そんなふじみ野駅は｢富士見市｣にあります。ところがややこしいことに、隣に「ふじみ野市」があります。こうして文字にすると、一層ややこしくなる気もしますが、｢ふじみ野市にふじみ野駅がなく、ふじみ野駅は富士見市にある｣という状況になっています。どうしてそんなことが起きたのでしょう。
執筆者：藤木俊明（ふじき としあき）
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
合併を見越して富士見市に「ふじみ野駅」開設
2000年に「富士見市・上福岡市・大井町・三芳町合併協議会」※1が立ち上がり、二市二町が合併に向けて話し合いを始めます。
富士見市にふじみ野駅が開業した時には、将来的に合併することを見越して駅名を「ふじみ野」に決めていたわけです。
しかしその後、二市二町の合併は不成立に終わり、富士見市と三芳町は合併話から退いてしまいます。ところが2005年に残りの上福岡市と大井町が合併に合意。ふじみ野市を名乗ることになりました。※2
ふじみ野駅のある富士見市は蚊帳の外にされたわけです。これについては、当時の市長は不満を表明していたようです。※3
そんな中富士見市は、2010年にふじみ野駅の周辺を「富士見市ふじみ野東」「富士見市ふじみ野西」と命名してしまいます。
実はふじみ野市にもふじみ野という地名があります。富士見市がふじみ野市に向けて「うちこそふじみ野だ」と宣言しているように見えるのは筆者だけでしょうか……。
副都心線開通で渋谷、横浜に直通
そんなことがありつつも、ふじみ野駅じたいは、前述のようにTJライナーが停車しますし、副都心線の直通電車もありますので、池袋はもちろん新宿三丁目、渋谷、横浜までアクセス便利です。また近くにはイオン大井（ふじみ野市）やららぽーと富士見（富士見市）などのショッピング施設があり、買い物も便利です。
あと、富士見市は“ももいろクローバーZ”の元メンバー有安杏果さんが小学生時代を過ごしたことから同グループと縁が深いのも有名です。※4※5
副都心線開通で渋谷、横浜に直通
ふじみ野駅は住居表示のややこしさに目をつぶれば、池袋まで30分足らずという便利な駅なのです。では賃貸での家賃相場はどうでしょうか。
（注）家賃相場は筆者が2022年1月5日現在大手賃貸サイトで調べた主観的なものであくまで参考とさせてください。
■ワンルームタイプ（15～25平方メートル/駅から徒歩10分以内）
木造アパートタイプなら3万円台、マンションタイプなら4万円台で物件がいろいろありますね。マンションタイプでも広さが20平方メートルを超えると5万円台になるという印象です。徒歩10分どころか、5分程度の駅近物件も多そうですね。
■ファミリータイプ（50～80平方メートル/駅から徒歩10分以内）
2DKもしくは2LDKマンションタイプの物件が、8万円台でいろいろ出てきますね。60㎡を超えると9万円台の物件が目立ちます。ファミリータイプでも駅近物件は出てきますね。徒歩1分、徒歩3分の物件が散見されます。
まとめ
住居表示のややこしさに目をつぶれば、ふじみ野駅は都心に出やすく、川越にも行きやすい利便性の高い駅です。その割に家賃のコスパも悪くなさそうです。
駅周辺にはショッピング施設や外食できるところも充実しており、ひとり暮らしでも、ファミリーでも暮らしやすいのではないかと思われます。引越し時期、勤務先によっては検討したい駅です。
※1 「各地に広がる市町村合併の動き」（総務省）
※2 「合併協議会の概要」（ふじみ野市）
※3「平成17年第1回定例会行政報告」（富士見市長）
※4「ももクロからつなげるオモイ」（富士見市）
※5「富士見市PR特別大使」（富士見市）
執筆者：藤木俊明
副業評論家
