祖父に「スズキのジムニーがほしい」と行ったら、タンス預金から「300万円」を渡してくれた！ 親に内緒で受け取って大丈夫ですか？ 大学生なので、親に“贈与税”がかかるでしょうか？

大学生で運転免許を取得したとなるとマイカーが欲しくなるのではないでしょうか。本記事では、祖父に車の購入をおねだりしたら、タンス預金300万円をプレゼントしてもらったケースを取り上げます。本人は親の扶養に入っている大学生のため、親に贈与税がかかるのではないかと心配しているようです。
 
タンス預金300万円の贈与はどう取り扱われるのでしょうか。解説します。

タンス預金300万円には贈与税がかかる

贈与税とは、「個人から贈与により財産を取得」したときにかかる税金のことです。本記事のケースでは、孫は「祖父から贈与によりタンス預金300万円を取得」したので、贈与税がかかることになります。そして、贈与税を納めなければならないのは財産を受け取った人なので、本記事では「孫」が該当します。
 
300万円の贈与に対して、いくらの贈与税がかかるのかを計算してみましょう。贈与税には110万円の基礎控除が設けられているので、300万円から110万円を差し引いた190万円に贈与税率を乗じて計算します。
 
なお、贈与税率には一般税率と特例税率があり、18歳以上の人が祖父などの直系尊属から受けた贈与に対しては、一般税率より優遇された特例税率が適用されます。
 
（300万円－110万円）×10％＝19万円
 
300万円の贈与に対しては、19万円の贈与税がかかります。
 

贈与税に扶養は関係ない

贈与税の納税義務者は「財産を受け取った人」だと前記しましたが、本記事のケースにおける孫は親の扶養になっている大学生です。社会人として自立していない状態の人でも納税義務者になるのでしょうか。
 
答えは「納税義務者になる」です。
 
なぜなら、贈与税に年齢制限はないからです。財産を受け取った人が0歳であろうと、「個人から贈与により財産を取得したとき」には贈与税の納税義務者になります。
 

親に内緒で受け取る問題点

祖父から300万円を受け取った場合、大学生で親の扶養であっても贈与税が19万円かかりますが、約280万円は手元に残り、新車価格200万円ほどのスズキジムニーを買うことができるので孫としては一件落着かもしれません。
 
ただ、相続問題は気にしておいたほうがよいでしょう。なぜなら、祖父が死亡した場合の相続財産は、親と親の兄弟姉妹（孫からするとおじ・おば）にいくのが自然な流れだからです。
 
特定の孫に300万円の生前贈与が行われたということは、親やおじ・おばへの相続財産が300万円減ってしまったということになります。
 
親の場合は300万円を受け取ったのが自分の子どもなので、不公平を訴える可能性は低いかもしれませんが、おじ・おばはどうでしょうか。特に秘密裏に行われていたことが分かると、なおさら相続トラブルに発展する可能性が高くなってしまいます。
 
祖父には、事前に将来の相続人に説明してもらう、ほかの孫にも同額を渡してもらうなど、平等性を担保してもらったほうが安心かもしれません。
 

まとめ

贈与税の納税義務者は「財産を受け取った人」なので、大学生で親の扶養であっても、300万円を受け取ったのであれば贈与税を納める義務があります。そして、贈与税の納税義務者に年齢や扶養は関係ないことから、贈与税がかかるのは親ではなく、受贈者である孫となります。
 
親に内緒で受け取ったとすると、祖父の相続財産を300万円減らしたことになるので、親やおじ・おばとの相続トラブルが懸念されます。祖父や親に事前に相談したほうが安心でしょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率（暦年課税）
株式会社スズキ ジムニー 価格・グレード
 
執筆者：佐々木咲
2級FP技能士