私とあなた。同じ給料。手当てや控除も同じ・・なぜ【手取り】が違うのか

配信日: 2018.05.17 更新日: 2019.09.03

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私とあなた。同じ給料。手当てや控除も同じ・・なぜ【手取り】が違うのか
東京で同じ大学を卒業したソウタ君とタカヒロ君は、それぞれ地元の企業に就職しました。サークルも同じだったのでとても仲が良く、卒業後も連絡を取り合っています。
 
4月の初の給料日、手当も含めて手取り金額が同じことが判明しました。
 
「雇用保険料、源泉所得税が引かれている。会社が出してくれる金額が全部もらえないんだね」
 
そして、5月の給料日、手取り金額を見て2人はまたまたビックリします。4月より少ないのです。そのことを話題に話していると、なんと、4月は同じ手取りだったのに5月は1000円近い差があることが判明。
 
同じ給与で、ともに控除できるものが何もない2人。話をしつつ、それぞれ4月と5月の給与明細を取り出します。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

健康保険料や厚生年金保険料は、翌月徴収されます

給与明細を見ていくと、4月は雇用保険料と源泉所得税だけ引かれていたのに、5月は厚生年金保険料、健康保険料も徴収されていました。
 
雇用保険は、毎月の総支給額に保険料率が掛けられて徴収されますが、健康保険料や厚生年金保険料は翌月に徴収されます。
 
厚生年金保険料は、原則4、5、6月の給与の平均から標準報酬月額を求め、等級に応じて保険料を決定します。4月の新入社員の場合は給与実績がありませんので、5月、6月を見積もり、標準報酬月額を求め、保険料を決定します。
 
8月まで、保険料は原則固定です。途中に昇給等で大きく給与が変わり、2等級以上の変動があった場合は、随時改定を行います。
 
そして、9月から翌年8月まで、実際に支給した4、5、6月の給与から求められた標準報酬月額の等級により、決定された保険料が適用されます。
 
健康保険料も、厚生年金と同様に標準報酬月額の等級に応じて保険料が決定します。保険料は、等級が見直される9月のほか、保険料率が見直される4月にも変更されます。
 

全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料率は都道府県ごとに違う

2人がそれぞれ給与明細を照らし合わせていくと、健康保険料の金額が違うことがわかりました。ともに協会けんぽ(全国健康保険協会)加入で、タカヒロ君は佐賀県、ソウタ君は新潟県です。
 
協会けんぽの保険料率は都道府県によって違います。標準報酬月額が20万円、17等級の場合の協会けんぽ従業員負担額は、佐賀県は1万610円、新潟県は9630円と、毎月980円の差があります。
 
平成30年3月からの保険料率で、最も高いのが佐賀県の10.61%、反対に最も低いのが新潟県の9.63%です。昨年も佐賀県が最も高く、新潟県が最も低くなっています。今年はさらに格差が広がりました。
 
47都道府県中、昨年と比べて保険料率が上昇したのが18道府県、引き下げが24都県、横ばいが5県でした。
 
保険料率は、地域の加入者の医療費に基づいて算出されています。医療費が下がれば保険料率も下がることになります。
 

さらに翌年年6月から住民税が引かれる

給与は全額受け取れるのではなく、雇用保険、健康保険、厚生年金保険が引かれ、さらに源泉所得税が引かれます。
 
しかし、給与から引かれるものはそれだけではありません。入社2年目の6月から、さらに住民税が引かれます。給与所得者の住民税は、前年の所得を基に決定した税額を、6月から翌年5月まで12カ月に分けて徴収します(特別徴収)。
 
ほかに、年に4回、個人で納める普通徴収がありますが、普通徴収にしても特別徴収にしても、決定した税額をただ分割して納めるだけですから合計額は同じです。
 
課税所得に対する税率は全国一律10%ですが、都道府県により均等割り等で税額が違ってきます。
 
さて、来年の6月の給料日に、2人は給与明細を見てどんな顔を見せてくれるでしょうか。
 
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP®認定者・相続診断士 ・終活カウンセラー ・確定拠出年金相談ねっと認定FP


 

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