「聖地巡礼」で地域活性化！アニメツーリズムの事例とその経済効果

日本が世界に誇るコンテンツでもある「アニメ」。架空の世界が描かれることもありますが、近年では、物語の舞台が現実に存在するものや、モデルとされている土地がある物語も増えました。
 
多くのアニメファンは、実際の土地を訪れることで、よりそのアニメの世界に触れることができると「聖地巡礼」として人気を集めています。

聖地巡礼とはどのようなものか

アニメの聖地巡礼とは、アニメ作品内で実際の舞台となった場所や、ゆかりのある場所を巡ることを指します。聖地巡礼は、アニメツーリズムとも呼ばれ、海外からの観光客にも、クールジャパン・コンテンツとして人気を集めています。
 
聖地巡礼とは、具体的には以下のことを指します。

●アニメの舞台となった場所を訪れる
●作品に関連した施設や博物館・資料館などを訪れる
●アニメ作者の出身地などのゆかりの地や記念館を訪れる

さらに、2016年には「一般社団法人アニメツーリズム協会」も発足し、国内外に最新の情報を発信しています。このように聖地巡礼は、アニメ人気とともに、今も人気が拡大している、日本が誇るべきコンテンツです。
 

アニメツーリズムの経済効果

聖地巡礼のスポットは、東京都や関東地方を中心に、全国各地に存在しており、今や、全国で80を超えるとされています。そのため、聖地巡礼は全国各地で行われており、観光や宿泊がてら、その土地を訪れることも少なくありません。この影響により、周辺地域にも経済効果が表れています。
 
アニメをきっかけに、さまざまな土地を訪れる人が増えるため、今まで知られていなかった土地の認知度が上がり、観光資源としての魅力が増して、観光地として注目されるようにもなります。
 
日本のアニメは、世界からも注目されているコンテンツです。外国人観光客向けに、聖地巡礼と、その土地で日本文化や地域資源を取り入れた体験やツアーなどを行うことは、インバウンド効果も高めます。
 

『君の名は。』岐阜県飛驒市の事例

2016年8月に公開された『君の名は。』は、国内累計動員数1928万人、興行収入251億円を記録した、大ヒットアニメ映画です。アニメに登場する二人の主人公が、東京都と岐阜県をモデルにした地に住んでいることから、物語に関連した聖地巡礼スポットが人気を集めました。
 
岐阜県飛驒市は、聖地巡礼の地として話題になると、町おこしとして、飛驒市内の聖地マップの作成や、市の公式SNSでの広報活動などを行っています。神社や図書館などのスポットを巡るツアーや、物語に登場する「組紐（くみひも）」作り体験などを企画しました。
 
このように、行政が積極的に聖地巡礼の環境づくりを行った結果、日本だけではなく、海外からの訪問も多く、今も人気の聖地巡礼地となっています。
 

『心が叫びたがってるんだ。』埼玉県秩父市・横瀬町の事例

2015年9月に公開された『心が叫びたがってるんだ。』の舞台は、埼玉県の秩父市と横瀬町で、東京からも比較的訪れやすい点と、豊かな自然が人気を集めています。
 
季節ごとに楽しめる自然のなかでも、秩父市の羊山公園にある「芝桜の丘」は、美しくデザインされた芝桜が人気のスポットです。また横瀬町では、江戸時代の信仰巡礼の地である「秩父三十四箇所観音霊場」の、札所十番となる大慈寺をはじめとした、趣のある寺院を巡ることもできます。
 
『心が叫びたがってるんだ。』も『君の名は。』と同様に、地域が町おこしとして、聖地巡礼関連の活動に力を入れており、観光と一緒に、関連商品なども楽しめるため、経済効果も生まれています。現在も、定期的にアニメや聖地に関連したイベントを開催して、多くの人々の関心を集めています。
 

聖地巡礼の今後

これからも、アニメから多くの聖地が誕生していくなかで、その土地をより豊かにしていくためには、聖地巡礼を生かした地域活性が欠かせません。
 
アニメ作品と関連した、周辺観光地の整備や観光への誘導など、地域や行政の協力と、国内外のインフルエンサーと協力した、SNSなどを利用した広報活動が必須です。その土地に住む人への配慮をして生活を守りながら、多くの人々が聖地を訪れることで、認知と発展を促していくことが大切です。
 

出典

一般社団法人アニメツーリズム協会
　アニメツーリズム協会の概要
　訪れてみたい日本のアニメ聖地88
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー