更新日: 2021.02.16 その他相続

相続のキホン! 死亡の3ヶ月後に被相続人の多額の借金を知った場合、相続放棄できる?

執筆者 : 新美昌也

相続のキホン! 死亡の3ヶ月後に被相続人の多額の借金を知った場合、相続放棄できる?
相続放棄は、被相続人が死亡した日から3ヶ月以内に手続きをする必要があります。この3ヶ月を超えた場合、相続放棄はできないのでしょうか。相続放棄について知っておきたい基礎知識について解説します。

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新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

相続放棄とは

民法では、人が死亡すると、その人の財産やすべての権利義務は相続人に承継されます。預貯金や不動産などのプラスの財産だけではなく、借金や保証債務などマイナスの財産も引き継がれます。
 
しかし、被相続人に多額の借金があった場合、相続人の意思に関係なく、引き継がせるのは酷です。そこで、民法では相続人の意思を尊重して、(1)単純承認、(2)相続放棄、(3)限定承認を認めています。
 
相続放棄をすれば「初めから相続人にならなかった」と見なされますので、多額の借金を引き継ぐ必要はなくなります。もちろんプラスの財産も相続しません。限定承認では、マイナスの財産をプラスの財産の範囲内で責任を負います。
 
相続放棄は単独でできますが、限定承認は相続人全員が共同して行う必要があります。
 
3ヶ月以内に家庭裁判所で相続放棄か限定承認の手続きをしなかったときに、単純承認をしたことになります。相続人が遺産の一部を売却したり、使ったり、隠ぺいしたりした場合なども単純承認したと見なされる場合がありますので注意してください。
 

相続放棄が可能な期間

相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
 
しかし、相続人が被相続人にはマイナスの財産がないと信じたため3ヶ月以内に相続放棄をしなかったにもかかわらず、多額の借金があることを知ったのが3ヶ月後というだけで、相続人に多額の借金を相続させるのは酷な場合があります。悪徳業者の中には、3ヶ月を待って借金の請求をする業者もいます。
 
そこで、例外的に、相続人がマイナスの財産がないと信じることに相当な理由がある場合には借金を知った日から3ヶ月以内であれば相続放棄が可能とされています。
 

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相続放棄をするときの注意点

配偶者や子(第1順位の法定相続人)が相続放棄をすると、第2順位の法定相続人である被相続人の父母や祖父母が相続人になります。
 
被相続人に多額の借金がある場合、第1順位の法定相続人が相続放棄をした場合、第2順位の法定相続人が借金を引き継ぐというように、先順位者が相続放棄をすると、後順位者に遺産が引き継がれます。後順位者も相続放棄を望むのであれば、先順位者が相続放棄を認められた後に、相続放棄の手続きを行う必要があります。
 

相続放棄をすると生命保険金も受け取れなくなるの?

生命保険金は、生命保険契約に基づいて保険会社から保険金受取人に直接支払われます。保険契約者が受け取った保険金が相続によって保険金受取人に承継されるわけではありません。つまり、生命保険金は保険金受取人固有の財産ですので、保険金受取人が相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。
 
被相続人に多額の借金がある場合は、配偶者や子を受取人とする生命保険に加入しておくとよいでしょう。なお、同様に会社から支払われる死亡退職金も受取人が相続放棄しても受け取れます。
 

事前に相続放棄できる?

相続放棄はプラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合にするほか、遺産がプラスの財産だけの場合もできます。
 
例えば、被相続人(父)が「長男には生前十分してやったので遺産は次男にすべて相続させたい」といったケースで、長男も相続放棄に同意しているとき、長男は事前に相続放棄できるでしょうか。
 
民法では、相続放棄は、「相続開始があったことを知ったときから」となっていることからもわかるように、生前の相続放棄はできません。また、生前の相続放棄を認めてしまうと、「跡継ぎ」へ単独相続をさせるために相続放棄を強要される可能性があり、好ましくありません。
 
上記の被相続人の意思をかなえるには長男に遺留分の放棄をしてもらうという方法があります。遺留分は相続人に保証された遺産の最低限の取り分のことですが、相続放棄と異なり、家庭裁判所の許可を受ければ生前に行うことが可能です。
 
被相続人は、「私の財産はすべてC男(次男)に相続させる」という内容の遺言書を作成し、B男(長男)が被相続人の生前に家庭裁判所へ「遺留分の放棄許可」の申立を行い許可されれば、全財産をC男(次男)に相続させることが可能です。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
 

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