田舎暮らしのため、救急搬送のときは「ドクターヘリ」を呼びたい…!無料で呼ぶことはできますか？

住んでいる場所の近くに医療機関がなく「急な病気やけがに早急に対応してもらえるか不安」という方もいらっしゃるかもしれません。
 
救急の場合は119番へ通報して救急車を呼びますが、場合によってはドクターヘリが出動することもあります。そもそもドクターヘリは個人で呼ぶことはできるのでしょうか。
 
今回は、ドクターヘリはどのような場合に出動するのか、またドクターヘリで救急搬送された場合の費用について解説します。

ドクターヘリを個人で呼ぶことはできない

ドクターヘリは救急車と違い、個人で要請することはできないようです。なぜなら、ドクターヘリは一般的に通報を受けた消防本部司令室が通報の内容から必要性を判断し、出動を要請するためです。
 
ドクターヘリが必要と判断されるのは、以下のような場合です。（市立釧路総合病院　「ドクターヘリに関するQ&A」を参照）
 

●大事故や大きなけが、急な病気（心筋梗塞、脳卒中）などで生命の危機にひんしている場合
●救急現場で医師の早期診療が必要と思われる場合

 
ドクターヘリと救急車は役割が似ていますが、特定非営利活動法人（NPO） 救急ヘリ病院ネットワーク（HEM-Net）によると、以下のような違いがあるようです。
 

●救急車は、傷病者を医療機関に早急に搬送する。必要時、応急手当を行う。
　患者が搬送されてくるのを医師が待つかたち。
●ドクターヘリは、医師が直接救急現場へ行く。
　傷病者にすぐに治療を開始し、その後適切な医療機関へ搬送する。

 　
ドクターヘリの機内には、初期治療に対応するために必要な医療機器、医薬品が備えられています。
 

ドクターヘリで搬送された場合、費用はかかる？

ドクターヘリで搬送された分に関しては、自己費用はなく、国や自治体からの補助金で負担されるようです。
 
ただし、救急現場で受けた治療に関しては一般の病院で治療を受けた時と同様、保険診療の範囲内で費用負担が発生します。
 
市立釧路総合病院　「ドクターヘリに関するQ&A」によると、主な費用負担の項目は以下の通りです。
 

●初診料
●往診料
●処置料

 
これらが医療機関から請求されます。
 

そのほかドクターヘリが出動するタイミング

ドクターヘリは、特に緊急性の高い病気やけがを早期診療するために出動しますが、そのほかにも活動する場面があります。
 

医療過疎地域で活用されるパターン

ドクターヘリは「地域医療」にも貢献しています。
 
山あいや離島などのへき地といった、身近なところに医療機関のない「医療過疎地域」の住民を医療機関へ搬送するための手段にもなっています。
 
また、高度な医療機関がない場合や救急体制が不十分なことも課題のひとつです。医療過疎地域に住む住民の「医療格差」を補うためドクターヘリを活用しています。
 

大規模災害が起こった場合

大規模災害が起こった場合には、たくさんの傷病者が発生するでしょう。その傷病者を短時間で、被災地外の医療機関へ搬送するための役割も担っているようです。
 

ドクターヘリは個人では呼べない

ドクターヘリは個人で呼ぶことはできず、119番通報を受けた消防本部司令室が必要と判断した場合に出動を要請します。
 
急なけがや病気の際は、まずは119番通報をして指示を仰ぐといいでしょう。
 
前述したように、ドクターヘリは医療過疎地域において活動を行うこともありますが、地域の地理的条件や医療提供の状況によります。
 
あらかじめ、お住まいの自治体に救急医療の体系について確認しておくのがいいでしょう。
 

出典

特定非営利活動法人（NPO） 救急ヘリ病院ネットワーク（HEM-Net）「ドクターヘリを知る」

市立釧路総合病院　「ドクターヘリに関するQ&A」

 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー