公開日:2020.01.14 相続

相続人が全員放棄したらお墓はどうなる?換金されて、なくなってしまうの?

相続人が相続放棄して、相続人が誰もいなくなってしまった。お墓はどうなるのでしょうか? 債務超過で相続を放棄した場合、お墓も換金され、なくなってしまうのでしょうか?
 
林智慮

執筆者:

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

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林智慮

執筆者:

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

相続診断士 
終活カウンセラー 
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

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祭祀財産は相続財産に含まれない

民法 第3章 相続の効力 には、(相続の一般的効力)
第896条 相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
 
とあります。相続人は被相続人の財産を引き継ぎます。しかし、次の条文には以下のことが書かれています。
 
第897条 系譜、祭具および墳墓の所有権は、前条の規定に関わらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主催すべき者があるときは、その者が承継する。
2 前項本分の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が決める。
 
と、あります。系譜、祭具および墳墓の所有権(祭祀財産)は相続人が引き継ぐのではなく、それぞれのしきたりにより「祖先の祭祀を主宰すべき者」が継承します。例えば、代々跡取りが墓を守るのであれば、相続放棄した場合でも跡取りが墓を受け継ぎます。
 
系譜、祭具および墳墓の所有権は相続財産に含まれません。祖先の祭祀を主宰すべき者は、相続放棄をしてもしなくても、祭祀財産を引き継ぎます。
 

相続人が引き継いだら相続税はどうなる?

それでは、相続人が祭祀財産を引き継いだら相続税はどうなるのでしょうか。国税庁ホームページ「相続税がかからない財産」に、
 
1 墓地や墓石、仏壇仏具神を祭る道具など日常礼拝をしている物
ただし、骨董的価値があるなど投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税がかかります。
 
とあります。祭祀財産はもともと相続財産とされないものです。相続人が引き継いだとしても相続税はかかりません。
 
平成27年に相続税が改正されましたが、その頃に1000万円を超える「金のお鈴」が飛ぶように売れたことが話題になりました。相続対策として生前に購入しておくのです。純金であっても日常使用するものであれば祭祀費用とされるようです。
 
しかし、お鈴をいくつも持ったり、他に仏壇・仏像も金にしたりする場合、費用として認められないこともあります。税務署の「電話相談センター」にご相談ください。
 
葬式費用は葬儀財産から控除できます。
・葬式や葬送、火葬・埋葬・納骨のためにかかった費用(仮葬式と本葬式の両方の場合、どちらも認められます)
・遺体や遺骨の回送にかかった費用
・葬式の前後にかかる通常発生する費用(例えばお通夜など)
・葬式での読経料など、お寺へのお礼
・死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

 
ただし、香典返しのための費用、法事の費用、墓石や墓地の購入や借り入れにかかった費用は、遺産総額から差し引けません。
 
ここで、墓地は祭祀財産なので相続財産にならないのでは?と思われますが、それは被相続人の生前にすでに墓地や墓石があった場合です。被相続人の死後に墓地や墓石を買っても、その費用は相続財産から引けません。
 

一身に専属したものって何?

ところで、第896条のうち、「被相続人の一身に専属したものはこの限りではない」とはどんなものでしょうか。それは、その人自身でないと意味がない、他人が替わってやることができない権利や義務です。
 
例えば、国家資格等はその本人に与えられたものなので相続できません。老齢年金の受け取りも、本人の死亡により終了します(ただし、被相続人が厚生年金を受け取っていた場合、遺族厚生年金の需給要因を満たしていれば、遺族が遺族厚生年金を受け取ることができます)。
 
父親が離婚した元妻との子どもに養育費を支払っていても、相続人である子どもが引き継いで支払うことはありません。しかし、元妻との子どもは相続人です。相続財産を引き継ぎます。
 
(引用・参考)
電子政府の総合窓口e-Gov「民法」
国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」
国税庁「税についての相談窓口」
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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