「富裕層」と呼ばれる人たちは、日本にどれくらいいる?
配信日: 2021.06.16 更新日: 2024.07.29
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
富裕層ってどんな人?
富裕層という言葉に明確な定義があるわけではありません。一般的にはお金や資産を多く持っている層とされていることが多いのですが、実際に何をどれくらい持っていれば富裕層なのか定義がされているわけではないのです。
それに対し、株式会社野村総合研究所は富裕層について、純金融資産(預貯金、株式、投資信託、一時払い生命保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた金額)を1億円以上5億円未満有している層を「富裕層」と定義しています。
この富裕層は2019年時点において124万世帯存在しています。これは全体の約2.3%ほどであり、富裕層は全体のうちごくごくわずかに存在していることが分かります。
ちなみに、純金融資産について5億円以上の保有額を誇る世帯を「超富裕層」と定義しており、全体の0.16%程度の割合で存在しています。
2019年の純金融資産保有額を階層別に見た保有資産規模と世帯数
保有純金融資産(兆円) | 世帯数(万世帯) | |
---|---|---|
超富裕層 (純金融資産5億円以上保有) |
97 | 8.7 |
富裕層 (純金融資産1億円以上5億円未満保有) |
236 | 124 |
準富裕層 (純金融資産5000万円以上1億円未満保有) |
255 | 341.8 |
アッパーマス層 (純金融資産3000万円以上5000万円未満保有) |
310 | 712.1 |
マス層 (純金融資産3000万円未満保有) |
656 | 4215.7 |
※NRI 「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」より筆者作成
富裕層の持つ資産ってどれくらい?
富裕層はわずか124万世帯で236兆円もの純金融資産を保有しています。対して純金融資産額3000万円未満のマス層と呼ばれる、いわば一般世帯は4215.7万世帯で合計した純金融資産の保有額は656兆円のみです。
つまり、富裕層はマス層の3%ほどの人数でマス層全体の36%ほどの資産を保有していることになります。
富裕層の持つ純金融資産は2103年以降、2019年まで一貫して増加の一途をたどっています。コロナ禍においては多くの経済指数が悪化している中、株式に関しては高水準をキープしているため、富裕層にはこれからまたさらに富を蓄えていく方が増えてくる可能性もあります。
富裕層は資産について常に考えている
富裕層はわれわれより多くの純金融資産を保有しているだけあって、コロナ禍においても金融資産について考えていたようです。コロナ禍で富裕層がどのように考えていたか、「NRI富裕層アンケート調査」から筆者が一部抜粋してみました。
コロナ禍で起きた考えの変化 | 該当する人の割合 |
---|---|
資産よりも自身の事業や会社が心配になった | 53% |
経済の先行きを含め資産管理および運用に関する情報収集を積極的にするようになった | 47% |
割安になった株式や債券に追加投資した | 37% |
分散投資やポートフォリオに関する意識が高まった | 31% |
相続や事業承継の好機と捉えた | 26% |
※NRI 「野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」より筆者作成
このように、純金融資産を多く有する富裕層は普段から資産のことを考えている方が多いようで、コロナ禍のような混乱にあっても、資産について冷静に見ているようです。富裕層を目指すに当たっては、まずは日頃から資産について考えていくことが大切だといえそうです。
富裕層と呼ばれるような超お金持ちは日本に2.3%ほどしかいない
日本において、純金融資産を1億円以上保有しているような「富裕層」と呼ばれるような方は全体で約2.3%とごくわずかでした。富裕層はやはり常に資産について考えており、コロナ禍においても冷静に情勢を考えて行動されていた方が多かったようです。
富裕層について気になっている方は今回のデータを基に、どう行動していけば富裕層となることができるか考えてみるのも面白いかもしれません。
出典
NRI 野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計
執筆者:柘植輝
行政書士