かつ延納期間3年以下の場合は、担保の提供は不要)
(5)申告(納付)期限までに、延納申請書を税務署長に提出すること

 

【延納期間】

原則として、延納期間は5年以内となっていますが、延納を申請した者が取得した相続財産に占める不動産などの価額の割合により、延納期間が延長(最長で20年)されたり、利子税の割合が軽減されたりします。

 

【利子税】

延納にて相続税を納付する場合、利息に相当する延納利子税を納めなければなりません。なお、延納利子税の割合は、前述の延納期間と同様に、延納を申請した者が取得した相続財産に占める不動産などの価額の割合により異なります。

 

相続税の物納

相続税を納付期限までに金銭で一括納付することができず、延納によっても金銭で相続税を納付できない場合には、一定の要件を満たすことで、納付が困難な金額を限度として、物納が認められます(※2)。
 
物納が認められる要件は、以下のとおりとなります。
 
【物納が適用される要件】
(1)延納によっても金銭納付が困難である事由があること
(2)相続財産が物納できる財産(物納適格財産)であること
(3)申告(納付)期限までに、延納申請書を税務署長に提出すること
 
【物納適格財産】
物納適格財産とは、物納の対象となる財産のことで、物納申請者の相続財産で、かつ日本国内にあるものに限られるため、相続人がもともと所有していた固有の財産は、物納適格財産の対象外となります。
 
【物納できる財産の範囲と順位】
相続財産であっても、物納できるものは限られており、その順位については、以下のように定められています。
 
(1)第1順位
国債、地方債、不動産、船舶、上場株式・社債・証券投資信託等の受益証券
 
(2)第2順位
非上場株式・社債・証券投資信託等の受益証券
 
(3)第3順位
動産
 
なお、相続財産であっても物納できない主な財産については、以下のとおりとなります。
 

・質権、抵当権、その他の担保権の目的となっている財産
・所有権の帰属等について係争中の財産
・譲渡に関して法令に特別の定めがある財産
・配偶者居住権の目的となっている建物およびその敷地

 
【利子税】
相続税の納付期限または納付すべき日の翌日から、物納財産の所有権移転手続き完了の日までの期間について、利子税がかかります。
 

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まとめ

相続税の納付において、金銭の用意が難しいなど、納付期限内に金銭での一括納付が難しい場合は、一定の要件を満たすことができれば、延納や物納という方法で相続税を納付することが認められています。
 
相続税の納付額が多くなると予想される場合は、納税資金の準備で慌てないように、このような制度を事前に知っておきたいですね。
 
出典
※1 国税庁「No.4211 相続税の延納」
※2 国税庁「No.4214 相続税の物納」
 
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー