60代で資産3000万円、子どもは1人です。年金は年間300万円ほどで生活費は足りそうなので、相続税対策として生前贈与を検討しています。老後資金も確保すると、いくら渡すのがいいでしょうか?

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60代で資産3000万円、子どもは1人です。年金は年間300万円ほどで生活費は足りそうなので、相続税対策として生前贈与を検討しています。老後資金も確保すると、いくら渡すのがいいでしょうか?
60代になると、これまで築いてきた資産を自分のために使うだけでなく、子どもにどう引き継ぐかを考える機会も増えてきます。年金で日常の生活費をまかなえるなら、「預貯金を残しておくより、生前贈与したほうがよいのでは」と考える人もいるでしょう。
 
ただし、生前贈与では相続税だけでなく、自分が今後必要になるお金や贈与税についても考える必要があります。本記事で資産3000万円、子ども1人というケースを例に、贈与額の考え方を確認していきましょう。
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資産3000万円でも相続税対策が必要になるケース

まず確認しておきたいのは、相続税が発生する可能性があるかどうかです。相続税には、「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。法定相続人が子ども1人だけの場合、基礎控除は3600万円です。
 
したがって、相続財産が3000万円のみであれば、単純計算では基礎控除の範囲内に収まります。そのため、相続税対策だけを目的に、急いで多額の生前贈与を行う必要性は低いでしょう。
 
また、配偶者がいる場合は、配偶者も法定相続人に含まれます。例えば、法定相続人が配偶者と子どもの2人であれば、基礎控除は4200万円です。
 
ただし、相続財産に含まれるのは預貯金だけではなく、不動産や株式なども対象になるため、資産全体で判断する必要があります。もし「資産3000万円」が預貯金だけを指しているのであれば、自宅や有価証券など、ほかの財産も含めたうえで相続財産の総額を確認しましょう。
 

生前贈与の金額を決める前に押さえておきたいポイント

年間約300万円の年金で現在の生活費をまかなえていても、3000万円の資産から多額の資金を一度に贈与する場合は、慎重な判断が必要です。
 
というのも、高齢になると介護や医療、自宅の修繕などで、まとまった支出が発生する可能性があるからです。また、将来的に老人ホームなどへ入居することになれば、そのための資金も用意しなければなりません。
 
そのため、「3000万円のうち何割を贈与する」と最初に決めるのではなく、まずは今後の生活に必要な資金を見積もり、手元に残す金額を算出することが大切です。
 
例えば、年間の生活費が年金収入を50万円上回ると仮定した場合、30年間では1500万円を資産から補う必要があります。また、医療・介護費や住宅関連費など、将来発生する可能性のある支出も見込んでおくと安心です。
 
こうした費用を踏まえると、今回のケースでは老後資金を削ってまで生前贈与を急ぐ必要性は高くありません。相続財産の総額によっては相続税が発生しない可能性もあるため、まずは自身の生活資金を十分に確保し、そのうえで余裕のある範囲から贈与額を決めるとよいでしょう。
 

子どもへの生前贈与で利用できる主な制度

子どもへ資産を移しておきたい場合は、暦年課税の基礎控除を活用する方法があります。暦年課税では、1年間に受け取った贈与の合計額が110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません。
 
例えば、子ども1人に毎年110万円ずつ5年間贈与した場合、合計550万円を移すことができます。一度に多額の資金を渡す方法と比べて、自分の資産状況を毎年確認しながら進めやすい点もメリットといえるでしょう。
 
ただし、暦年課税による贈与のうち、相続開始前の一定期間に行われたものは、相続税の計算上、相続財産に加算される場合があります。2024年1月1日以後の贈与については、制度改正によって加算対象期間が段階的に延長され、最終的には相続開始前7年間が対象です。
 
一方、60歳以上の親から18歳以上の子などへ贈与する場合は、一定の要件を満たせば「相続時精算課税」を選択できます。この制度にも年間110万円の基礎控除がありますが、一度選択すると、その贈与者からの贈与について暦年課税へ戻すことはできません。
 
どちらの制度が適しているかは資産状況や今後の贈与方針によって異なるため、必要に応じて税理士などの専門家に相談したうえで選ぶと安心でしょう。
 

生前贈与は老後資金を確保したうえで無理のない金額にしよう

資産3000万円で法定相続人が子ども1人だけの場合、相続税の基礎控除3600万円を下回るため、ほかに大きな財産がなければ相続税対策を急ぐ必要性は高くありません。
 
ただし、生前贈与をする際は、将来の医療費や介護費、住宅の修繕費なども見込んでおくことが大切です。贈与額を決める際は、不動産や有価証券を含めた資産全体と今後必要な生活資金を確認し、老後の暮らしに支障が出ない範囲で検討しましょう。
 

出典

国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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