45歳で実家暮らしですが、親から「この家は将来あなたに残す」と言われています。今から自分で家を購入するより、築30年超えの実家に住み続けるほうが経済的でしょうか?

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45歳で実家暮らしですが、親から「この家は将来あなたに残す」と言われています。今から自分で家を購入するより、築30年超えの実家に住み続けるほうが経済的でしょうか?
実家に同居する子が、実家を譲り受けて住み続ける場合の留意点は、遺産相続問題と実家の維持管理費になります。
 
今回は、実家を譲り受けた場合の相続問題と維持管理費について説明するとともに、実家に住み続ける場合と自宅を購入して転居する場合の違いについて解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

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実家を譲り受けるときの相続問題

相続問題は、法定相続人の数などにより大きく異なります。ここでは、法定相続人の数に応じた相続問題を説明します(※1, 2)。
 
1. 親1人子1人の場合
実家に親1人と同居する子が1人で、他に兄弟がいない場合は、その子のみが法定相続人となりますので、実家を含めた親の遺産をその子がすべて相続します。なお、実家を含む親の相続財産が3600万円を超える場合は、相続税を納める必要があります。
 
2. 両親と子1人の場合
実家を所有している親とその配偶者および同居する子が1人の場合は、配偶者とその子が法定相続人となり、実家を含めた親の遺産を配偶者とその子が2分の1ずつ相続します。
 
仮に親の遺産が実家のみであった場合、実家の権利を配偶者とその子が2分の1ずつ保有することになります。その後、配偶者がなくなった時点で、その子が実家の権利をすべて取得することになります。
 
なお、実家を含む親の相続財産が4200万円を超える場合は、相続税を納める必要があり、相続した相続財産の割合に応じて納税額が決定されます。
 
3. 親1人子2人の場合
実家に親1人と同居する子1人と、その他に兄弟が1人いる場合は、子2人が法定相続人となり、法的には親の遺産を2分の1ずつ相続します。
 
親の相続財産が実家のみであった場合は、実家の権利を兄弟で半分ずつ所有する方法と、同居する子が実家を相続し、代償分割として実家の評価額の2分の1に相当する金額を兄弟に支払う方法があります(※3)。
 
なお、実家を含む親の相続財産が4200万円を超える場合は、相続税を納める必要があり、相続した相続財産の割合に応じて納税額が決定されます。
 
ただし、親が同居する子に実家を相続させることを遺言書などで指定することができます。この際、親の相続財産が実家のみであった場合、兄弟は、相続財産の4分の1に相当する額を遺留分として実家を相続した子に請求することができます。この場合、実家を相続した子は、遺留分を現金で兄弟に支払う必要があります。
 
なお、親の相続財産が4200万円を超える場合は相続税がかかり、実家を相続した子は自身が取得した財産に応じた相続税を全額納める必要があります。
 

実家に住み続けた場合の維持管理費

譲り受ける実家が、一戸建て住宅である場合と、マンションである場合では、多少状況は異なります。
 
1. 一戸建て住宅の場合
築30年の一戸建て住宅を譲り受けた場合、屋根や外壁の塗装、水回り設備などの維持管理の経費がかかります。また、子の年齢が45歳であれば、将来的に実家を建て直す必要が生じる可能性があり、多額の建築費用が必要となります。
 
2. マンションの場合
築30年のマンションを譲り受けた場合、管理費や修繕積立金の支払いを引き継がなければなりません。また、将来、建て替え問題が生じる可能性もあります。
 

実家住まいと自宅保有の違い

1. 相続した実家を売却
実家を出て自宅を購入する場合、購入費用が必要となり、住宅ローンなどを借り入れることになります。一方、相続が発生した場合は、相続した実家を売却して現金化して住宅ローンの繰り上げ返済などに充てることができます。
 
2. 同居する実家を相続した場合の相続税
実家に同居している状態で実家を相続した場合、一定の条件を満たせば「小規模宅地等の特例」の適用を受けることができ、330平方メートルまでの宅地等の課税価格を80%減額することができます(※4)。したがって、相続する実家の価値が大きい場合、相続税の額が大きく違ってきます。
 

まとめ

実家に同居する子が、実家を譲り受けて住み続ける場合、兄弟がいなければ大きな問題はありませんが、兄弟がいて相続財産が実家のみであった場合は、実家を単独で相続するために、相続割合に応じた現金を兄弟に支払う必要があります。
 
一方、実家を出て自宅を保有した場合、相続した実家を売却して住宅ローンの繰り上げ返済費用に充てることもできます。ただし、実家の評価額が高い場合は、実家に住み続けることで「小規模宅地等の特例」の適用を受けて相続税を抑えることができます。
 

出典

(※1)内閣府大臣官房政府広報室 政府広報オンライン 知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】
(※2)国税庁 タックスアンサー No4102 相続税がかかる場合
(※3)国税庁 タックスアンサー No4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算
(※4)国税庁 タックスアンサー No4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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