甘い言葉のメッセージ、投資詐欺の入り口かも

SNSやマッチングアプリで知り合い、メッセージでやり取りしていたら良い感じに……。インターネットの普及で、このように知り合う相手は国内だけにとどまりません。
 
相手に恋愛感情を抱かせて、その感情を利用して高額な商品を買わせる「デート商法」や、何かと理由を付けて次々とお金を出させる「国際ロマンス詐欺」の被害に、国民生活センターが注意喚起をしています。
 
中でも、良い感じになった人に勧められ、「実態の分からない海外サイトへの投資をさせられ、資金を引き出せない」というロマンス投資詐欺被害が、2020年、2021年と大きく増加しています（国民生活センター令和4年3月3日公表資料より）。

最初は引き出せたのに……

被害に遭わないためには、手口を知っておくことが大切です。国民生活センターの4年3月3日公表資料より、被害に遭う流れを見てみましょう。
 
マッチングアプリ等で知り合い、無料会話アプリに誘導され、海外の投資サイトへの投資話を勧められます。少額を投資したところ、利益が出て、資金も引き出せました。これで、安心してしまうのですね。
 
その後、「元金が大きいと利益も大きい」と、勧められるまま次々と投資をします。銀行や消費者金融から借りてまで投資した人もいます。
 
しかし、つぎ込んだ投資資金を引き出そうとした時に、さらなる支払いを要求されます。「所得税」「保証金」「手数料」「マネーロンダリング疑いの納入保証金」「口座凍結解除金」など、支払わなければ引き出せないどころか、要求どおりに支払っても資金を引き出せないケースもあります。
 

その業者、金融商品取引業の登録がありますか？

出会い系やマッチングアプリで知り合った人の指示で、投資をしてはいけません。投資詐欺を回避する方法を知っておきましょう。
 
投資をする場合に真っ先に注意するべきこと、それはその投資先が「金融商品取引業の登録（日本の金融商品取引法に基づく登録）」があるのか確認することです（金融庁ホームページ「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」を参考にしてください）。
 
海外の業者であっても、日本人相手に金融商品取引業を行うには、登録しなければなりません。暗号資産でも同様です。違反者は罰金の対象になります。いくら誘われても、登録のない業者には投資してはいけません。ここで、投資詐欺に遭うことを防げます。
 
投資は自己責任です。「あの人が良いと言ったから」ではなく、自分で調べて投資に値すると思った場合に、余裕資金の範囲内で投資をしましょう。消費者金融から借り入れて投資するなどもってのほかです。
 

相手に不審な点はありませんか？

せっかく仲良くなった相手の勧めを断ると、嫌われるかも……と、不安になりますね。しかし、そこで冷静になってください。やたらと甘い言葉をささやくその相手に、不審な点はありませんか？
 
出会い系サイトやマッチングアプリの相手が、偽りの登録をしているケースもあります。
 
マッチングサイトから無料会話サイトへ移動してやり取りし、投資話を持ちかけられますが、マッチングサイトや出会い系サイトの利用規約で、物やサービスの勧誘を禁止しているところがあり、トラブルを防ぐため、運営側が利用者のやり取りをモニタリングしています。
 
また、利用規約で外部サイトや外部サービスへの誘導を禁じているサイトもあります。
 
規約に違反する行為を持ちかけてくるような相手とは、やり取りをしないようにしましょう。迷惑行為があったら、サイトの運営に報告しましょう。同様なトラブルの拡大防止に役立ちます。
 

被害に遭った場合は、どうすれば良い？

万が一被害に遭ったら、188（消費者ホットライン）に相談しましょう。海外の事業者とのトラブルは、国民生活センター越境消費者センター（CCJ）でも相談　できます。
 
また、国内の金融機関に振り込んだ場合は、振り込め詐欺救済法の適用も考えられます。振込先の金融機関にも問い合わせましょう。借金させてまで投資させるのは、本当にあなたのためを思って勧めているのでしょうか。冷静になることです。
 

出典

国民生活センター　ロマンス投資詐欺が増加しています！ –その出会い、仕組まれていませんか– （令和4年3月3日公表資料）

国民生活センター　マッチングアプリで知り合った女性にダイヤモンドを購入させられた。もしかして、デート商法！？（2020年8月13日公表）

国民生活センター　愛のギフトを受け取ってほしい！？ それってもしかして「国際ロマンス詐欺」？　（令和2年2月13日公表資料）

国民生活センター越境消費者センター（CCJ）　ホームページ

金融庁　無登録の海外所在業者による勧誘にご注意ください
金融庁　免許・許可・登録等を受けている業者一覧
 
執筆者：林智慮
CFP(R)認定者