公開日: 2020.08.12 暮らし

複雑な持続化給付金の注意点

執筆者 : 吉野裕一

新型コロナウイルスの影響で、売り上げが減少した中小企業や個人事業主、フリーランスなどに対する「持続化給付金」として、中小法人は最大200万円、個人は最大100万円の給付金が支給されることになっています。ただし、この制度で給付対象外になった方や申請内容の不備となった方が多くなっているといわれています。
 
今回は持続化給付金の注意点などを考えてみました。
 
※この記事は、2020年6月23日時点の情報を基に執筆しています。
 
吉野裕一

執筆者:

執筆者:吉野裕一(よしの ゆういち)

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持続化給付金制度とは

経済産業省では持続化給付金について、「感染症拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金を支給します。」としています。
 
給付額は、中小法人等は200万円、個人事業主等は100万円で、昨年1年間の売り上げからの減少分が上限とされています。
 
基本的には、2020年1月からの売り上げが前年の同じ月と比べて50%以上減少した月があることが条件となり、2019年の年間事業収入から、2020年の対象月の月間事業収入を12乗した金額を引いた額が、中小法人等は200万円、個人事業主等であれば100万円を上限として給付されます。
 
例えば、前年の売り上げが1200万円で、毎月の売り上げが100万円、2020年3月の売り上げが20万円と大きく減少した中小法人の場合、
1200万円-(20万円×12ヶ月)=960万円
となり、上限の200万円が給付されることになります。
 
なお、この給付金は返還不要ですが収入となりますので、損金(個人の場合は必要経費)が上回らない限りは課税の対象です。
 

持続化給付金の注意点

この給付金のポイントは給付額が事業収入で計算されるという点です。法人では気にされる方は少ないかもしれませんが、個人事業主の場合、収入もさまざまであることや、確定申告を税理士に頼まず、ご自身で記帳をして提出される方も多く、所得の項目が事業所得ではない方もおられるようです。
 
中にはサラリーマンとして本業があり、副業として事業を行われている方もおられます。また、企業からフリーランスで仕事を受け、源泉徴収された報酬として収入を得られている方もおられ、確定申告の所得の項目が雑費であったり給与所得であったりするため、給付の対象外となっていたようです。
 
現在は、この所得の項目も幅広く対応するように要件の変更を進めているようで、今後、事業所得だけではなく、雑費や給与所得として確定申告書の一表に記載されていても給付の対象となる可能性が高くなります。
 

特に個人は注意が必要

個人事業主やフリーランスの方で特に注意が必要なのは、青色申告をされている方です。青色申告の場合、確定申告書B表第一表と青色申告決算報告書の提出が必要となります。
 
最近はe-Taxで申告を行っている方も多く、その場合は控えでも申請時に打刻される受付日時が印刷されていればいいのですが、なければ受信通知という申告者の氏名または名称、提出先税務署、受付日時、受付番号および申告した税の種類などが表示された、申告等データが税務署に到達したことを確認できるメール詳細が分かるものが必要となります。
 
また、直接提出された場合には、確定申告書B第一表の控えに収受印という税務署が受領した日時が入った印が押印してある書類が必要です。
 
この収受印は、第一表だけに押印されていることが多く、収受印が押印されていない青色申告決算書を申請書類として提出したことで、不備として処理されているケースがあるようです。こういった場合には、税務署に行き、納税証明書を発行しておく必要があります。
 

新規開業などに対する特例も

昨年開業したばかりで年間の所得自体は少額となってしまい、上記の計算式で計算すると給付対象外となってしまうケースなどに対する特例もあります。下記に、証拠書類や給付金額の算定に関する特例を列記しておきます。詳細は経済産業省の「持続化給付金申請要領(申請のガイダンス)」でご確認ください。
 

中小法人等の特例
  • 直前の事業年度の確定申告が完了していない場合
  • 申請書と証拠書類等の法人名が異なる場合
  • 創業特例(2019年1月から12月までの間に設立した法人に対する特例)
  • 季節性収入特例(月当たりの事業収入の変動が大きい法人に対する特例)
  • 合併特例(事業収入を比較する2つの月の間に合併を行った法人に対する特例)
  • 連結納税特例(連結納税を行っている法人に対する特例)罹災特例(2018年または2019年に発行された罹災証明書等を有する法人に対する特例)
  • 法人成り特例(事業収入を比較する2つの月の間に個人事業主から法人化した者に対する特例)
  • NPO法人や公益法人等特例(特定非営利法人および公益法人等に対する特例)

 

個人事業主等の特例
  • 2019年分の確定申告の義務がない、その他相当の事由により提出できない場合
  • 「確定申告期限の柔軟な取扱いについて」(令和2年4月6日国税庁)に基づき、2019年分の確定申告を完了していない場合、または住民税の申告期限が猶予されており、当該申告が完了していない場合。その他、相当の事由により提出できない場合
  • 新規開業特例(2019年1月から12月までの間に開業した者に対する特例)
  • 季節性収入特例(月当たりの事業収入の変動が大きい者に対する特例)
  • 事業承継特例(事業収入を比較する2つの月の間に事業承継を受けた者に対する特例)
  • 罹災特例(2018年または2019年に発行された罹災証明書等を有する者に対する特例)

 

まとめ

持続化給付金に関しては、給付の対象外となる多くのケースが顕在していることが申請受付の開始後に判明しているようですが、筆者は今後も特例や給付対象の拡大が見込まれると思います。また、申請サポート会場では詳しい制度の内容を聞くこともないままに、事務的に申請方法だけを説明される可能性もあります。
 
一度申請しても対象外だった方や対象外と諦めていた方も、今後の給付対象の変更などの情報は必ずチェックしておきましょう。
 
出典・参考
中小企業庁 持続化給付金
経済産業省 持続化給付金申請要領(申請のガイダンス)中小法人等向け
個人事業者等向け
 
執筆者:吉野裕一
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