更新日: 2020.11.17 その他暮らし

約200億円も? 「タンス全国百貨店共通商品券」に気を付けて

執筆者 : 大泉稔

約200億円も? 「タンス全国百貨店共通商品券」に気を付けて
新型コロナが流行して以降、近頃ようやく町に人が戻り始めました。感染予防対策をしつつ、多くの人が訪れる新宿駅にある百貨店に一歩足を踏み入れると、「あれ?」と声が出てしまうほど、人が少ない日があったりもします。昨今、百貨店離れが進んでいるのです。
 
そんな百貨店が発行する商品券の1つに「全国百貨店共通商品券」があります。本稿では、全国百貨店共通商品券について見ていきます。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

約500店ある百貨店で使える

全国百貨店共通商品券というと、贈り物などに対する返礼品として用いる場合もあるのではないでしょうか。
 
全国百貨店共通商品券は、日本全国の百貨店、およそ500店で使うことができます。百貨店に並ぶ品物やデパ地下の食品やスイーツの購入はもちろん、百貨店内のレストラン・喫茶店でも利用できます。
 
ただし、現金との交換はできません。また、QUOカードやその他の商品券、切手、印紙などの「お金に類似したもの」の購入にも使えません。さらに、これらの他にも百貨店が指定したものがあれば、利用できない場合があります。
 

「タンス預金」ならぬ「タンス全国百貨店共通商品券」?

全国百貨店共通商品券には有効期限がありません。そのため「タンス預金」ならぬ「タンス全国百貨店共通商品券」になってしまっていることがあるようです。「タンス全国百貨店共通商品券」は、約2000億円もあるという調査もあります(東京商工リサーチ記事より)。
 
贈答の品として全国百貨店共通商品券を受け取ったとしても、百貨店が近所にない場合、百貨店に行くまでの時間と交通費のことを考えると、足が遠のいてしまいがちです。特に、最近では百貨店が閉店してしまうこともあります。実際、山形県や徳島県には百貨店が1つもありません。
 
こういったことから、「タンス全国百貨店共通商品券」になってしまうこともあるのかもしれません。
 
しかし、実は百貨店以外のショッピングモール等でも、全国百貨店共通商品券を利用することができる場合があります。買い物をする際は、事前に確認することをおすすめします。
 

「タンス全国百貨店共通商品券」を無駄にしないために

もし、「タンス全国百貨店共通商品券」の状態になってしまっている全国共通商品券があれば、発行元の百貨店を確認してみてください。前述のとおり有効期限はありませんが、発行元の百貨店が倒産や廃業してしまった場合は、利用することができなくなってしまうからです。
 
日本百貨店協会のホームページには、「利用することができない百貨店全国共通商品券」の発行元として、10社が紹介されていますので参考にしてください。
 

破たんした百貨店が発行する全国百貨店共通商品券は、どうなるの?

もし、お手元にある百貨店全国共通商品券の発行元の百貨店が、今後、破たんするようなことがあったとしたら、どうなるのでしょうか。
 
発行元の百貨店が納めた保証金などで、ある程度の額まで現金で返還される可能性があります。ちなみに、2020年1月に破たんした百貨店の大沼の場合は、100%が返還されました。もしもの場合は、発行元に確認しましょう。
 

買い物の仕方が変化。全国百貨店共通商品券はどう使う?

最近、郊外にはアウトレットが展開していたり、通信販売の利用者が伸びていたりしていることからも分かるように、買い物の仕方が多様化しています。このような状況を踏まえると、全国百貨店共通商品券も、今後は利用することができるお店の数を増やしたり、通信販売にも利用できたりするなどの対応が求められるかもしれません。
 
「タンス全国百貨店共通商品券」をお持ちの方は、もしもの場合に備えて早めに使ったほうが良いかもしれませんね。
 
(参考・引用元)
財務省 東北財務局「株式会社大沼の商品券の発行保証金に係る債権の申出をした方へ(配当表の公表について)」
財務省 東北財務局「株式会社大沼商品券の還付申出受付は終了しました」
東京商工リサーチ「苦境の百貨店の切り札となるのか、タンスに眠る百貨店商品券」
東京商工リサーチ「百貨店離れ」止まらず 影響はアパレルブランドにも」
東京商工リサーチ「(株)大沼ほか1社」
日本百貨店協会「全国百貨店共通商品券」
日本百貨店協会「ご利用約款」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役


 

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