80代の母の通院に毎回付き添い、交通費は年間「12万円」…。兄は「親孝行なんだから自腹で」と言いますが、私だけが負担し続けた費用は将来の相続で考慮されるのでしょうか?

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80代の母の通院に毎回付き添い、交通費は年間「12万円」…。兄は「親孝行なんだから自腹で」と言いますが、私だけが負担し続けた費用は将来の相続で考慮されるのでしょうか?
80代になる母親の通院に毎回付き添っていると、交通費だけでもまとまった金額になることがあります。年間12万円なら、5年間で60万円です。自分だけが負担している場合、「将来の相続で考慮してもらえないのか」と疑問に思う人もいるでしょう。
 
相続には、亡くなった人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人について、相続分を調整する「寄与分」という制度があります。ただし、通院に付き添って交通費を負担していれば、必ず寄与分が認められるわけではありません。
 
今回の記事では、母親の通院に毎回付き添い、年間12万円の交通費を負担しているケースを例に、将来の相続で考慮される可能性を解説します。
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年間12万円の交通費を負担しても、相続で必ず考慮されるわけではない

民法には、亡くなった人の財産の維持や増加について「特別の寄与」をした相続人がいる場合、その貢献を相続分に反映する「寄与分」という制度があります。
 
例えば、母親が亡くなり、兄と自分の2人だけが相続人だった場合、原則として法定相続分はそれぞれ2分の1です。しかし、自分に寄与分が認められれば、実際に受け取る遺産が兄より多くなる可能性があります。
 
ただし、「自分だけが母親の通院に付き添った」「年間12万円の交通費を負担した」という事情だけで、12万円がそのまま寄与分として上乗せされるわけではありません。
 
寄与分では、親族として通常期待される範囲を超えた特別な貢献だったか、その貢献によって母親の財産が維持・増加したといえるかなどが重要になります。そのため、兄が通院に付き添っていないという理由だけで、自分の負担が自動的に寄与分になるとは限りません。
 

通院の付き添いが「寄与分」と認められるには特別な貢献が必要

寄与分の対象には、親の療養や介護を無償で行う「療養看護型」と呼ばれるケースがあります。例えば、長期間にわたって介護を行い、本来なら必要だった介護サービスなどの費用を抑え、親の財産の減少を防いだケースです。
 
一方、一般的な通院の送迎や付き添いは、親族として通常行う範囲のサポートと判断され、寄与分が認められない可能性があります。
 
ただし、付き添いの頻度や期間、母親の健康状態などによって判断は変わります。例えば、長期間にわたって頻繁な通院が必要で、仕事を休みながら毎回付き添っていた場合などは、一般的な付き添いより負担が大きいと考えられます。
 
さらに、付き添いや介護によって有料のサービスを利用せずに済み、母親の財産の減少を防いだという事情があれば、寄与分を検討する材料になる可能性があります。
 
つまり、年間12万円という交通費の金額だけではなく、「どの程度のサポートを行い、それが母親の財産にどう影響したのか」も重要です。
 

交通費の記録を残し、家族で費用負担を話し合っておこう

将来の相続に備えるなら、母親が元気なうちから交通費や通院の記録を残しておきましょう。
 
例えば、通院日や病院名、付き添った時間を記録し、電車やバス、タクシーなどの領収書、交通系ICカードの利用履歴なども保管しておく方法があります。相続が始まってから「何年間も付き添っていた」と主張しても、記録がなければ負担の実態を説明しにくくなるためです。
 
また、交通費については寄与分とは別に、母親が負担すべき費用を子どもが一時的に立て替えているケースも考えられます。ただし、自分の意思で負担した費用なのか、母親に代わって支払った費用なのかによって扱いは異なります。
 
そのため、将来の相続で解決しようとするのではなく、「通院に必要な交通費は母親のお金から出す」「兄弟で分担する」など、早めに家族で決めておくことも大切です。年間12万円なら10年間で120万円になるため、負担が長く続くほど早めの話し合いが重要になります。
 

まとめ|「親孝行だから自腹」と決めつけず、費用と付き添いの記録を残しておこう

母親の通院に毎回付き添い、年間12万円の交通費を負担していても、その金額が将来の相続で自動的に上乗せされるわけではありません。
 
寄与分として認められるには、通常の親子関係で期待される範囲を超えた特別な貢献であり、母親の財産の維持や増加につながったことなどが重要です。
 
一方で、交通費が母親のための立替金といえる場合もあります。まずは領収書や利用履歴、通院日、付き添った時間などを記録しておきましょう。さらに、母親や兄と今後の費用負担について話し合っておけば、自分だけが負担し続ける状況や、将来の相続トラブルを防ぎやすくなるでしょう。
 

出典

e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第五編 相続 第三章 相続の効力 第二節 相続分 (寄与分)第九百四条の二
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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