もうすぐ1歳になる我が子、将来を見据えて「幼稚園受験」を検討しています。私立幼稚園は「月謝も高額」ですが、「世帯年収600万円」では無謀でしょうか？

子育てにおいて、学費は大きな出費の一つです。私立の教育機関は学費も高額になるため、世帯年収と照らし合わせて進学先を選択する必要があります。本記事では、幼稚園受験を検討する方に向け、私立幼稚園の学費や、適した世帯年収について解説します。

私立幼稚園の費用は「年間約35万円」

私立幼稚園の学費は、一年あたり約35万円です。幼稚園の学費を年齢ごとにまとめると、以下のようになります。
 
表1

年齢	私立	公立
3歳	33万5350円	14万9591円
4歳	32万3783円	16万6969円
5歳	37万8954円	21万5617円
合計	103万8087円	53万2177円

出典：文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要」を基に筆者作成
 
私立幼稚園の場合、学費は公立幼稚園の約2倍です。同調査によると、私立幼稚園の学費においては授業料（26.1パーセント）に次いで、通学関係費（25.9パーセント）が高い割合を占めています。通学関係費の具体的な例としては、通学の交通費、制服などが挙げられます。公立幼稚園に通わせる場合よりも、高い年収が必要であるといえるでしょう。
 

子どもを私立幼稚園に通わせる世帯は「年収600万円～799万円未満」が最多

子どもの進学先は、世帯年収に影響されるようです。年収が高い世帯ほど、子どもを私立幼稚園に通わせる傾向があります。表2は、それぞれの幼稚園に通う世帯年収の割合をまとめたものです。
 
表2

年収	私立(パーセント)	公立(パーセント)
400万円未満	8.8	16.6
400万円 ～ 599万円	23.7	34.4
600万円 ～ 799万円	31.9	28.0
800万円 ～ 999万円	17.2	11.4
1000万円～1199万円	8.5	4.1
1200万円以上	9.9	5.4

出典：総務省統計局「文部科学省 令和5年度子供の学習費調査」を基に筆者作成
 
私立幼稚園の場合、年収600万円〜799万円未満の世帯が最多であり、次いで400万円〜599万円世帯の割合が大きくなっています。よって、年収600万円であれば、子どもを私立幼稚園に通わせるのは不可能ではないでしょう。
 

私立幼稚園も一部は「幼児教育・保育の無償化」の対象に

2019年10月から、幼児教育・保育の無償化が始まりました。こども家庭庁のホームページに「幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全てのこどもたちの利用料が無償化されます」とあるため、私立幼稚園の学費も対象になります。
 
ただし、幼稚園の免除額上限はひと月当たり2万5700円で、通園送迎費・食材料費・行事費などの負担額は変わりません。このような制度があることからも、子どもを私立幼稚園に通わせるハードルはかなり下がるでしょう。
 
なお、子ども・子育て支援制度の対象にならない幼稚園に関しても、市町村によっては手続きをすることで無償化、償還払いを受けられる可能性があります。必要に応じて役場に相談してみましょう。
 

まとめ

私立幼稚園の学費総額は約103万円です。公立幼稚園と比べると高額であるため、子どもを通わせるには比較的経済的余裕があった方がいいかもしれません。
 
私立幼稚園に通っている子どもの世帯年収は、600万円〜799万円未満が最多です。年収600万円の世帯であれば、決して無謀ではないといえます。幼稚園受験は、家計の状況と学費総額を踏まえて検討してみましょう。
 

出典

文部科学省　令和5年度子供の学習費調査 調査結果の概要（5ページ）
総務省統計局　文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別、項目別経費の構成比（4）その他の学校外活動費
子ども家庭庁　幼児教育・保育の無償化概要
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー