更新日: 2021.07.09 その他相続

相続手続きの進め方、誰に相談すればいい?

執筆者 : 西山広高

相続手続きの進め方、誰に相談すればいい?
相続対策は「次世代に円滑に資産を継承すること」が目的。相続税対策は相続対策の一部でしかありません。生前、元気なうちから相続について考え、準備しておくことで高い効果が得られます。しかし、しっかりした相続対策を実行したのちにお亡くなりになる方はそう多くはありません。
 
また、残される人にとっても自分自身が相続人になるケースも人生で何度も経験することではありませんので、慣れている人はほとんどいません。
 
いざ身近に相続が発生したとき、いったいどのように手続きを進めればよいのかで悩むことも多いでしょう。しかし、相続手続きの進め方については誰に相談すればよいのでしょうか。
西山広高

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役
 
http://www.nishiyama-ld.com/

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
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相続手続きの準備は葬儀のときから始まっている

身内の方が亡くなられたとき、最初にすることは死亡届の提出です。病院でお亡くなりになった場合や、普段から診察を受けていたお医者さんから「死亡診断書」を受け取り、役所へ「死亡届」「火葬許可申請書」を提出します。
 
その次に、普段からお付き合いされていた近親者に連絡を行います。あわせて葬儀社やお寺などと葬儀に関する打ち合わせを始めます。
 
最近は葬儀のやり方もさまざまです。どのような規模で葬儀を行うか、宗教などによっても扱いはさまざまです。故人の意向を聞いていればそれを尊重しつつ、お寺や葬儀社などと話し合うのが良いでしょう。
 
相続に関する準備は通夜・告別式のときから始まっています。特に最近は核家族化が進み、両親と同居していない家族が増えました。通夜や葬儀には遠方に住んでいる親族も集まる場合が多いでしょう。相続人となる人同士で連絡方法などを確認しておく必要があります。
 
通夜や告別式が終わるとすぐにやらなければならないことが落ち着き、ひと段落ではあるのですが、相続手続きはここからが本番です。
 
相続税がかかる場合、申告・納付までの期間は10カ月。長いようでもその状況によってはすぐに経過してしまう期間です。相続税がかからない場合でもやらなければいけないことはあります。
 

相続人が複数いて遺言書がなければ遺産分割協議は必須

相続対策というと相続税対策を思い浮かべる人が多いのですが、相続手続きはほとんどの方が何かしら行う必要があります。お亡くなりになったときにまったく資産がない、という人はほとんどいません。預貯金や不動産といった資産はもちろん、場合によっては債務(=借金など)がたくさん残っている場合もあります。
 
また、相続税がかかるのか、どのくらいかかるのかを相続発生時にしっかり把握している人は多くありません。誰が相続人になるのかもよくわからないという人もいます。相続人が複数いて遺言書がなければ、遺産分割協議は必須。そのままにしておくわけにはいきません。
 
遺産分割協議はまず、相続人の特定と故人の財産の全容を把握することから始まります。
 

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相続の手続きについては誰に相談すればいい?

身内の方が亡くなられて、すぐに財産分与の話をすることに抵抗を感じることもあるでしょう。財産分与の話は必要であるにもかかわらず「何か下心があるのではないか」と勘繰られてしまうケースもあります。また、そう勘繰られてしまうことを恐れて話を切り出せないという方もいるでしょう。
 
しかし、後になって慌てないためにも誰かが切り出さないわけにはいきません。ましてや故人の資産で生活していた人にとってはなおさらです。
 
相続税がかかるとわかっていれば、最初に思いつくのは税理士でしょう。
 
また、すべての税理士が相続税について詳しいわけではありません。日ごろからお付き合いしている税理士さんがいれば、相談すればおそらく聞いてくれるでしょう。万が一、相続に詳しくない税理士さんに相談した結果、必要以上に相続税を支払う結果になってしまうケースがあることも覚えておくべきです。
 
相続人の間で分割方法についてもめてしまうような場合には、弁護士に相談することもありえます。しかし、弁護士が登場したとたんに話がこじれてしまうケースもあります。相続放棄や限定承認、特別代理人の選定などが必要な場合はともかく、遺産分割協議の代理人に弁護士を立ててしまうと、ほかの相続人に対し「対決」する姿勢を示したととられかねません。
 
まず、当事者同士で話すことが大切です。
 
日ごろから取引している金融機関に相談する、というケースもあります。しかし、金融機関の担当者も必ずしも詳しい人ばかりではありません。また、何かと手数料を取られるケースもあり注意が必要です。
 
相続財産に不動産がある場合、不動産業者に相談するケースもあるでしょう。しかし不動産業は売買による手数料が主な収入源。できれば残したい不動産すら売却を勧められることもあります。
 
相続について相談できる専門家は家族の状況によってまちまち。どんな場合にどんな専門家に相談すべきかは結構難しいのです。
 

まとめ

相続手続きのためには、相続人を含めた人間関係や財産状況を把握し、何を考え、何を行う必要があるのか、どのように進めていくべきかについて抑えておく必要があります。ところが、どのように相続手続きを進めればよいのかについて総合的に対応してくれる相談先は決して多くありません。
 
遺言書がない場合、分割方法の検討などは相続が発生した後から行うことになります。その分割方法をあまり安易に進めてしまうと後から「あのときこうしておけばよかった」ということにもなりかねません。相続発生後にできる対策は限られてはいますが、それでも検討しておくべきことがあります。
 
できれば、事前に準備しておきたい相続対策ですが、相続が発生したのちにできる対策もあります。
 
故人の親族や資産の状況により適切な相談先を探すことが重要です。
 
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、宅建マイスター(上級宅建士)、上級相続診断士、西山ライフデザイン代表取締役
 

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