年収「800万円」で定年を迎える夫。「退職後は健康保険料も下がるから安心」と言いますが、翌年も現役時代の年収が影響するのでしょうか? 退職後に備えておくべき保険料を確認
一方、退職前の健康保険を「任意継続」する方法もあります。年収800万円など比較的収入が高かった人の場合、どちらを選ぶかによって負担額に差が出る可能性があります。
本記事では、年収800万円で定年を迎えたケースを想定し、退職後の健康保険料の仕組みや備えておきたい金額について解説します。
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国民健康保険料には退職前の年収が影響する
退職して国民健康保険に加入しても、すぐに保険料が大きく下がるとは限りません。国民健康保険料には、前年の所得をもとに計算する「所得割」があるためです。
厚生労働省も、国民健康保険では前年所得を基準に所得割を計算するため、退職後に所得がなくても、退職前の高い所得をもとに高い保険料が算定される場合があると説明しています。
例えば、2026年中に会社員として働いて退職した場合、2027年度の国民健康保険料には2026年中の所得が反映されます。そのため、退職後に収入が大幅に減っていても、現役時代の所得の影響が残る可能性があります。
ただし、国民健康保険料の料率や計算方法は自治体によって異なります。そのため「年収800万円なら保険料は○万円」と全国一律にはいえません。退職前に住んでいる自治体へ問い合わせるなどして、保険料を試算しておきましょう。
年収800万円なら任意継続の保険料はいくらになる?
退職後には、勤務先で加入していた健康保険を一定期間続ける「任意継続」を選択できる場合があります。
協会けんぽの場合、任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額に保険料率などを掛けて計算します。「標準報酬月額」とは、毎月の給与などを一定の幅で区分した、社会保険料を計算するための金額です。
在職中は会社と本人で保険料を折半しますが、任意継続では会社負担がなくなります。そのため、原則として本人負担は在職中の約2倍になります。
ただし、協会けんぽの任意継続には標準報酬月額の上限があり、2026年度は32万円です。退職時の標準報酬月額が32万円を超えていても、任意継続の保険料は32万円を基準に計算されます。
例えば神奈川県では、2026年度の健康保険料率は9.92%(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)、子ども・子育て支援金率は0.23%です。標準報酬月額32万円で介護保険第2号被保険者に該当しない場合、健康保険料などは月額3万2480円、単純に12ヶ月分とすると約39万円です。
なお、年齢などによって別途介護保険料がかかる場合があります。健康保険料だけでなく、退職後に発生する社会保険料全体を確認しておくことが大切です。
退職後は国保・任意継続・家族の扶養を比較しよう
退職後の健康保険には、主に「任意継続」「国民健康保険」「家族が加入する健康保険の被扶養者になる」という3つの選択肢があります。
どれが適しているかは、退職前の給与や前年所得、家族構成、退職後の収入などによって変わります。特に現役時代の所得が高い場合は、前年所得が反映される国民健康保険と、標準報酬月額に上限がある任意継続の保険料を比較しておきましょう。
扶養する家族がいる場合も注意が必要です。任意継続では条件を満たす家族を被扶養者にできますが、国民健康保険には会社の健康保険のような扶養制度がありません。
また、協会けんぽの任意継続を希望する場合、退職日の翌日から20日以内に手続きする必要があります。退職後に比較を始めると間に合わない可能性もあるため、退職前から保険料を確認しておくと安心です。
退職前に翌年の健康保険料まで確認しておこう
「退職すれば健康保険料もすぐに下がる」と考えるのは注意が必要です。国民健康保険の所得割には前年所得が反映されるため、退職直後は現役時代の所得によって負担が大きくなる可能性があります。
一方、協会けんぽの任意継続では、2026年度の標準報酬月額の上限は32万円です。神奈川県で介護保険第2号被保険者に該当しない場合、上限で計算した健康保険料などは月3万2480円、年間では約39万円がひとつの目安になります。
実際の負担額は居住地や年齢、家族構成などによって異なります。定年前に国民健康保険と任意継続をそれぞれ試算し、家族の扶養に入れる可能性も確認しましょう。退職翌年まで見据えて保険料を準備しておけば、収入が減った後の家計にも余裕を持たせやすくなります。
出典
厚生労働省 任意継続被保険者制度について(3ページ)
全国健康保険協会
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
