更新日: 2020.04.07 自動車保険

若いうちは自動車保険料が高いのはなぜ?子どもが免許を取ったら自動車保険はどうする

若いうちは自動車保険料が高いのはなぜ?子どもが免許を取ったら自動車保険はどうする
若者の自動車離れが進んでいる、という記事をよく見かけますが、私の住んでいる熊本では、中心地以外は交通の便があまりよくないので、車は生活に欠かせないものです。
 
18歳になれば免許を取り、通勤や通学の為に車を購入する場合も多く見られます。
 
そこで問題になるのが、高額な自動車保険の保険料です。10代や20代前半で加入する保険料は、30代や40代と比べてとても高いので、考える必要がありそうです。
田中栄二

執筆者:田中栄二(たなか えいじ)

AFP認定者 

2級DCプランナー
確定拠出年金相談ねっと 認定FP
福岡でのテニスコーチ業で、個々に適した伝え方や問題解決の基礎を学ぶ。その後「保険業は困ったときにこそ必ず人の役に立てる」と誘われ保険代理店の道へ。複数の保険会社・証券会社を取扱う会社に所属し、保障から資産運用までサポートしている。20年の保険業務と15年の証券業務の経験を持つ。「幸せな楽しい老後を送るための資金準備をしませんか?」の思いを伝えるべく確定拠出年金を活用した老後資金作りの相談やサポート業務、資産形成セミナーも行っている。

自動車保険料は何を基準に計算している

自動車保険の保険料は、自動車の種類(型式)、補償内容、運転者の年齢、過去の事故歴、運転者の範囲、使用目的、免許証の色、などをもとにして算出されます。
 
運転者の年齢種類は全年齢・21歳以上・26歳以上・30歳以上・35歳以上などがあります。年齢が若いと運転経験が浅いこともあり、事故のリスクが高くなるので保険料も高くなります。10代運転者の保険料は、35歳以上の運転者と比べて約3倍になることもあります。
 
また事故の内容や回数に応じて、契約者ごとに1~20までのノンフリート等級(以下等級と略)が設定されており、この等級に応じて保険料が割増引されます。
 
初めて保険に加入する場合は、6等級からスタートになります。1年事故がなければ1等級上がり、等級が上がるほど割引が増えるので保険料は安くなります。事故があれば3等級下がる仕組みになっています。さらに事故をした人は、悪い割引率を3年間使うことになりますので3年間は保険料が上がることになります(事故の種類では1年間の場合もあります)。
 
事故の経験がある人は知っていると思いますが「保険を使えば、翌年の保険料が上がる」のはこのためです。
 

親の車を借りて乗る場合

運転者の年齢は同居の家族に合わせます。このため子供が同居の場合は、子供の年齢に合わせることになるので、保険料はかなりのアップになります。子供が県外に一人暮らししている場合は、年齢は子供に合わせる必要はありません。
 
よくある質問が「子供の住民票はそのままにしているけど、県外の大学に行っているため一人暮らしをしています。年齢条件は変更しないといけないですか?」というものです。
 
あくまでも実態はどうなのかということで見ますから、この場合は別居の扱いになり、年齢条件は変更しなくてもいいことになります。たまに帰省した子供が運転しても保険は適用されることになります。
 
ただ運転者の範囲を夫婦限定にしている場合は、夫婦しか保険は適用されないので限定を外す必要があります。注意すべきは別居の子が帰ってきて同居するようになった時です。この場合は必ず子供に合わせた年齢条件の変更をしましょう。
 
年齢条件:35歳以上
運転者  本人  妻  同居の子 別居の子  他人
補償    ○   ○    ○    ○    ○
 

車を購入する場合

例えば、子供が自家用軽四輪乗用車を購入したとしましょう。前提条件として、親が乗っている車を子供は運転しないとします。親の車を運転すると、親の保険の年齢条件も変更しないといけないので、かなり保険料がアップします。
 
保険料を抑えたいのであれば、子どもが乗れる車を話し合っておくことも重要ですね。
 
対人、対物賠償:無制限
人身傷害:3000万円
常時運転する人:18歳
使用目的:通勤通学
親が加入している自動車保険の等級:20等級
という設定で、ある保険会社で試算してみました(保険料は年払)。
 
1. 新規(6等級)
約21万円
 
2. 親の車の2台目としてセカンドカー割引を使う(7等級)
約18万円
(セカンドカー割引とは、2台目の契約で1つ割引が進んだ7等級で契約できる制度です。ただ1台目の自動車保険契約の等級は11等級以上であることが条件です)
 
3. 親がかけている自動車保険の等級を譲ってもらう
約6万円(20等級)
この場合、自動車保険の対象の車を、親の車と子供の新規購入の車と入れ替えますので、親の車は“はき出されて”しまいます。このため親の車はその2台目として、セカンドカー割引を使った7等級で新しく契約することになります。
 
子供と同じ車の種類と内容(年齢は35歳以上)であれば、親の保険料は約2万円アップほどで済みます。
 
4. 親の中断している等級があれば利用する
(「中断制度」とは、解約などで使わなくなった自動車保険の等級を10年間“保存”しておくことができる制度です)
 
※保険料は概算で各保険会社によって異なります。
 
2.3.4.は同居をしていることが条件になりますので、等級を譲るのであれば同居しているうちに手続きすることが必要となります。
 
また軽自動車で試算しましたが、購入する車が普通乗用車であったらどうでしょう。車両保険を付帯するなど、補償をグレードアップしたら保険料はより高くなりますよね。保険料という支出を家庭全体で考えれば、一番安い方法を選ぶのがいいです。
 
事前に代理店や保険会社に伝えて、最善の方法を選択しましょう。
 

等級の意味

先日友人宅におじゃまして、19歳の息子さんと話をしたときに自動車保険の話題になりました。
 
「保険料が高い!」とぼやいていましたが、実はお父さんの20等級を譲ってもらっていたのです。保険の仕組みを説明し「等級をもらってないと今よりかなり高いよ。お父さんに感謝したほうがいいんじゃない」と伝えると驚いていました。
 
子供に保険を譲ると、親はまた振り出しに戻り、新たに契約を始めるため低い等級からスタートすることになります。
 
自動車保険をかけるのであれば、良い等級はお金と同じくらい価値のあるもので、いわば割引チケットのようなもの、しかもこれから先ずっと続きます。20等級であれば、最低でも13年事故がない(保険を使っていない)年を積み上げてきたものです。
 
親子だから譲るのは当たり前といってしまえばそうなのでしょうが、譲ってもらう子供には保険料が安くなるというメリットがあるだけでなく、ずっと事故を起こさない安全運転をしてきた結果という価値の大きさもぜひ知ってほしいものです。
 
※自動車保険(共済)は各社規定が異なります。詳細は保険会社に確認してください。
 
Text:田中 栄二(たなか えいじ)
AFP認定者 
2級DCプランナー
確定拠出年金相談ねっと 認定FP
 


 

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