更新日: 2019.01.10 暮らし

これからの住宅購入で考えておくべきこと

執筆者 : 川上壮太

これからの住宅購入で考えておくべきこと
2018.8月現在、住宅ローンの変動金利には0.5%以下のものがあり、非常に低い金利水準にあります。固定金利のフラット35でも、20年~35年の借入期間で団体信用生命保険に加入の場合、1.3%強と低い金利にとどまっています。
 
結婚した、子供が生まれた、という人生の節目を迎えられたご家庭では、この機会に家を買いたいと考えられる方も多いことかと思います。
 
賃貸では、支払ったお金は消えていくだけです。長期の住宅ローンであれば、賃貸料と同額程度の支払いで、家が自分のものになる訳ですから、家の購入を考えるのは当然の流れと思います。長期間、大きな負債を抱え続けることにはなりますが、団体信用生命保険など、リスクに備える仕組みもあります。
 
考えておかなくてはならないのは、将来の家族の生活の見通しです。IT、AI、自動運転技術などの技術の進展で、社会全体の仕組みが変化していく兆しが数多くあります。会社での働き方や、地域社会での暮らし方も、これまでと比べ大きく変化する可能性があります。
 
リモートオフィスや在宅勤務が増え、通勤が減るかもしれません。通勤に便利な立地であることを考慮しなくて良くなれば、住宅を選ぶ条件の自由度が大幅に上がるでしょう。
 
本稿では、これからの社会の変化を想定し、住宅の購入について、考えてみたいと思います。
 
 
川上壮太

Text:

Text:川上壮太(かわかみ そうた)

CFP認定者、DCプランナー

京都大学工学部修士卒。精密機械メーカー勤務の後、FP事務所サニーサイド・ファイナンシャルプラニングを開設。日本FP協会電話相談員等を経験するとともに、多数のFP相談に対応してきた。生命保険募集人・証券外務員の資格を取得し、金融関係業務の実情にも詳しい。現在は神奈川県を中心に、主に子育て世代のライフプラン作りの相談に応じている。
http://www.sunnysidefp.jp/

川上壮太

執筆者:

Text:川上壮太(かわかみ そうた)

CFP認定者、DCプランナー

京都大学工学部修士卒。精密機械メーカー勤務の後、FP事務所サニーサイド・ファイナンシャルプラニングを開設。日本FP協会電話相談員等を経験するとともに、多数のFP相談に対応してきた。生命保険募集人・証券外務員の資格を取得し、金融関係業務の実情にも詳しい。現在は神奈川県を中心に、主に子育て世代のライフプラン作りの相談に応じている。
http://www.sunnysidefp.jp/

技術革新と働き方改革は、購入する住宅の立地にどう影響するか?

「2030年展望と改革タスクフォース報告書」(平成29年第1回経済財政諮問会議資料)によれば、2030年にかけて 20代、30代の若い世代は約2割減少し、生産年齢人口の減少が加速する一方、75歳以上の人口は約4割増加すると予測されています。さらに、タスクフォース報告書によると2030年には、
 

◇終身雇用、定年制、年功序列型賃金システムが、生涯現役で、成果を反映した報酬体系に変わっていく

◇働く場所・時間を自分で選択でき、副業・兼業、複数の企業やプロジェクトに従事したり、在宅勤務を選べるなど、働き方の選択肢が拡大する

◇(在宅勤務などにより)通勤混雑による苦痛はなくなっている

◇テレワークの進展や移動手段の多様化・高速化で、場所の制約を受けずに働くことが容易になる

◇都市部への一極集中の是正や中古住宅市場の活性化で、都会においても住宅コストが低廉化する

◇見守りサービスなどが充実し、育児・介護と両立しながら働くことができる

◇男性の育休取得が当たり前になり、子育てによるキャリア断念や介護離職がなくなっている

 
などという楽観的な予測がなされる一方、
 
■広告・教育・金融・警備・物流・介護等、多岐にわたる分野で AI あるいはロボットの活用が進み、人が行う仕事が代替されていく

■人口減少に伴い、地域における人口の希薄化・過疎化、買い物難民や医療難民の増加などにより、生活の質が低下する可能性がある

■少子高齢化の先行地域と、人口・経済機能の集積地域との間で、サービスの質や交流人口、若年の雇用の場など、活力の格差が拡大する恐れがある

■働き方改革、子育て環境整備に加え、健康長寿時代に対応した持続可能な社会保障制度の構築が課題となる
 
などの課題、懸念も示されています。
 
これは、遠い将来のことではなく、2030年という10年ちょっと先の予測です。就業場所と住まいの立地という点だけに絞って考えても、さまざまな可能性が見られます。
 
都市中心部に近い立地でも、いまより容易に住居が持てる可能性も指摘されていると同時に、都市中心部以外の場所でゆとりを持って働くことのできる環境が整うことも期待されています。
 

人口減少社会での不動産価値の動向

視点を移し、不動産市場から見た住宅の価値はどうなっていくでしょうか。「2030年住宅市場と課題」(野村総合研究所、2018年6月13日)には、次のような予測値が掲載されています。
 
◇住宅の平均築年数が22年から29年へ伸びる(野村総合研究所推計)

◇新設住宅着工数は現状の年95万戸から2030年には年60万戸に減少する(野村総合研究所推計)

◇空き家数が2018年の約1030万戸から2030年には1750万戸まで増加する
 
※空き家のうち52%は賃貸用、5%は別荘等、4%は売却用で、残りの39%が用途の定まらない空き家(国土交通省の2013年の資料「空き家等の現状について」より)
 
ここ数年、都心のタワーマンションなどの値上がりが続いていますが、以上の記載からも、住宅が供給過剰であることは間違いないと思われます。人口が減少していく中、ごく特別な住宅以外は、新築物件であっても、資産価値の低下が思いのほか早く進むことを覚悟しないといけません。
 

まとめ

(1)これからの働き方は、会社に出社する制約が減る傾向にある

(2)多額の資金を投じた住宅でも、資産としての価値を高く維持するのは増々難しくなる
 
以上を踏まえれば、子供が生まれた時点で、将来の収入の大半がローン返済のために必要となるような、高額な住宅ローンを組むことは得策ではないことが分かると思います。現在の通勤が大変なので、通勤に適した立地を最優先に、住宅の建設を考えるのが良いのかについても、検討の余地があるでしょう。
 
結果として、しばらくは賃貸で、将来の働く環境の見通しを探ることもあるでしょうし、当面は売却のし易い駅近の狭いマンションの購入で我慢するという選択肢もあるかもしれません。この地区のマンションは値上がりを続けていますよとか、消費税が10%になる前に購入した方が良いですよ、という勧めに安易に乗らない慎重さが求められます。
 
Text:川上 壮太(かわかみ そうた)
CFP認定者、DCプランナー

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